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「風に吹かれて山頭火」池田遥邨小画集・講談社発行 <山頭火行く1984年>ヨリ
♪山頭火野に咲く
秋の野に好きな花があります。コスモスが鮮やかな色に揺れ、ノギクがいじらしく咲いています。そんななか目立たないけれど私の大好きな花。ノゲシのように花びらが多く、黄の色は濃くありません。淡い黄色、花びらに可愛い切れ込みが入っています。鄙の里の少女の髪を飾るリボンのようです。
アキノノゲシ(秋の野芥子)=高さ50〜200cm。花期は8〜12月。花は淡い黄色、種子はタンポポの綿毛を小さくしたような形をしている。
レタスの仲間で、葉や茎を切ると白い液が出る。生葉でも食べられる。
花言葉「幸せな旅」
秋の七草はもちろん、彼岸花・竜胆・野菊・麒麟草・釣鐘人参・吾亦紅・水引草に蓼の花……。数え上げればきりがない。色とりどりに咲き乱れる花野である。
そんな中十月も終わりに近づくと、百彩の花色を一つづつ浚って行くように寂しい風が吹き、晩秋の足音が忍び寄って来る。そして花野に時雨が来て、花は色褪せて行く。しかし最初から目を引くような彩も持たず、褪せもしないで悠然と、時雨の野を飾る花がある。
アキノノゲシだ。夏の終わりから次々と淡黄色の花を咲かせ次第に草丈を増し、一メートル以上にもなる。その茎は太く堅く除草作業も困難だ。地味な花と大きな草丈に不思議な存在感を覚える。この花を見つけると、花の周りにいろんな色をつけた風が吹き始め、私を想像の世界へ連れて行く。
風の走る音がした。「種田山頭火」が歩いて行く。
すわれば風がある秋の雑草 / 秋となつた雑草にすわる 山頭火
私も、アキノノゲシの前に座ってみよう。
やつぱり一人がよろしい雑草 / いつも一人で赤とんぼ 山頭火
私は、いつのころからか山頭火の句の雑草はアキノノゲシだと勝手に思っている。そして想像の旅をする私に、山頭火が「水、空、草、夕焼け、赤とんぼ」を一緒に連れて行ってくれる。
ノギクのようなたおやかな美しさはない。むしろ地味で無骨で粗野と言えよう。花は夕方には閉じ、閉じると渋い臙脂色と緑に包まれ硬くなり、寂寥感も漂わせる。そしてなによりも、時雨が似合う花だ。山頭火も時雨が似合う。傘を持たずに慌てて走り抜ける花野で、この花に出会ったら濡れるのもかまわず立ち止まり、耳をすませ、周りの空気に目を凝らすのだ。
私ひとりの音させてゐる 山頭火
時雨に野の音が吸収され、アキノノゲシが一本揺れている……。
そんな想像は、池田遙邨画伯の山頭火シリーズ、「山頭火行く1984年」の絵を観て、私を飛び上がらせてしまった。
山頭火は多くの人に語られ、多くの画家に描かれる。それは無常感であったり、放浪の旅であったり、流れる水であったりする。しかし、私は山頭火に「優しさ」をみる。「惑いの中に有る優しさ」とでも言えば良いだろうか。無常や宿命や病み疲れを、足で歩き、心で歩き、歩き倒した後に残ったものが、「優しさ」ではないだろうか。いろんな評が有り、私ごときが山頭火や池田遙邨画伯を語るのはおこがましいが、山頭火に、そして遙邨画伯の絵に心が癒されるのは事実だ。
遙邨画伯の描く山頭火シリーズには、小動物や野の花が多く出てくる。野に咲く花や小動物が、まるで山頭火を見守るように小さく描かれている。小さい花は具象的に描かれていないので、こちらのイメージで花姿を膨らませる楽しみも有る。
そんな中で、「山頭火行く」は画面に大きく野の花が野蔓をからませて描かれている。陽が沈みかける空に立つ山頭火と二分するぐらいに大きく描かれている。
「この花はアキノノゲシだ!」私は飛び上がった。私がアキノノゲシに山頭火を重ねるのは、あながち間違いではないのかも知れないと思った。
山頭火を思いアキノノゲシを眺め、池田遙邨画伯の絵を観て私も旅をする。
山頭火も、アキノノゲシを見ただろう。花の前に座り、夜露に濡れ萎んだ蕾のもとで野宿をしたのだろう。アキノノゲシは、他のどの花よりもいつも何かの虫が寄ってきて休んでいる。
とんぼとまつたふたりのあひだに / ほんにしづかな草の生えては咲く 山頭火
アキノノゲシに蜻蛉がとまったのだろう。そして、夜が明けると山頭火はまた旅を続ける。花は咲き続ける。彼はどこまでも野の花を連れて旅をする。
山頭火も見た? 池田遙邨画伯も見た? 同じものを見られる幸せだ。実際に旅が出来なくても、想像できる幸せは何にも代え難い。
笠にとんぼをとまらせて歩く 山頭火
空は真っ赤な夕焼けだ。アキノノゲシも燃えている。私も好きなアキノノゲシを連れて歩く。
「幸せな旅」に出よう。
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種田山頭火の生き方、惚れますね。寅さんに惹かれるように、自分でできないからよけいに憧れます_ _;
2010/10/27(水) 午後 2:40
こうま地蔵さま。有難うございます。女性も山頭火や寅さんに惹かれるものがあります。自然人ですね。憧れます。
幸せな旅をしていたのでしょう。
風邪気味だったのが、急な寒さにこじらせてしまいました。
2010/10/27(水) 午後 6:26
アキノノゲシを見たら山頭火を思い出すようになりそうです・・飄々とした山頭火のの旅に憧れます・・・寒ければ南へ・・暑ければ北へ・・せめて心の旅を致しましょうお風邪大丈夫ですか?
