来た道行く道通りゃんせ/風にのって花ひとひら

のんびりしたブログですがよろしくお願いいたします。

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南極物語

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第一次南極地域観測船「宗谷」で活躍した樺太犬十五頭は夜空のどの星になっているのでしょうか。
天国の、少し手前には「虹の橋」と呼ばれるところがあり、そこで人間達と愛しあった動物達は楽しく遊んで居ると言います。タロ・ジロも先頭をきって遊んでいることでしょうね。タロ・ジロが正しい呼び名ですが、子供時代呼んでいたタロウ・ジロウで表記することをお許し下さい。


逢えたね。タロウ・ジロウ     

  湖の近くの小さな郵便局。

本局が混んでいたので散歩をかねて足を伸ばした。

湖(うみ)風に乗って蝋梅の匂いがしてくる。

「そうだ!」帰りには湖に寄ってみよう。蝋梅の木の下に座ってみよう。葦(あし)の角がもう出ている

だろう。漣(さざなみ)に浮寝鳥(うきねどり)が遊んでいるだろう。

 そんなことを思いながら郵便局のドアーを押す。(自動ドアーではない)

ドアーを半分開けると、水仙(スイセン)の香りが身体を包んだ。

その香りに、「ほっ!」とした瞬間、<子アザラシ>のつぶらな瞳と目があった。
                       https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/cc/79/hanahitohira06/folder/1558391/img_1558391_28099952_1?2007_02_121Japan post記念セットヨリ

「南極地域観測事業開始50周年記念」シール。

(ウエッデルアザラシの子)のポストカードが壁に貼られていたのだ。

 私は、あまりの可愛さに所用を忘れ、すぐさまこの記念シールを買ってしまった。氷山やアザラシ、ペ

ンギン等のカード5枚と80円切手のセットだ。
                       https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/cc/79/hanahitohira06/folder/1558391/img_1558391_28099952_2?2007_02_111Japan post記念セットヨリ


  「有り難う御座いま〜〜す」と長閑な局員の声を背にし、そのシールセットを抱くようにして湖にお

りた。二月のはずなのに雪のない穏やかな小春、水面(みずも)は春の光で眩いぐらいだ。柳(やなぎ)

はいまにも新芽が吹くかと細いリボンを緩やかに揺らしている。湖畔べりの葦は、背高くざわわ揺れては

いるが寒さは感じられない。いつもなら薄氷(うすらひ)の水辺だが、湖水はよく動きキラキラと光って

いる。鳰(カイツブリ)が、鈴をふるような鳴き声で、思わぬところから浮かび上がってきた。鴨(カ

モ)が寄ってくる。今買ってきたセットの、ペンギンのポストカードを鴨に見せてやるが鴨は知らん顔を

して水中に入って行った。私は蝋梅の下に座ってシールセットの説明を読み始める。

                       https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/cc/79/hanahitohira06/folder/1558391/img_1558391_28099952_3?2007_02_12Japan post記念セットヨリ


 吹雪く中で寒い南極の写真を見たのなら、身体はしんしんと凍みただろうが、小春の中でゆっくりゆっ

くりと南極の世界に入って行った。


「1956年(昭和31年)第一次南極観測船<宗谷(そうや)>が出航、翌年昭和基地を開設した」ことな

どが説明されている。ゆっくり読みながら目を波間に移した。

「!!!!」「?????」

もぐったり浮き上がったりしている二羽の鳰と二頭のカラフト犬が重なった。

 きらきらした鏡のような水面はまるで大雪原の氷のきらめきのようで、その中をころがりながらこちら

に走ってくる犬の姿と重なった。
                       https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/cc/79/hanahitohira06/folder/1558391/img_1558391_28099952_4?2007_02_12Japan post記念セットヨリ


「そうだ!タロウとジロウだ」

あれは、私の十一歳の時だ。南極観測船のニュースを知った。私たち子供はみな南極に憧れた。ペンギン

がいる、大きな氷の山がある。それはいまだ見たことも聞いたこともない世界。それはどんな地の果てか

と三人寄れば南極の話題だった。

(そして地球の端と端、もう一つの端の北極のことを丁度父が物語に書いていた。)

知らない氷の世界。いくら想像しても尽きない夢をのせて<南極観測隊>は現実のお話だったのだ。テレ

ビは家にはなかった。ラジオから流れる南極のニュースはこうだった。

「南極観測隊の移動手段には、寒さに強いカラフト犬十五頭が犬ぞりに使われた。(寒いのが大嫌いで閉

じこもる私に『なんと賢く偉い犬たちなのか』と、ただただ感心させられた。)

