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♪ 白昼夢
左に彼岸花、右には背を低くした露草の青い絨毯が続く。側溝には、ミゾソバが点描画を描き、ノギクは優しい薄紫の風を生み、コスモスはリボンのように流れている。空は鰯雲、どこからか金木犀も匂ってくる
稲穂の刈り取られた農道の一本道は、小さい秋で埋っている。私も秋の一員に染まって行く。そこを、自転車で駆け抜ける。
「キィキキーキィ」
急ブレーキをかけた。手押し車に、小菊を乗せてくるおばあさんと、ぶつかりそうになった。
「どうしたんや。落としもんか?」
私は大きく頭を振って
「すいません。アワワァ。白!白!」と・・・。興奮して声が上ずっている。
ちらっと白い物が目の端に入ったのだ。
「あれは?」
白い露草!紛れもなく白い露草だった。
園芸種に、白色も桃色も紫色もあることは知っていた。しかし、目の前にあるのは雑草の露草だ。青い瞳のような露草の絨毯に、白い涙粒が落ちているのだ。何度目をこすっても白い露が落ちていた。
2007年10月4日.AM11時36分。私は世紀の発見をした。(と思った)
私の指差す白い露草に、おばあさんは「あれは草じゃ」と取り合わない。そして、それを「露草」という名前だとさえ知らないという。私は万葉の彼方の空を仰ぐように、露草の説明を始めた。(露草をツキクサともいう。万葉歌にも出てくる。青い汁は下絵にも使うことなどを)この世に、露草を知らない人間の存在することに私は驚いた。しかし考えてみれば、私が野の花に興味を持つからと言って、誰もがそうとは限らない。おばあさんは、興奮する私を哀れむように、「花が欲しいのなら菊をあげるよ」と手押し車の小菊を一本抜いてくれた。私はお礼に、青い露草と白い露草を、「私たちは世紀の発見者同士やからね」と小菊の上に乗せた。
私も白い露草を三本摘んで帰った。しかし、帰宅したときには、露草は萎んで何色か分からなくなっていた。貰った小菊が匂っているばかりであった。
「あれは幻だったのか」私はその日、なんど頬を抓ったことか・・・・。
翌日、同じ場所に行ってみた。しかし白い露草は一本もなかった。私はやはり夢をみていたのだろうか・・・。
季節の変わり目には、白い花が多く咲く。春はコブシ、ヒメジオン、ユキヤナギ、ハコベ、シロツメグサ・・・。厳しい寒さから開放され暖かい光の溢れだす「行き逢うとき」には白色が輝くのだ。秋にはソバの花、センニンソウ、ショウマの花、サワヒヨドリ、イタドリ・・・花野を飾る助走曲のように白花は咲く。白い花は、いつも次の舞台の主人公を輝かせるために咲く色のように思う。
しかし、そんなふうに思う私のなかにも、白い露草はいまだかって存在していない。私は幻を見たのだろうか。行き逢う一瞬の中に私は白昼夢を見たのだろうか。
行きずりのおばあさんに、露草について熱く語ったのは夢だったのだろうか。もし正夢だったとしても、おばあさんが持ち帰ったときには、露草は萎れているだろう。
きっと、「可愛そうな娘に出会ったものだ」と、小菊に語りかけているだろう。おばあさんは白い露草の証人にはならない。証人はいないのだ。
窓を通して話し声が聞こえてきた。
「ネェ。空き地に咲いているあの白い花、なんだろうね」「昼顔じゃない?でも、白色って珍しいね」
私は青くなった。
http://blogs.yahoo.co.jp/hanahitohira06/14896709.html(風にのって花ひとひら)
それは、私が不精にしている朝顔が、空き地に飛んで咲いているのだった。私は穴に入りたかった。
そして、ネットで検索してみた。なんとあるではないか。白い露草が!
