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たくさんソラマメができました。
空を仰ぐソラマメ。花も素敵。味もよし。みんなで描くとソラマメも喜んでいるようでした。
脳いきいきふれあいアート<53>
空を(希望)見てソラマメ
「脳いきいきアート」で、私が一番心がけていることは「季節」。そのため既成のカリキュラムを実施する現場に合うように、手直しをしたりする。
五月、ミツバツツジが庭を美しく埋める施設では「大樹の桜」のカリキュラムの手法をだけをいただき、ミツバツツジに変えたり、新緑の美しさを感じてもらいたいと「新緑のタッピング」などと、オリジナルのカリキュラムにしている。これは亜流とのことだが現場に一番関わって、参加者の動向、感性を知るのは私だという自負もある。
その現場に即した一番の楽しみ方で、参加者も私も一緒に楽しんでアートに触れ「脳いきいき」をしたいと思うのだ。
今年の五月は「春の小野菜」をやりたいと思って、ソラマメを自分で育てていた。人参の葉の面白さを伝えようとしても、葉付の人参が店頭になかったり、ラデェシュ(小さな赤カブ)が欲しいと思っても必ずしも手に入るとは限らない。そこで私は自分で栽培することにしている。
嬉しいことにソラマメが沢山出来た。教室を開講させて下さりお手伝いをしてくれる施設のスタッフに、一年間の予定表を渡している。採りたてを教室に持参すると、若い人はソラマメを知らない。また五月の案内に「春の小野菜」となっていたのを「小野菜てなんですか?小松菜の間違いですか」と聞く。笑いが起こる。
高齢者はソラマメを知っていた。
「脳いきいきアート」は絵を描くだけではない。昔の思い出、体験などを導き出し、そこから絵の苦手な人も、絵など描けないと思っていた人にも、ソラマメの匂いのなかで、他者とふれあい(握手もする、歌も合唱する)脳活性をすることが目的だ。
カリキュラムでは、素材(モデル)を切り分け、中身の色を観察したり、匂いを感じたり食したりして、アートへの導入部分にするのだが、ソラマメの話題で持ち上がり、その導入部分をしなくとも、参加者をすっかりソラマメの世界に誘えた。
私も、ソラマメのことを調べていろいろ話す。
「ソラマメは新石器時代の遺跡からも出土する古代エジプトやギリシア、ローマにおいて主食とされていた豆で、古代文明を支えた世界最古の農作物の一つ。日本には8世紀ごろ渡来した。和名の由来は、サヤが空に向かっているので「空豆」。またはカイコを飼う初夏に食べ、サヤの形が蚕に似ていることから「蚕豆」と。酒処では「天豆」と表示する。」
高齢者は昔の話が大好きだ。乾燥したソラマメを炒って海水浴に行き、塩水にふやかして食べた思い出などで盛り上がる。もうこれで絵を描いたようなものだ。
五月の連休に帰郷した孫とバーベキュウをしたとき、摘み立てのソラマメをサヤごと焼いて食べた、湯気の上がる綺麗な翡翠色。それはそれは美味しかった。 「絵を描いた後、このソラマメをみんなで食べましょうネ」と提案する。もうみなさん早く食べたい、描きたいという気持ちになってきた。 カリキュラム 春の小野菜の水彩画 1) 水彩絵の具の透明感、にじみ、混色を楽しんでもらう。
2) 極薄の墨で和紙に天(希望)を思い好きな線を1本描いてもらう。
3) それにソラマメから感じる色をのせていく。
4) 輪郭を描くのではなく、ソラマメに感じる色をにじませていく。
5) にじんで広がる色、混色する色、春、天、希望などを楽しむ。
6) サヤから豆を出して豆の色も楽しむ。
7) 竹ペン(墨)や水彩色鉛筆でソラマメをよく観察して表面の凸凹や光の当たっている部分など、細部を描き加えてもらう。
8) 描いたソラマメの周りを筆で濡らし、千切り取る。
9) 別に用意した葉書に、春を感じる色を全体に塗る。
10) 塗った葉書に千切り取ったソラマメを構成して貼る。
11) 好きな色の台紙を選び貼る。そのまま春の便りとして葉書として使っても良い。
いつも感心するのだが、「絵なんかよう描かん」と言っていた人が、完成した作品を見て「ほんまにこれ、私が描いたん。上手やなぁ〜」と生き生きしだす。脳いきいきアートには上手下手はない。それでもその人のほとしばるような個性が出る。そして素敵なアートが出現する。携わっていて嬉しい感激の時だ。 認知症の人は自分が絵を描いていたこともすぐ忘れたりもする。しかし手元に残る作品を何度も見直してくれる。そこからまた話題が広がり自信もついてくる。それが分かる。
このアートは凄いと思う。現場に立会い苦しい時も悩むこともある。しかし、それぞれの人に輝きを見いだしたとき、私は携わって良かったと思う。 鑑賞会はスタッフの人が茹でてくれたソラマメを食べながらやる。教室は春と希望で満ちてくる。
教室に携われたことに感謝である。
こちらの言っていることが伝わらない時もある。我慢の時もある。しかしこの「脳いきいきふれあいアート」は私の宝物になってきた。 |
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