そして、次の第二次観測隊が、氷に閉じ込められ動けなくなったこと。アメリカの砕氷船バートン=アイ

ランド号の助けで氷原をなんとか抜け出し、やっと飛行機から第一次越冬隊員へ手紙や野菜などを落とし

たこと。等々・・・」。

毎日ドキドキハラハラとまるで物語のような南極を頭に描き、白い厳しい世界を想っていた。

                      https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/cc/79/hanahitohira06/folder/1558391/img_1558391_28099952_5?2007_02_12Japan post記念 セットヨリ


   そして、あの衝撃的なことが起こったのだ。

 第二次観測隊が氷に閉ざされ、全ての日程が狂ったことから観測を続行するか来年再挑戦かと意見が分

かれた。そしてとりあえずは、第一次の越冬隊員を飛行機で連れ帰ろうと決まった。隊員の回収に用いら

れたのは小さなプロペラ機のみ。そこに積める荷物の重さは300キロ。観測記録や南極の岩石などを積

み込むともうなにも積めない。そして何度にも分け往復を繰返しても、犬ぞりとして活躍した十五頭のカ

ラフト犬を積むことは出来なかった。犬を基地に置いたまま宗谷は日本へ帰って来たのだ。どんなにその

とき私たちは泣いたことか。第一次の隊員のオッチャンたちは、「泣くな!もうすぐ新しい仲間(隊員)

が来るから」「もうすぐ迎えにくるから」と犬たちに言っていたではないか。どうして犬を置いてきた

のだ。暴風に飛行機も飛べなくなり、氷に閉じ込められる南極のことをいくら想像しても子供の私たちに

は分からなかった。ただただ隊員たちだけで日本に帰って来たことに私たちは泣いた。

「犬を連れて帰って」・・・。

 子供に、隊員たちの惨苦や厳しい南極の自然など分かろうはずもない。ただ犬が可愛そう。親に捨てら

れたような犬が、ただただ可愛そうで毎日泣いた。

そして1958年(昭和33年)、宗谷はパワーアップされヘリコプター母船に生まれ変わり、三度目の挑戦で

南極に向ったのだ。この年は氷も少なく順調に基地へ到着出来た。

そして!そこで見た!走る影を。

 まさか生きているはずのないカラフト犬、タロウとジロウの兄弟犬の姿があったのだ。隊員たちは最

初、タロウとジロウに尻込みをしたと言う。置いてきぼりにした犬。野生にもどっているだろう犬。「腕

の1本や足の半分を食いちぎられたって仕方ない。オレたちが南極に残してしまった犬だから」と・・。

 しかし、前に歩んで行くと犬たちは尻尾を振って体をすりよせて来た。そして二頭の犬(タロウ・ジロ

ウ)と人間は涙に濡れてきつくきつく抱き合ったのだ。そればかりではない。二頭は元の主人の隊員たち

を覚えていたのはもちろんだが、犬ぞりの引き方も覚えていたのだ。

もう日本中が湧き上がった。私たち子供は寄れば触れば他の遊びを止め、タロウとジロウの話ばかりして

いた。

「南極地域観測事業開始50周年記念」シール。

 あれから50年が経っているのか。タロウ・ジロウは東京タワーの入り口でいま記念像に成っているとい

う。そして、昭和58年にはこの話を元にして映画も作られた。

 あの時、私は子供たちをその映画に連れて行き、親子でハンカチをぐっしょり濡らした。長男は我が家

の飼い犬の<レオ>と<ゴンタ>に、より愛情を持った。そして私は、<タロウ><ジロウ>に出会った

十二歳の私と同じ十二歳になる長女が、あのときの私のように涙をこぼしているのをみて、愛おしさと感

慨にふけったものだ。

 長閑な水辺の小さい郵便局で私はとっくに忘れていた「時」と「物」を見つけた。

 湖の暖かい日差しの中で、漣に光がちらちら反射する。それは吹雪のようにも見えた。まわりに沢山の

浮き寝鳥が波に揺れている。それはあのときのカラフト犬十五頭に見えた。また二羽の鳰が、もぐったり

浮き上がったりしている。タロウとジロウが寄り添って駈けているように見えた。

*(画像の上にマウスを置いていただくと拡大します)

2007.02.12



    逸話でよむ おはなし世界歴史   二年・下  実業之日本社刊 

ともだちを おもう こころ ___あむんぜんの はなし__木村徳太郎  は  次のページへ 

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あの、ジロ-とタロ-の話は映画で見ました、泣きました。樺太犬が雪原をころころかけてくるようです。

2007/2/12(月) 午前 9:46 吉野の宮司

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宮司さま。イヤサカ。映画を観られましたか?高倉健さん格好良かったです。犬でも人でも立派な、感動することに出会えるのは幸せなことです。「南極物語」はデズニー映画にもなったらしいですが、これは見ていません。

2007/2/12(月) 午後 8:07 [ 花ひとひら ]

