来た道行く道通りゃんせ/風にのって花ひとひら

のんびりしたブログですがよろしくお願いいたします。

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弘ちゃんは生きている(53)木村徳太郎作(未完)
(前号までのあらすじ)
町村合併で桧牧区所有の山林が、個人持ちに分与された。個人持ちになって山林を売って金に替えるものも出てきた。歩きの前田さんが境目のはっきりしない自明区の、峰垣さん所有の桧を伐木して、売った事が原因で、児童間にも感情の対立が起こった。
進歩的だと区民から非難されている弘の担任の梶野先生は父親の酒好きと、後妻としっくり行かない弘を案じている。
ある日、山林を売って金を得た弘の父が、前田さんに誘われて町の料理屋に行き、酔って元のすってんてんになる。
山林を売って得た金で、自転車を買ってもらう約束の弘は、そのことがもとで後妻に辛くあたられ、たまらなくなって家出をして、山林をさまよう。級友が探すが見つからず、桧牧区の山持ちで育友会の役員の桐久保さんが見つけ、弘の悲しみを知って自転車を買って与える。
桐久保さんの息子の隆と、弘は仲良く自転車に乗って明るく日々を送っていたが、村の行事の、嶽登りの日、前田さんと自明区の区民との諍いが重なって、さらに桧牧区と自明区の区民、児童間の感情対立が激しくなり、梶野先生は心配している。
町村合併時、増築校舎が出来たが山間部の小さい学校で、たった一つの井戸に、用水を頼っていたが、校長の転任とともに、水道を引いて用水の不便を解消しょうと計画され、具体策が出される。それが、教室内の盗人事件や、学級委員の選考や、育友会の総会で、誰にでも、区民の感情のもつれと分かるように事件が表面に出てきたのと、農繁期が重なって、水道工事は具体化されそうにもない。果たして、大人の世界の醜さにひきかえて子供たちはどう動いていくのか?

