来た道行く道通りゃんせ/風にのって花ひとひら

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一月の歌(今昔)

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ビーズのお寿司と昔のあそび


正月  あそび   
 冬休みの校庭は閑散としている。校門には鍵がかけられ、木の葉が舞っても追いかける児童もいない。私の子どものころは校庭が一番の遊び場所だった。教室の勉強より、放課後の校庭で遊ぶガキ大将のほうがヒーローだった。家から8キロ近くを、峠や山道を越えて通学する児童は、いつまでも遊んでいるわけにはいかない。学校に隣接する神社が住いの私に、「勉強が出来て当たり前や。私らが遠路歩いている時に、もう宿題を済ませられるんやもん」と厭味をいう。(私はその時間には、主婦代わりに夕餉の支度をし、風呂の水汲みをしていたのだが)
元旦は登校する。新年の行事が済めば紅白の饅頭をいただき、遠路通学も家事の手伝いも気にすることなく児童たちは一緒になって、思い存分校庭で遊んだ。それがお正月だった。児童の歓声が新年の光のように輝き溢れていた。凧揚げの邪魔をする電信柱もない。男児が独楽回しを競い、こちらでは女児が羽根突きに黄色い声を上げた。奴凧が泳ぎ、抜けるような青い空から、追羽根がクルクルと虹色のマーブル状になって落ちてくる。誰かが「やっぱり羽根を落したら墨を塗ろう」といい出す。奴凧の足が千切れたと悔しそうにいう。家の近い私が硯と筆を、新聞紙と糊を取りに帰る。遊びに飽きると石段を駆け登り、初詣をすませ我が家に上がってカルタとりをした。男児も女児も団子になって遊んだ。狭い部屋で肩突合せる熱気がなによりの正月のご馳走だった。村に一軒だけある雑貨屋で、羽根突きの羽根を選び、独楽を選び、奴凧に新聞紙の足を付け、枕元に置いて「後幾つ寝るとお正月」と指折り数えて待つお正月だった。

「爺ちゃん。羽子板を作れる?」と、孫が帰省してくるなり聞く。授業で「昔の遊び」を学び「僕はけん玉。羽根突きはサミリオちゃんとハンナちゃん。独楽回しはユミジ君とルキト君。お手玉はウミト君とメルちゃんがやった」と話す。どの遊びも懐かしく耳に入ってくるが、友達の名前には驚いた。孫は夏には手作りの釣り棹で魚を釣り、秋には木の枝のパチンコで団栗を弾に遊ぶことを爺ちゃんに教えてもらっていた。羽根突きも爺ちゃんに指南を受けようと思ったらしい。しかし、羽子板は持つところが、デコボコのカーブになっていたように思う。板があっても爺ちゃんに作るのは無理だろう。変なものを作り日本の伝統文化を壊しては大変と、私はすぐさま玩具屋へ孫を連れて行った。ところが、どこにも羽子板も羽根も売っていない。それどころか棚いっぱいに並んだゲームや、リモコンカーや、ロボットに孫はすっかり羽子板を忘れてしまった。チップを挿入すると怪獣の数や姿が変化する、私には訳の分からない玩具を買わされてしまった。女児の孫も「ビーズが欲しい」と赤と白の玉を持って来る。ビーズは糸と針を使う手芸だ。さすが女の子! こうして手先が器用になるのは嬉しいことだと何の疑いも持たずそれも買った。(これが正月3日間の、揉める元になるとは思いもしなかった。)
早速ビーズを広げてみた。ビーズに針穴がない。娘が「網は買って来た?」と聞く。糸と針を使わず、専用の網にビーズを並べ水をかけて形を固めるらしい。網なら笊があると笊を持ちだしたが、ビーズの大きさと笊の目が合わない。(なんだか時代を知らない浦島太郎になった気分だ。)2日目、私はまた玩具屋に行き、セットなら網も入っているだろうと、セット表示のあるものを買った。しかしそれは、鉄火巻きやイクラの握りなどがビーズで作れる寿司セットで、ご丁寧にバラン・お箸・醤油なども入っているが網はなかった。またしても浦島太郎気分だ。3日目に娘が網を買いに行った。ビーズの材質が何だろうと不思議そうに眺めていると、孫が霧吹きで水をかけ始めた。「濡らしたら固まるから駄目」と、慌てる私に「固まっても千切ったらまた使える」という。そういうものかと私はそれ以上、止めも叱りもしなかった。帰宅した娘が「婆ちゃんは、お金が有り余って玩具を買ってくれているわけではない。無駄になるようなことはしないの」と、孫を叱りはじめた。その通りだ。が、なんだか私の馬鹿さ加減をなじられているようで、また浦島太郎のように小さくなってしまった。
孫の似顔絵で福笑いを作り、それに笑ってくれたのが私のお年玉になった。爺ちゃんは竹馬を作った。たかが玩具、されど玩具。いろんな玩具が年玉のように心に貯まっていく。
 冬休みが終わると、校庭に児童も戻ってくる。校庭が寂しいと嘆くことはないだろう。
私の時代にも、ゲームがあればやはり羽根突きよりゲームに夢中になったかもしれない。時代時代で楽しく遊んだ物が、心に残るのなら、それは昔も今も宝として同じことだろう。子どもは遊びが仕事だ。精一杯遊びをして、大きくなっていって欲しい。


       追羽根の色包みして空清く心強くと打ち返す

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