http://www.chinjuh.mydns.jp/hakubutu/plantoj/tuyu01_1.htm
あれは、白昼夢ではなかったのだ。怠慢からの突然変異でも世紀の発見でもなかったのだ。白い露草はアルビノと言う色素欠乏症から生まれたものだった。
あのとき、白い露草は青く染まるまえの、白絹のように輝いていた。
白色は、一つ一つ欠いていき原点にもどっていくのだろうか。そして新たに、次を染めるのだろうか。
白い露草を私は本当に見た。
私は、原点にもどった白い露草に、我が家の朝顔に、希望という色をのせたいと思った。そんな白昼夢を私はしっかりとみる。
2007.10.08
木村徳太郎の未発表の詩は別枠木村徳太郎(現在『伝書バト物語掲載』)に移動させました。
ご愛読下さい。
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神様のちょっとしたいたずら?植物も動物も、みんなとちょっと違うように生まれる事があるようです。ほんとは、みんなと同じが一番と思っていたけど、違うって事がとても良い様に思えてくるから、存在は不思議。
2007/10/8(月) 午後 9:42 [ ぱやこ ]
あぜ道など草刈された後からまた伸びて、今、背丈が短いですが露草は色鮮やかに咲いてますね。花ひとひらさん、私は先日白いアオバナ(露草の一種)を見ました。もう畑のアオバナは引き抜かれた後だったので(我が家のプランターのも引っこ抜いた後でした)「花期も終わり、色素が抜けてきたのかな・・・」と思いました。と言うか、そう思っただけで済んでしまっていたのです。花ひとひらさんのように感動することもなく、当然こうした文章にすることもなく終わっていました。感性が錆びてしまっていますね。何とか心に染み付いた錆びを落とさなくっちゃ・・・。露草の古名は月草で、万葉集に9首読まれています。水にさっと溶けることから「はかない命」「はかない恋」の枕詞になっています。
野生で彼岸花の白いのを見たことがあります。園芸種では黄色など様々ありますね。白は色素が抜けたと説明できても、様々な色のを作るのはバイオでしょうか。
2007/10/9(火) 午前 0:34 [ おいちにのさん ]
ところで花ひとひらさん、今回の貴女の文章を読んで、先日のあなたの言葉を思い出しました。次々とブログを更新する貴女に「よくそれだけ書く事があるね」と言う私に「書こうと思えば毎日でも書けるはず。朝起きてご飯食べたら、そのご飯のことでも書ける。書く事がないと言うことのほうがおかしい」と貴女は言いました。白い露草を見てこんな風に書ける貴女に対して、私の感性は錆びていた、この違いですね。
話し変りますが、スズムシを飼っているのですが、餌は定番のキュウリ、ナスを与えていたのですが、なんとシメジを与えたら、大好物のようでした。この発見で貴女ならもう立派な文章が書けるのでしょう。私は今すぐには無理でも、しばらく寝かせて「スズムシの好物」なんて書いてみたいです。あなたのやさしい絵を眺めていると私の錆びも少し落ちていくような・・・気がします。
2007/10/9(火) 午前 0:51 [ おいちにのさん ]
ぱやこさま。お早うございます。秋の花は気のせいかなんだか楚々とした花が多く楽しませてくれます。が、目に付かない野原の片隅にもこうしていろんな生き物の生き方?があるのだと思います。同じが良いように、また(自分と)違うものを排除する傾向があります。が、ぱやこさんのおっしゃるように、これが個性ということでしょうか。(個性の尊重とかいいながら、人は違うものを貶すこともします)
同じでなくって良い「貴方の存在」が良いのです。花やペットの場合、白いねじ花が高値で取引されたり、黄金色やアルビノ現象の動物には観光客が寄せてきたりします。=きっとめいわくしているのではないでしょうか。「私は私。ただ一生懸命生きているだけなのに」と。きっと花は迷惑しているでしょう。
「存在は不思議」。とても考えさせられる言葉です。有り難うございます。「存在的人間観」とても大事なことです。
2007/10/9(火) 午前 6:42 [ 花ひとひら ]
おいちにのさんさま。白のアオバナもあるのですか。露草より大きなアオバナですから、まるでウエディングドレスのように素敵だったのでしょうか。(今は白いドレスだけでなく多彩ですが)私は今まで見たことがなかってので、そりゃ驚きました。(驚くことでもなかったのですが)家の白い朝顔に「先祖帰り?」と思っていたのが、これは学問的にも色素欠乏症で「先祖?」にやっぱり帰っているのだと言うことが学問的に判り、頷いています。
人間っていろんなことを感じられて楽しいですね。(水にさっと溶けることから「はかない命」「はかない恋」)これって儚いとも思えるけど、(とてもいさぎよいとも、またすぐ気変わりするとも)感じられるし、この感じ方も人それぞれでしょう。そんなとき、その感じ方を貶したりおとしめたりすることだけはしたくないですね。
2007/10/9(火) 午前 7:06 [ 花ひとひら ]