☆☆☆
総会で、水道工事の審議が、引請け人の事で妙な終わり方をしてしまってので、福井校長は心にしこりが出来たと見えて、登校すると校長室に入ったまま教員室に顔を見せない。
総会が終って、肩の荷を下ろした先生方は、育友会の準備の忙しさにかまけて、購買部の鍵を盗まれた古川由子に、他の鍵を与えたまま深く調べないで日を過ごして来たが、どのように処置すればいいのかを相談したいと思いながら、校長の不機嫌な様子に話し出すことに戸惑っていた。
その時、福井校長を困らせることが、また起こった。
「校長先生おられますか」
歩きの前田さんである。
「見えておられますが、どんな用件でしょう」
受け持ち児童の朝子の父なので、梶野先生が立ち上がって答えた。
「娘が学校へ行くのが嫌だと言って、家を出ません。なぜかと聞くと、学校で金を盗られた者があって、盗ったのが朝子だと苛める。それを聞いて腹が立ちました。校長さんに会って何を証拠に朝子が盗人といわれるのか聞きたいのです」
急いで来たと見えて、寝巻きの上に裾のすり切れたコートをひっかけている。
あまりの格好なので、校長に取り次ぐのを梶野先生がためらっていると、
「校長先生を呼んでください。決着をつけてもらいたいと思います」
声も荒々しい。育友会の総会の発言ぶりから考えても、関わりあっていると、事が大きくなるかも知れない。
他の先生たちもは困った顔付きで、前田さんを見ているだけで、誰も発言しない。
穏やかに話し合おうとしても、おそらく無駄だろうと梶野先生は
「校長に取り次ぎましょう」
と、校長室へ入って行った。
と、常日頃、朝会前に来客の余りないのに似合わず、育友会の楠田さんと、辻さんの母親も教員室に入ってきた。そこにいる前田さんを見て、楠田さんと母親も、ちよっと間が悪そうな顔をしたが、引き返すこともならず先生方に朝の挨拶をする。
「昨日の総会の話がてら、辻さんのことでお尋ねしたい事がありますので、早くから伺わせて貰いました」
楠田さんが辻さんの母親と、意味ありげに目で頷きあいながら言う。
伊藤先生が、楠田さんと、辻さんの母親に椅子を勧め前田さんにもお義理のように椅子を勧めた。
校長が、教員室に顔を見せ、
「やあ、昨日はお世話になりました。こちらからお礼に参らねばなりませんのに、わざわざ朝早くから見えて下さって、なにかお急ぎの事でも・・・」
と、前田さんを無視して、楠田さんに挨拶をする。
校長が、楠田さんにだけ言葉を交したので、前田さんはバカにされているとでも思ったのか、
「早よ来たのはわしでっせ。わしの話から聞いておくれやす。」
と、気負って、椅子から立ち上がった。
「家の娘を盗人やと言い寄って、学校でそのように教えていやはりますのか。早ようから会長さんと辻さんも見えましたが、盗られたと言うのは辻さんの娘や。丁度よろしい。会長さんも見えており、何が幸いになるか判りまへん。一緒に話し合って、白黒を決めて欲しいと思います」
朝子が盗みもしないのに盗ったと言い掛かりをつけられたと言う。親としての憤りが言葉を強くさせるのだろう。おまけに、区の歩きをしていることに、劣等感を持っており、常日頃強い事も言えぬのが、裏返しになって反発心がいっそう盛り上がるのだろう。喧嘩腰の口調に校長はどぎまぎとしながら、
「どんなことなのでしょう」
と、前田さんの方に向き直った。
「家の娘が盗人と言われて、黙っていられますかいな」言い分を聞けと言わぬばかりに居丈高に一方的にまくし立てる。
「平田君。どのような事になっているのかね」
前田さんの脅迫じみた言葉で、助けを求める風に校長は平田先生の顔を見る。
平田先生は緊張したその場の空気に、どのように答えたものかと少しとまどっていると、
「校長先生。先日、学校内で、辻さんの娘さんが二百円盗られた。それを前田さんの娘さんが盗ったと、辻さんが言いふらしているように思って、今朝、前田さんが辻さんの家に怒鳴り込まれたんです。それで、水道の件もあり、私たちも早くから寄せてもらったのです」
前田さんは、学校に来るまでに、すでに辻さんの家にも寄ったらしい。平田先生に代わって楠田さんが、一応の筋道を手短く校長に話した。
 昨日、平田先生に盗難事件を耳打ちされて、校長もその事は知っている。しかし、こんな大事になるとは思っていなかった。いま目の前で言い立てられて処置に困った。
しばらくして、その場を取り繕うように
「おっしゃる事は良く分かりました。もう、授業も始まります。後日よく調べて今後このようなことのないように注意させます。今日はお引取り願えないでしょうか」
と、穏やかに言った。
しかし、治まるどころか、
「校長さんの子供が、盗人といわれたら、親として腹が立つでしょう。子供が学校に行かないと言います。どうしてくれます」
と、前田さんは開き直った。
「学校に出るように言ってください。学校でもこのようなことを言わせないように注意をします」。
すぐ解決がつきそうにない。校長はどこまでも低姿勢だ。そこで、前田さんが帰れば、その場は治まったのだろうが、そのとき楠田さんが、
「前田。校長さんを馬鹿にするのか。朝早うから、言い掛かりをあっちこっちにつけまわって、何ごとだ」
前田さんの総会の発言、楠田さんは不愉快さを味じわされて、憎しみを持っている。加えて前田さんの開き直った話し方におさえきれない感情が芽生えて高飛車に言った。
それが、前田さんの心を一層たかぶらせた。
「会長やから、人を見下して馬鹿にするのか。会長がなんだ。悪い事ばかり計りよって・・・」
「なに?悪い事とは・・・」
楠田さんも激昂して、椅子から腰を浮かした。
突つかみ合いが始まりそうな気配だ。
「そうじゃないか。腹を合わせて、水道工事で儲けようとした。歩きでもそのぐらいのことは分かる」とんでもないことを言い出した。
「人を侮辱する気か」
楠田さんは怒った。思わず手を伸ばして前田さんの胸をどんと突く。
それがきっかけとなり、突かれてよろめいた前田さんも負けてはおらぬ。立ち直ると、楠田さんに向かって行き、腕力沙汰の喧嘩になって二人はもつれあって組み打ち出した。
女の先生たちと辻さんは不安顔で、教員室の隅へ難を避けた。
校長先生と平田先生が、二人の間に割って入り、組討ちを止めようとする。
引き止められて、楠田さんは少し落ち着くが、前田さんは納まりそうにない。怒声を続けながら、楠田さんに突っかかって行くのをやめない。
梶野先生はいたたまらなくなって、前田さんの前に立ちふさがり
「おっしゃることは良く分かります。子供たちがそんなことを言うのは教師の責任です。僕がおわびします。どうか納まってください」
梶野先生の前田さんの心を汲んだ穏やかな話し掛けに、前田さんも少し落ち着いたのか、突っかかる事は止めたが、楠田さんを罵ることはやめない。
二人の怒鳴り声が大きいので、運道場の児童たちにも聞こえたとみえ、背を伸ばして、教員室の窓硝子に鼻の頭をくっつけている児童が増えてきた