2010/10/27(水) 午後 7:15
花ひとひら様おはようございます。
アキノノゲシ…幸せな旅。山頭火の句を読むと心が開放されていくようです。 私もアキノノゲシを見たら山頭火を思い出します。
早く回復しますよう。大切になさってください。
2010/10/28(木) 午前 9:40
花ひとひら様
急に寒くなりましたね。風邪をひいておられたのですか。回復の様子は如何ですか。どうぞご留意ください。
今日は、自然を愛する放浪歌人山頭火と偉大な池田遙邨画伯の話をじっくり読ませていただきました。明治から昭和初期に至る時代に活躍された異才な人達ですね。最近の若い人達は、勇気を奮って世界を駆け巡り、見識を広めています。
花ひとひら様の秋の自然観察記は、堀辰雄の「美しい村」と同じように見事なものですね。自分も秋の自然をしっかり見つめたいと思います。
2010/10/28(木) 午後 6:28
吉野の宮司さま。有難うございます。後の私たちが、学べる素晴らしいものを残してくださった偉大な先人たちに感謝ですね。
こうして学べるのも、違う世界かもしれませんがブログをして、いろんな人と交流できるのも、国が有ってのことです。素晴らしい国があってこそ、こうしておられるのだといつも思います。それを思うと、ときどきじっとしておられない気持ちになります。
が、どうしてもこなさなければいけない約束が重なり、風邪ぎみだったのが、急な寒さに(今日は冷たい雨の中、これも1年ほど前から言われていたボランティァでオカリナ演奏を頼まれていましたのでこなしてきました)風邪はますます酷くなるばかりです。
明日は一日休養して30日に備えたいと思いますが。
2010/10/28(木) 午後 9:04
こうげつさま。有難うございます。アキノノゲシの花ってとても優しい色ですよ。こうげつさんを思もったりします。
好きな花がたくさんありますが、アキノノゲシのようになりたいなぁ〜と思うことがあります。
風邪きづかってくださり有難う。自分のブログは更新しましたが、皆様のところへはいけていません。ゴメンナサイ。
でも、回復したら行かせて下さい。しばらく寝ます。
2010/10/28(木) 午後 9:09
tueda67さま。有難うございます。訪問がすこし途絶えています。申し訳ありません。行かせて頂くのを楽しみにしていますが、自分のブログのREだけで申しわけありません。鬼の霍乱?
普段元気な分、風邪を引くとしんどいです。申し訳ありません。
丁寧に読んでいただき有難うございます。丁寧なコメントも嬉しいです。後日訪問させて頂きます。スイマセン
2010/10/28(木) 午後 9:15
山の上を歩くのは人でしょうか。
イメージが膨らみます。傑作
2010/11/2(火) 午後 7:27
山の上を歩く姿が気になります。
2010/11/4(木) 午前 11:02
あるくさま。有り難う御座います。山と言うか丘ですね。そこを山頭火が歩いて行くのですよ。ススキが原かもしれません。
2010/11/4(木) 午後 3:19
あるくさま。コメント有り難う御座います。そうですね。歩く姿。
(山頭火はあるくです)
ススキが原、懐かしいのと、とても素敵な曽爾高原(旦那さんとの初デイト場所(笑)、どうしてもお借りしたくなり、転載させて頂きました。後ほど私のススキを投稿いたします。
2010/11/4(木) 午後 3:24