我が家には紅白の彼岸花があります。最近は彼岸花を庭に持ち込むことを嫌いませんが、昔は火事になるとか言い毛嫌いしました。そこで紅白なら問題なかろうと植えました。とても綺麗ですよ。最近はバイオで、黄色やピンクやオレンジやと賑やかですね。いろんなことで人間は欲望が果てしないのでしょうか。バイオの力でいろんなことができますが原点を知ることも楽しいです。(2)
2007/10/9(火) 午前 7:06 [ 花ひとひら ]
おいちにのさんさま。「スズムシの好物」是非是非読ませて下さいね。私はいつもおいちにのさんさまの奥深い知的な文章に感動しています。私にはとても書けない文章です。でもこれも個性の違いと開き直って、私は私で赤恥を書きながらやっています。「書く事が無いというのは・・・」などとえらそうに言って恥じています。おいちにのさんさまは錆びてなどおられません。わたしのように「パッパパッパ」と軽いのでなく、深く深く潜入して考えられ、文章をなんども推敲して練り直しされているからです。そこから秀玉の作品が生まれるのでしょうね。尊敬しています。こうしてお近づきになれてとても喜んでいます。これからもよろしくお願いいたします。
私、皆さんのコメントでも随分教えられています。有り難いことです。
2007/10/9(火) 午前 7:16 [ 花ひとひら ]
花ひとひらさん、私は物事を深く掘り下げているのではなく単に遅筆なだけですが、これも人それぞれの個性ですね。あまり褒めていただくと深く掘り下げて考え書くのではなく、大きな穴を掘らねばなりません。(我が家にはそんなスペースがありませんので、ほどほどに)
でも、白いアオバナにウエディングドレスを思い浮かべられる花ひとひらさんにはやはり脱帽です。
2007/10/9(火) 午後 3:10 [ おいちにのさん ]
おいちにのさんさま。露草を何倍にもしたようなアオバナは、フリフリの花びらでした。それが白色だなんて・・・そりゃ花嫁さんですよ。
(青も白もフリフリのドレス。素敵だな〜。年甲斐もなく着てみたくなります。)私もアオバナを抜いて土に埋めました。種が上手く取れたかどうか分からないので、土に戻せば芽が出るかと期待して・・・これから毎年庭でアオバナが咲いてくれたら、そのうち朝顔のように白色も見れるかもしれませんね。ドキドキして待ってみます。
先日ズイキを干したのですが、かなり上手く乾いていたのに昨日の雨で黴が生えました。なかなか難しい物ですね。(上手く出来ているのも有ります)
ウフ。おいちにのさんさま。穴堀?掘っているときっと宝物が出てきますよ。
2007/10/9(火) 午後 7:41 [ 花ひとひら ]
こんばんは。なかなかメッセージ書きにこれなくて、3回読みました。でも何回読んでも面白い。
すると、この絵は「実物を前にして」じゃないのかな?
花の部分が遠慮がちに見えるのはそのせい?
白い露草かあ・・・見てみたいような、恐いような。
我が実家には「白蛇」がすんでいて、いつも天井の梁にいました。
一度なんか箪笥を開けたら、そこに寝そべっていたり・・・
白いものは、なんだか神秘的です。
2007/10/9(火) 午後 9:08 [ ma_*ha*040* ]
まーめさま。仰るとおりです。これは葉の部分はいつもどおりに実物を握り締めて描きましたが、花は萎んでありませんでした。「確か、こんなふうだったな。いいやあれは幻か」と思いながら、花を付け加えたのです。「白」が気になるもので葉は「黒」くなり、自分でおろおろしているのが分かります。絵って正直ですね。(私が正直なのか)と改めて驚いています。同じく描いているうちにどんどん萎んでいく花にはヒヤヒヤドキドキします。(瞬時にその花を見抜く力がありません。じっくり花と話をしながら描くのが好きなのです・・・)
あの花を描きたいと思いながら、他の事に追われていると、もう花の時期が終わっていたりで「ごめんな」と花にも自分にも謝っているものが多いです。でもまた来年描けるかなと夢を持ってあきらめています。
2007/10/10(水) 午前 6:55 [ 花ひとひら ]
話は別ですが、今年はチューリップを何年ぶりかで800個植えようと思っています。(春はチューリップ!童心に返るようで)これも先祖帰り?人も花もだんだん元に帰るのでしょうか。
でも、白で始まり白で終わるなんて最高ですね。
我が家の朝顔もグラジオラスも皆白くなりました。
「白蛇」は神様のお使いだと聞いたことがあります。白蛇だけでなく生き物はみな神様のお使いだと思います。それを簡単に殺めたり苛めたり、そのうちバチが当たりますよね。
2007/10/10(水) 午前 6:55 [ 花ひとひら ]
こんにちは。いいお天気ですのに何処にも出ずぼ〜としていました。花ひとひらさん、わたし今年初めて白い露草見ましたよ!堀端のいつもの場所で^^青色のなかにそれこそ少し遠慮気味に2花だけ、ちょっと異様に感じましたね!こどもの頃青い花を揉んで微かな青水を作りましたね。要らなくなったお猪口やお茶椀ガラス瓶に。
何でまた800個ですか?綺麗だろうな〜やはり白花が主?