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(画像)絵本 「星たちは花になりました」 ヨリ


木を植えるということ

      この地球の上に

     天の川のような

       美しい花の星座をつくりたい

     花をみるこころが一つになって

       人々がなかよく

         くらせるように

             佐藤良二



 中学生の時、教科書で御母衣ダムから移植された荘川桜が、蘇えったことに感動した「佐藤良二さんという国鉄バスの車掌さんが、太平洋と日本海を結ぶ受け持ちのバス路線を、荘川桜の街道にしようと、自分の蓄えと少ない休暇を使い、一人で黙々と桜の苗を植え続けた」と言う話を学びました。
私はそれが、いつまでも心に残り頭から離れませんでした。自然豊かな所で、そしてまだ中学生だったためか、わざわざ桜を愛でるということを知りませんでしたが、「自分の好きな煙草代もせっせと貯め、苗木を買い、休みの日に一本一本街道に植えて行く」その行動にとても感動したのです。そしてそのバスの運転手さんが、とても素敵な人に思え、「尊敬をする人」を記入する時はいつも、「桜の運転手さん」と書いていました。ところがこの「桜の運転手さん」を知らない人が多く、不審に思われ、聞かれる度にいつも気色ばんで説明をしたものでした。
そして『木を植える男』ポール・コールマン著、を読んだときも佐藤運転手さんを思い出して涙しました。しかし涙はそれだけでは終わりませんでした。
その後、次のような記事を見たのです。
私の尊敬する「佐藤運転手さんは、2000本あまりを植えたところで、病魔に侵され志なかばでこの世を去られた。そして、そのあとをお姉さまが、弟の意志を継いで桜を植えておられるが、街道は車が多く廃棄ガスで木が弱って来ていること。お姉さまもご高齢になり老体に鞭打ち、朽ちていく自分の体と戦いながら桜を植えておられる」そのような記事でした。そして、野良着の凛とした顔のお婆さんの写真が載っていました。
私は、またまた感動して涙が出ました。教科書の話は事実で、そしてその意志を継いでおられるお婆さん(記事掲載当時、佐藤さんのお姉さまは六十代でした)がおられる。私は感動で身震いをしました。
しかし、その身震いは、その時に同じ場所に掲載されている別の記事で複雑な思いにもなりました。別の記事にお姉さまと同じ六十代の方々が、「六十代のファションショウー。高齢になってもおしゃれ忘れず」と華やかに着飾って写されているのでした。とても複雑な気持でした。(野良着の化粧気もないお婆さん(お姉さま)がひたすら桜を植えておられる。一方でお婆さんと同じ年齢の方々が派手に化粧をし、華やかにショーをやっておられる。)
その記事を読んだ時の私は、六十代には、まだまだほど遠い、先のことでした。
しかし、その記事を見てからずぅ〜と、この二つの記事に考えさせられ、私の心にいつも何かが澱(おり)のように重くありました。
そしていつしか私も六十代になりました。
「六十代なんて若い若い。もっとおしゃれを。もっと前向きに」と、毎日のようにファションショーなんて行なわれ、今や記事にもなりません。でも私はそれに煽られる?より、野良着姿で桜を黙々と植えておられた、あのお婆さんと同じ年齢になった事に、心が震えるのです。中学生時代の感動、その後の記事を読んだ時の感動、それとは別に感じた複雑さ、そして私は「桜を植える」と言う形でなくとも、あのお婆さんのように何かは分からないけど、凛とした生きかたをして来たのだろうかと、考えるのです。
同じ六十代になり、「私は凛として生きて来ただろうか」「凛としているだろうか」
と、とても思い悩み、そして反省するのです。
いま、私(たち)は
「前向きに、おしゃれに、生涯現役、生涯学習、病気をしないための健康とおしゃれ」
と、毎日のように追い立てられているように感じます。そして、
若さがもてはやされ、皺の数、白髪の数で優劣をつけかねられません。
桜を植える数(意思、心)では優劣をつけません。

