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星たちは花になりました
風が語る星と花の物語 〜星たちは花になりました〜 夜空の星は、野の花のよう。 星の話が風にゆれて流れて行きます ある所にお月と言う娘がおりました。
お母さんが死んだので継母がきました。お星と言う妹が産まれました。
お月とお星は異母姉妹でしたが、お月は妹思い、お星は姉思い、二人は気立ての優しい姉妹になりました。いつも二人で仲良く遊び仲良く働きました。 ある時、父親が仕事で家を空けることになりました。お月とお星と継母は仲良く旅立つ父を見送りました。が、継母はいつもお月がいなくなれば良いと思っていました。自分の娘のお星だけが可愛くて仕方がなかったのです。留守の間にお月を殺してしまえば、三人で楽しく暮らせると思いました。 継母は饅頭を作りました。お月の饅頭にはカワラウツギを粉にした毒を入れ、お星の饅頭には美味しい甘い餡を入れました。 「お星、お星。」お母さんはお星を呼びました。 「お月の饅頭には毒が入ってるから、取りかえっこして食べてはいけないよ。」 お星は驚きました。 お母さんの言う事が信じられませんでした。 お月とお星は饅頭をもって裏の竹薮に遊びに行きました。 「姉さん、 姉さんの饅頭には毒が入ってるから食べてはいけません。」 お月はお星の言う事が信じられませんでした。その時、雀が飛んできて饅頭をつつきました。雀はキキッと声を上げて死んでしまいました。お月もお星も、それをみると恐ろしくてたまりませんでした。 夕方になり、お月はもうどこかで死んだと思っていたのが、お月もお星も元気に帰ってきました。継母はわけがわかりませんでした。 ある日、お月の上に石臼を落として潰してやろうとお星を呼びました。
「お星や、今夜、梁の上から石臼を落としてお月を殺すから、お月の側へ行くんじゃないよ」 お星は、お母さんが姉のお月を殺そうとしているのが信じられませんでした。 「そんなこと止めて」と言おうとしましたが聞いてくれないかも知れません。 それより言う事を聞くフリをすれば、姉を助ける事が出来るかもしれないと思いました。「うん、分かった。」お星はそう答えました。
「お月姉さん。 お母さんが今夜お姉さんに何かしようとしてるの。 だから今晩は私の布団で寝てね。」 お月は、妹の言う通りにお星の布団で眠りました。お星はお月の布団に、大きな瓢箪の中に紅殻を入れ、お月が眠っているように見せかけました。 継母が梁にくくりつけておいた臼の綱を切りました。 臼はドスンとお月の布団の上に落ち瓢箪を押しつぶし、 紅殻をまき散らしました。紅殻をお月の血と勘違いして、死んだと思い込みました。 「ああ、これで邪魔な娘がいなくなった。」継母は安心してぐっすり眠りました。 次の朝、「ご飯だよ。 起きておいで〜。」お星を呼びました。 「は〜い。」 「は〜い。」 声が二つも帰ってきて、継母はびっくりしました。 お月を見ながら継母は「これはよくよく考えて、お月を殺さねばならぬ」そして石切人にお金を渡し、石の唐櫃をつくらせました。 「お星、お姉ちゃんはこの家にいらない子だから石櫃に入れて、奥山に捨ててこようと思う。 お父さんが帰ってきても、何も話しちゃいけないよ。」 「はい、お父さんには何も話しません。」 お星はそう答えると石切人の所へ走りました。石櫃に小さな穴を開けて、物を隠す所を作ってくれと頼みました。石切人は気持ち良く「良いよ。」と答えました。 お月を山に捨てる日が来ました。 「姉さん、姉さん。 ここに菜種を入れておくから、この穴から道々落としてください。 菜種の花が咲いたら必ず迎えに行きますから。」 そして、お星は中に焼き米と水を隠しました。 継母と大人たちが来て、お月を石櫃に入れると山の向こうへ運んで行きました。
春になりました。 お星は山菜を取りに行くと言って、大きな握り飯を沢山作ってもらいました。そして木割(きわり)を取り出し山に向かって走って行きました。 山のふもとから奥山に向かい菜の花が続いていました。お星は山を越え谷を越え、走って走って行きました。菜の花が一面に咲いている所にきました。
「姉さん、姉さん、どこにいるの?」
お星は菜の花の下を掘りました。木割が何か堅いものにぶつかりました。石櫃でした。 お星は石櫃の蓋を開けお月を引っ張り出しました。お月は痩せて目が見えなくなっていました。 「姉さんごめんね、早く来れなくてごめんね。」 お星が姉に抱きつくと、お月もお星にしがみつき、「お星、お星。」とやっと聞こえるほどの声をあげました。 お星の目から涙が溢れ出ました。 お星の右の目の涙は、お月の左の目へ、 お星の左の目の涙は、お月の右の目へこぼれ落ちました。 するとお月の目が開き、少しづつ見えるようになったのです。 お星は姉に持ってきた水を飲ませ握り飯を食べさせました。 もう家には帰れない。 「これからどうしたら良いんだろう」と二人は抱き合って泣きました。 そこへお殿様の一行が通りかかりました。 「これ、娘達。 何をそう泣いておるのか?」 二人は泣いているわけを話しました。 お殿様は菜の花の中の石櫃を見ると何も言わず、二人を自分の屋敷に連れて帰りました。 お月の体は癒え、そしてお月とお星は二人揃って静かに日々を送りました。 ある日二人でお屋敷から街道を見ていた時、一人の汚い格好をした目の見えないお爺さんが鉦を鳴らしながら歩いていました。
「天にも地にもかえがたい。 お月お星はなんとした お月とお星あるならば なにしてこの鉦たたくべや」 「お星、あの声はお父さんではないか?」 「格好は汚いけど、あの声はお父さんだ。」 お月とお星はお爺さんに駆け寄りました。 お父さんでした。 お父さんは上方から帰ってくると、お月もお星もいないので、二人を探しに僧となって諸国を廻っていたのでした。 「その声は、お月か?お星か? 」 お父さんは見えない目で二人を見ようとしました。お父さんの目は、長い旅の疲れと、泣き暮らしたため見えなくなっていたのです。 「お父さん!」 「お父さん!」 お月の目からこぼれた涙がお父さんの左の目に、お星の目からこぼれた涙がお父さんの右の目に入りました。するとお父さんの目が見えはじめました。三人は抱き合って喜びました。 お殿様は、お月とお星とのためにお父さんを屋敷に入れ、そしていつまでも仲良く暮らさせましたとさ。 月見草は朝露を乗せ明け方まで咲きます。朝早く野を歩くと、お月とお星の涙のように清らかで清清しい朝露が月見草に零れていて楽しめますよ。
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背との葛城 つらなる山々。
山を除けよと 雷さまが
七色染粉の
でっかい壺を
粗忽なされて
ふんずけられた。
壺は潰れて
高野へかけて
紀ノ川よりも
長い虹が出た。
瀬戸の葛城
つらなる山々
まだ泣いている
雷さまが。 |
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