2007/10/10(水) 午後 4:30 [ ささ舟 ]
ささ舟さま。御覧になられたのですね。今年は異常気象で野原にも異変が起きたのかと思いましたが、意外と白い露草はポピュラーなようです。でも面白いですね。同じ物を見ても人に寄って神秘的になったり、異様になったり・・・
子供のときやりましたね。色水屋さんごっこ。家中に有る空き瓶を集めて服もべしょべしょに濡らして、透明瓶の中の薄い色はどれも綺麗に光っていました。あの遊びが理科室の実験になるとなんだか楽しくなかった。どうしてでしょうね。今はでんじろうさんの楽しい実験で理科好きの子供が増えているらしいですが。
チューリップは、たまたま申し込む時500個と300個のセットだったからです。春にはチューリップの中でコンサートをするのが夢です。各色で申し込みましたが、ときどき色が無いとか言って白ばかり送ってくることが有ります。私は各色を申し込んだのにね。
2007/10/10(水) 午後 9:57
白い露草はじめて知りました、儚げに咲く小さな青い小さな花・・摘めば即ざにしおれそうで、で何だか夢二の絵の女性から受ける命の幽かさのなかにそっと路傍に「真実一路に咲く露草にゆっくり目をやることは少なかったです。これからは白い露草も見つける心に余裕を持つようにいたします。露草・・
そんな命もきらりと光る素敵な文章に出会えて感動しましたよ。ありがとう。
2007/10/11(木) 午前 8:13
吉野の宮司様。吉野の里も今ごろは露草が一面でしょうか。夏よりも夏の日差しの残りをいっぱい吸ってこちらは一面に咲いています。最近は度々草刈が成されるので、背の低い露草が一面です。儚そうに見えるけれども強い花だと感心します。一本や二本はしおらしく白になったのかもしれません。でも「路傍に真実一路に咲く露草」そんな感じですね。真実一路強い花です。青さも良いですが白も輝いていました。きっと宮司様も白い露草をみつけられます。昔父が「世の中異変が起こっても白い衣装のものは=神官?生き延びるなどと偏見に満ちた冗談を言っておりましたが=決して白装束の新興宗教ではありません)白い露草を見てふとそんなことを思い出しました。世の乱れに露草は感知?しているのかもしれません。
2007/10/11(木) 午後 4:40
早起きの花ひとひらさん、今朝の朝焼け見ましたか。軽やかに広がった秋の雲を通して鴇色の光が一日の始まりを知らせてくれました。白い露草やミゾソバも朝露の中でこの光を受けているのでしょうね。私は白い野の花が好きです。節分草、イチリンソウ、ヒトリシズカ、ツボスミレ、ナズナも。この花々に他の色を重ねてみたりもしますが、やはり白い花が似合うような気がします。他にもっとも似合う色を持つ露草が、白く咲いた!これは驚きですね。そして見つけたことの感激!自転車の急ブレーキが聞こえそうです。お知らせを受けて、カメラと三脚を担いで走ったのですが、見つけることができず、私には幻の花になりました。でも、花ひとひらさんの即刻の絵と文で満足しています。
2007/10/13(土) 午前 11:06 [ あしび ]
あしびさま。見ました見ました。昨日は、今森光彦さんの写真展に行き疲れてしまい(感動しすぎて)早く寝ました。代わりに今日はとても早起きで新聞配達のバイクの音で目がさめ、外を見やると昨日の写真展のような空でした。嬉しいですね。輝き!です。みんなあの輝きで目覚めるのですね。うふ。花だけではないですよ。今森さんの写真のように、蛙も鳥も木の葉もみな目覚めます。素敵ですね。
白い花、私も大好きです。白の色も好きです。次に好きな色は(笑わないでね)ピンクです。白やピンクの服が好きです(似合う似合わないは別にしてネ)今ピンクのミゾソバが一面可愛いですよ。その中に今年は白を見つけました。(露草以外にまた白にお目にかかりました)霜がかかっているのかと思いました。歩いていたのでブレーキはかけませんでしたが前に進めなくなりました。
露草の白色、来年も咲いて呉れたら良いのにね。私も次の日、見に行きましたがもう有りませんでした。でもあれは幻ではありません。来年きっと私たちの思いを乗せて輝いてくれるでしょう。今、蕎麦の花が風にゆれていますよ。お茶の花もふっくらとしてきました。白い花が咲くね。
2007/10/13(土) 午後 3:50