私は十年前に、どうしても佐藤さんとそのお姉さんの気概、心、を感じたく、そのバスに乗りました。荘川町と白川村を結ぶ国道156号線沿いに、桜は植樹されており、佐藤さんが夢見た「さくら道」は桜街道と名づけられ、綺麗な花を咲かせていました。しかし、どれが佐藤さんの植えたものかは分かりませんでした。
荘川桜はとても有名で、観光客がたくさん押し寄せると聞きます。しかし、同じ荘川桜の佐藤運転手さんは、あまり知られていないようです。今は教科書にも乗らないようです。
しかし、私は佐藤さんが願っていた「花をみるこころが一つになって・ 人々がなかよく・くらせるように」それを思うのです。
家の近くの土手の桜並木は、土手の側(かたわら)で開業されている製材所のお爺さんが昔、植えました。近くにある名所の海津大崎の桜は、トンネル工事の作業員だった宗戸さんが、仕事の合間に植えられました。近くの有名な棚田の一本桜は、田んぼの持ち主のご先祖さまが植えられました。そして、私の自治会は丘の上にあり、丘の坂道に沿って六年前に住民で桜を植えました。今年は、その満開の桜の下で、住民一同お花見をやりました。桜や木は、元を手繰れば、誰かが植えたのでしょう。昔の人が、一生懸命植え、後世の私たちに心の宝石を下さっているのです。そして、(心が一つになって仲良く暮らせるのです)。この心を受け継いでいく。私は(この心を感じる)ことを、凛と受け止め、感じていく生き方をしたいと思います。今年も沢山の桜を見させていただきました。沢山のことを教えていただきました。昔から受け継がれた桜(心)を見ること。そして、「満開の桜時が良い。お天気が良かったら、等と欲張ってはいけません。その観桜の出来たその時が一番最高の花見時であるのです」とも教えていただきました。そこには、あの昔、複雑な思いを持ったことへの答えが示されていました。追い立てることも欲張る事もないのです。あるがまま。そして森羅万象に心を感じ、あの桜の運転手さんのように、そのお姉さんのように、私は凛と生きていたいと思います。



(星たちは花になりました   新風舎発行  上杉和子作)

地球が汚れると、星たちは地上に降りて
こられなくなります。
 いつまでも美しい地球であり、夜空でも
地上でも、耀き続けられるようにしていか
なければなりません。
 星たちが花となり花が星となって、人々
に話しかけ、人々もいつまでも優しい心を
持ち続けられることを祈ります。
 





 タシザンノウタ 木村徳太郎 (童芸S17.06月号) 
   

            栗の梢ニ 栗鼠二匹

            尻尾フリフリ 栗の実タベル

            栗ノ実コロント 落チマシタ

            下ノコ栗鼠ガ 上手ニウケル

            明ルイオ山ノ 栗ノ木ニ

            コ栗鼠ガ三匹 仲ヨクアソブ。


            豚ノ子ドモガ 五匹デス

            小サイ尻尾ニ 桃色ノ耳

            オ鼻ニワラヲ クッツケテ

            ブウブウナイテル 親豚二匹

            アワセテ七匹 豚ノ目ハ

            光ガマブイカ ショボショボシテル。


            白ト茶色ト 黒イ色

            カワイイオメメノ 猫三匹ニ

            手毬トアソブ 一匹ト

            オヒゲノナガイ 一匹ヲ

            アワセテイクツニ ナリマセウ

            オ手手ノ指ヲ カゾエテゴラン。


2007.04.30

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