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(1)パウル・クレー作「カイルアンの様式で、穏やかな調子に移しかえて」(カイルアンはイスラム教の聖地の一つ)(2)クレーは作品の向きを無視しスケッチを逆さに置いたりして同じ作品をいろいろに置き変えている。向きを変えてみよう(3)そして線を模写し、五月の風景を描いて素描きにした(4)それを転写して、色をのせてみた。
パウル・クレーの絵(絵画を楽しむ)
パウル・クレー「パウル・クレーおわらないアトリエ」展に行った。クレーの絵が大好きだ。
高校のとき、同級生のお兄さんが美大へ通っていて、絵のモデルを頼まれたことがある。同級生の家に楽しい線と色彩の流れる絵がかかっていた。始めてみる絵だった。パウ・クレーの絵だと教えてもらった。詩が流れ出てくるような気がした。美術の授業のとき、大小のマスに分割して青のグランデーションで塗りつぶした絵を描いた。先生にパウル・クレーの絵のようだと褒められた。絵がどんどん好きになっていった。
小遣いをためて美術書を買ったり、美術展に行くのが楽しみだった。それが、ずうーと続いている。
クレー展をワクワクして待った。4月にやっと行けた。思っていた以上の素敵な展覧会だった。絵だけでなく作品の制作法も記載されている。「写して、塗って、写して」。クレーの絵は独特の色調に、なにか汚れたような影がありそれがまた味があると思っていた。以前からそれが気になっていた。黒い油絵の具を塗った紙の上に素描を置き、線を針でなぞって転写、彩色する技法を取っていたのだ。影は転写するときに汚れた物ではないだろうか。有るか無しかの汚れが独特の色調の中で生きている。不思議に思っていた謎がとけた気がした。転写しているから、同じ線描きに色調を変えて何枚も制作できたのだろう。また「切って、回して、貼って」では、仕上がった作品を切断、分割、再構成している。
臨床美術でも出来上がりの作品を天地左右に回わしたりして、サインの入れる場所を考えたりする。それはまた思いがけない新鮮さを呼んだりする。そんな面白さを体験しているから、クレーの技法に納得できた。また「おもて/うら/おもて」では作品の裏面にも描いた2次元から3次元に及ぶ表現への挑戦だ。これは以前、趣味でやっていたパッチワークに繋がるところがあるようにも思った。
絵を眺めるだけでなく、クレー作品が物理的にどのように制作されたかが理解できる楽しい美術展だった。クレーは5つの街(ミュンヘン、ヴァイマール、デッサウ、デュッセルドルフ、ベルン)にアトリエを構え、その住居の壁には、完成・未完成の多くの自作がかけられていると言う。そのアトリエの一つが目の前の美術展となったようで、まさしく「おわらないアトリエ」だ。クレーの試行錯誤が、観客にも検証させてくれているような気がする。
クレーの絵を見ていて転写の技法が「脳いきいきアート(臨床美術)」にも活用できるような気がした。これまでやってきたことがなんだかすべて繋がっていくような思いがする。クレーに関する書物や図録、それに孫用に絵本やパズルとたくさん購入して、贅沢な一日を与えられた幸せ感で帰宅した。
帰宅数日後、自宅の近くにある美大の講義を受けに行った。大学は学生食堂以外に一般の人も行けるカレッジカフエがあり、時々利用していた。芸術系大学の構内はユニークで面白い。いつも大学構内を散策して帰る。そして昔、私を描いてくれた同級生のお兄さんと同姓同名の研究室を発見したのだ。それ以後、聴講生の案内をいろいろ貰らっている。お兄さんはもう退官しているが、「西洋美術史入門」講座を教えてくれそれに行ったのだ。
「ドイツ___もうひとつの美術大国」クレーを中心にしたドイツの現在美術の動向が紹介された。ドガ、マチス、ゴッホ、ガンジスキーそしてクレーに繋がっていく作品の流れがとてもよく理解できた。クレーの絵の生まれた必然性を感じた。私はもう一度クレー展を観に行きたくなり、そしてまた足を運んだのだ。
その会場で先輩臨床美術士に出会った。「クレーの制作方法を臨床美術に使える」と、私の思いと同じことを言う。そして、利用できるからとクレーの「塗り絵」を購入し、二部ずつ入っていたので私に一部くれた。いろいろアドバイスをしてくれ、それに繋がるカリキュラムも教えてくれた。またまた最善の日をもらった。
孫のために購入しておいたパズルや絵本は、はからずも高熱の孫の守りにいかねばならなくなり、すぐに役立った。クレーの作品と過ごす日々が続いている。楽しい。
庭はチューリップの色とりどりの波だ。なんだかクレーの色彩が詩のように流れてくる。想像の楽しさ創造の嬉しさに暫くは「クレー日和」が続きそうだ。
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カクレンボ 木村徳太郎
フルフルアメノ ニチヨウビ
ダアレモコナイ オエンガワ。
ヒトリシャセイヲ イタシマス
オニハニデキタ ビワノキヲ。
ソウソウソレニ カアサンモ
カイテアゲマショ アトカラネ。
イクサニイカレタ トウサンニ
カケレバイモンニ オクリマセウ
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