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本当にあの頃はハラハラドキドキでしたね。アメリカやソ連の砕氷船が救助に向っている・・・などのニュースに一喜一憂しましたね。犬たちはもちろんですが、置いてこなければならなかった隊員たちの心はいかばかりだったでしょう。ヘリコプターをどうしても飛ばせないほどブリザードが激しかったと、また早く船を出さねば、船自体が危うくなるのだと。苦渋の決断だったと後には納得しましたが。私は子供に本を買ってきました。思い出を共有できる花ひとひらさん、これからもよろしくね。

2007/2/13(火) 午後 8:42 [ おいちにのさん ]

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こんばんわ。おむすびです。 なつかしいですね。映画、ちょうど息子を産んだばかりの頃で、あとでテレビで見たと思います。ほんとにどうやって生きていたんだろう、って思いましたよね。信頼ってすごいなと思ったのを思い出しました。

2007/2/13(火) 午後 9:51 [ ma_*ha*040* ]

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おいちのさんさま。同世代ですね。ほかにもきっと一杯共有できる思い出があるでしょうね。楽しみです。此方こそよろしく。全部筋書きが分かっていてみる映画とあの時、刻々と伝えられるニュースに一喜一憂とは大違いですが、感動する心は変わりません。

2007/2/13(火) 午後 10:23 [ 花ひとひら ]

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今年は暖かいのでなぜか私は雪や氷の話ばかり思い出します。

2007/2/13(火) 午後 10:24 [ 花ひとひら ]

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おむすびさま。生き物の命。ほんとどうやって生きていたのか(後で色々研究され理詰めで理解できてもやはり私にはそれだけでない神々しい物を感じます。生きているって凄いよね。よくぞ生きていてくれたと思いますよ。あの時代、私たちは命の素晴らしさや勇気を教えられました。

2007/2/13(火) 午後 10:32 [ 花ひとひら ]

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花ひとひらさん、こんばんわ。些細なことで申し訳ないのですが、やはりどこか引っかかりますので、言わせてください。南極に置き去りにされ第3次越冬隊に発見された樺太犬はタロウ、ジロウ、でもなくタロー、ジローでもなくタロ、ジロです。本当に些細なことに文句つけるようでごめんなさい。

2007/2/14(水) 午後 9:00 [ おいちにのさん ]

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おいちのさんさま。有り難う御座います。これを書く時に調べましたら、確かにタロ・ジロでした。でも私たちはタロウ・ジロウと言っていましたのでそうしたのですが、やはり名前は正確でないといけませんね。あの「侍」のような犬達に失礼ですね。ごめんなさい。訂正を掲載します。

2007/2/14(水) 午後 10:43 [ 花ひとひら ]

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わたしも映画観ました。泣きました。喋れないもの(赤ちゃんや動物)は何と愛しい物でしょうか。そのしぐさは言葉とは比べることすら出来ない無上のものですね。花ひとひらさま。ぶら〜と横道しながら思うままに歩くの最高ですね^^湖畔の木々も水面も空もすべてがわたしのために・・って感じになりませんか?

2007/2/15(木) 午後 3:50 [ ささ舟 ]

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ささ舟さま。映画は必ずしもその通りの実話でなくとも良いのだと思います。それを見て何かを感じ、感動する物があればそれはそれで良いのだと思います。感動できる物を一つでも多く持つことが出来ればきっと世の中も明るくなるでしょうね。湖畔は今日は荒れていました。比良八荒と言うのでしょうか。季節風が冷たいでした。でも荒れている湖も又良いです。

2007/2/15(木) 午後 6:12 [ 花ひとひら ]

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私は、南極物語の事は、映画でしか知りません。もちろん実話だった事は知っていますが・・・。動物と人間の信頼関係にとても感動しました。今の世の中、人間同士の信頼関係が危うくなってきています。こういった名作はずっとずっと残って欲しいです。

2007/2/16(金) 午後 1:06 [ ぱやこ ]

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ぱやこさま。こんにちわ。信頼ってとても大事ですね。人と人、人と動物、人と植物にも信頼関係はあると思います。仰るように私も人間同士の信頼関係が稀薄に成ってきたように感じることが有ります。が、稀薄になったことばかりを取り上げるのでなく、気づかないような小さい信頼関係もまだまだ健在だと思います。そういうことに感動します。本当はそれが当たり前の事だったのに、新鮮に映り感動するのも可笑しいことかもしれませんが。

2007/2/16(金) 午後 7:56 [ 花ひとひら ]

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こんばんは。
関連記事から来ました。
太郎と次郎には感動しました。ナイス

2013/2/26(火) 午後 7:40 あるく

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高倉健・・ 置いて来たのをずっと悔やみ
一緒に過ごした あの厳しい寒さと 走り続けたソリ。

いつまでも 忘れ得ぬ感動と涙です。

花ひとひらさん お元気ですか。

2013/5/9(木) 午後 8:10 ハマギク


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