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画像は大正富山医薬品株式会社が出している、谷内六郎画伯の絵(10月)からお借りしました。
♪ 宝物 秋の絵と詩
「秋はなんでも染める」(詩木村徳太郎「秋の刷毛」ヨリ)
晴れ渡った水色の空。ハイキングに行きたいなぁ〜。心が浮き立ちます。
コスモスが揺れている。花びらで恋占い。乙女のようにときめきます。
長く伸びる日差し。優しくて暖かい。子守唄みたいです。
どんぐりを拾います。ポケットがふくらみ 子供に還ります。
木の葉が散ります。居なくなったあの人に 涙がこぼれます。
時雨がきました。涙が霧になった? 寒いけど虹が出てますよ。
風が匂います。お腹もへりました。
秋は沢山の絵の具が混ざります。
心もいろんな色に染まります。
秋ってなんでも染めるんですね。
そんな秋が大好きです。
秋の 宝物 二つ
「昭和31年から25年間「週刊新潮」の表紙を飾っていた谷内六郎画伯の絵を思い浮べた。父は貧しい中から遣り繰りをして、その表紙絵が「大好き」と言う私を自転車に乗せ、町の本屋さんへと急ぐ。荷台の枠に捉まり、足をぶらぶらさせながら父の広い背中に頬を寄せる。夏は、懸命にペダルを漕ぐ父の背中に、玉のような汗が浮いてくる。冬は、「寒いから、コートの背中に顔を入れて」と言う。春は、降りしきる桜吹雪と競争をする。秋は、私の手に舞ってきた木の葉を父の頭にそっと乗せてみた。
そして帰り道。私は谷内六郎画伯の絵の世界に入り込んで、おかっぱ頭の女の子やいがぐり頭の男の子と一緒になって遊ぶのだ。
その表紙絵を父は貯めていたはずなのに、いつか処分してしまったのだろうか。父の死後、私の手元に帰って来ることはなかった。(ジューン・ドロップ「木枯し」より)」
ブログ友のこうま地蔵さまhttps://diary.blogmura.com/nohohon/(こうま大輔の部屋)が、谷内六郎さんのカレンダーを送って下さった。製薬会社が出しているカレンダーらしい。倉庫に眠っていたからと八年分も送って下さった。ありがとう。ありがとう。
谷内六郎さんの絵が手のひらにぎゅっと詰まった。「私は谷内六郎画伯の絵の世界に入り込んで、おかっぱ頭の女の子や、いがぐり頭の男の子と一緒になって遊ぶのだ。」
私はまた絵の中で遊んでいる。10月を遊んでいる。色々に染められていく幸せな秋のひとときだ。カレンダーが宝物になった。「秋の刷毛」もカレンダーも宝物。嬉しい秋だ。
ありがとう 、ありがとう。
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木村徳太郎の「秋の詩」をいくつか集めました。
秋の刷毛(ブラシ)
昭和32年株式会社金の星社発行。小川未明記念出版。日本名作童話4年生より(北原白秋先生に「雨」と同じくとりあげられたもので忘れられない詩=徳太郎記)
秋はなんでも 刷毛(ブラシ)で染める/ ビルの白壁 葡萄のいろに/
日陰(ひかげ)の土を つめたいいろに / 並木の葉っぱ 薄黄(うすき)のいろに/秋はなんでも やさしくそめる。/
銀の落ち葉
天の落ち葉の 雪が振る / どんどんどんどん 街に降る /
お空は秋の おはりだろう / どんどんどんどん 村に降る /
銀の落ち葉の 雪が降る /
秋と婆(ばば)さん
くるくる 落ち葉の 糸車 / 秋の婆さん まはしてござる /
もうすぐ 時雨で 寒うなる /
はよはよ 紡げ(つなげ) / ぶんぶんと / 落ち葉の 糸くず 糸車 /
秋の婆さん / ちらしてござる/
日暮
日暮が 機(はた)織る / きりつとん とんかたり /
鼠色(ねずみ)の糸に / きりつとん とんかたり/
虹の糸かけ / きりつとん とんかたり/
良い子に着せよと / きりつとん とんかたり/
縞目縞目に / きりつとん とんかたり/
夢を織り交ぜ(まぜ)/ きりつとん とんかたり/
日暮が機織る / きりつとん とんかたり/
東大寺 戒壇院
日暮て 築地 / 齒朶 紅葉 / 尾花は 枯れて ありました/
昔 昔よ 菩薩戒 / お受けなされた 戒壇堂/ いまは 侘しい / 落ち葉 焚く/堂爺が 一人 錦絆天 / 入日地下り 砂利 小道 /鹿は 遠くで なきました /
木犀咲く坂
水歯磨きの 清(すが)しさで 頭のうえを 唸りがかけた /
飛行機日和 よい日和 林檎 噛み噛み 聞いてた 僕は /
木犀咲く坂 匂ふ坂 あの子は松葉杖(つえ) 止めて(やめて)見てた /
秋と病床
今朝はすつかり 秋の空 / 薬の瓶も 冷えました/
背中も痛く ありました / 花瓶の花も 涸れました/
今朝もねたきり 読本で / __ああ思えます 二学期が/
秋の朝
晴れた窓辺に 花 匂ふ / 机に雲が 流れてる/
雀の影が ちんちんと / 雲がとんでる 秋の朝/
とんぼつり
みんな 上向く とんぼつり / 暮れの夕陽が 目に沁みる/
とんぼ ほいほい とんでゆく/ すが糸くはえて 追いかける/
とんぼくるりと 逃げてった / すが糸空に もつれてる/
みんな下向く とんぼつり / 落ちたすが糸 探してる/
月の路
夜更けの路の 月の路 / 土の神様 歩かれる/
黒い服着て 月の路 / からりころりと歩かれる/
夜更けの路の 月の路 / 月の神様 唄はれる/
月に向かって 唄はれる / からりころりと唄はれる/
夕焼け
ガソリンの 海に 火がついた / 火焔がぼうぼう あがってた/
いまにも頭へ 落ちそうで / こはくてこはくて 目を閉じた/
秋陽
土手を行く 僕の背に おんぶよ 秋陽は子供です/
__柿の実が 光ってて 秋陽は 欲しいとぢれました/
土手を来て 黄金の田 二人で見てます お昼です/
夕暮
れもんのような 陽が沈む時 街はれもんの色してた/
葉っぱの落ちた 並木が 路へ 悲しいうたを うたってた/
僕はチヨコレート ほゝばりながら 冷たい舗道(みち)を歩いてた/
ベランダ
夕焼け 林檎 波の上/
赤いジュースが ながれてる/
ランプのついた ベランダよ/
ジャムの匂いが ながれてる/
お風にのった 白い船/
明日の汽笛が ながれてる/
日暮の舗道(みち)
並木の枯葉 かけてゐる / 日暮の舗道 風のみち /子犬が一匹 かけてった/
月光(つきかげ)
ぎんなんの梢 実が白い 月光(つきかげ) /
地蔵さまお笑ひ なさるような 月光 /
線香の匂いが 流れてる 月光 /
いつまでも立ってて 祈ってる 月光 /
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