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動物の謡15編 【私のユートピヤ】
絵本の企画として岡本ノート出版部へ提出せるものなり。図書はドウブツノウタ。(6歳〜8歳向)
(9) ヤギ(山羊) 木村徳太郎
ウラノマキバノ
コヤギサン
カワイイ コエデ
ナキマスル。
コヤギカワイト
チカヨレバ
オヤヤギツノヲ
フッテクル。
オコルオヤヤギ
カミヤレバ
ケロリ ケロリン
スグナレル。
コヤギヲツレテ
ノニユケバ
ハナガ ウレシユテ
ハネマワル。
こやぎさん お花のリボン 嬉しいね
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狐の裁判(7) 昭和二十四年三月発行
人形劇の脚本「猫の踊り」
登場人物 / 猫・鼠A、B・太郎さん・お父さん・お母さん
時と場所 / 太郎さんの部屋
下手より鼠A、B逃げてくる。猫、追っかけて現れ、舞台の中央。
A 「許してください。許してください。もう決して悪いことは致しません」
B 「猫さんどうか見逃してください。お願いです」
猫 「駄目、駄目、折角捕まえたのに、どうして許せますか」
B 「そうおっしゃらずに、どうか助けて下さい。お願いします」
A 「食べ物なら、私たちが台所から沢山持ってきますから。どうか許して下さい」
B 「そうです。そうです。食べ物なら、台所にいくらでもあります」
猫 「いやいや、台所の物はうまくない。お前たちのそのまるまると太った体のほうがうまいのじゃ」
A 「そうですか。駄目ですか」
猫 「うん。いくら言っても駄目じゃ。あっさりこのわしに喰われてしまえ」
B 「ええ、仕方がありません。では、あっさり食べられてしまいましょう」
A 「食われる前に、猫さん一つだけ願いを聞いて下さいませんか」
猫 「なんじゃ。願いとは」
A 「はい、どうせ噛み殺されるのなら心残りのないように、死に際に一度おもいっきり騒いで見たいとおもうのです。どうかその間だけみのがして下さい」
猫 「うん。そのぐらいなら良いだろう。心残りの無いように、思いっきりやれ」
A 「はい。ありがとうございます。心残りなく騒がせていただきましょう」
猫、少し後ろに下がり、見物する。
A 「さあさ、死出の土産、思い切り騒ぎましょう」
B 「そうとも、そうとも。思い切り騒ぎましょう。太郎さんのおもちゃ箱から、ハーモニカを借りてきましょう」
A 「私は笛を借りましょう」
鼠A、B太郎さんのハーモニカと笛を持ち出し吹きながら踊りだす。
猫 「こりゃ面白いわい」
猫思わず手を叩いて喜ぶ
猫 「もっとやれ。もっとやれ」
音楽が急調子になって鼠の踊りも、急調子になっていく。
猫 「やぁやぁ面白い。面白い。うん、そうじゃわしも仲間に入ろう」
部屋にかけてある太郎さんの着物を被って踊りだす。鼠A、B踊りをやめて伴奏する。
猫 「山寺の和尚さんは、まりは蹴りたしまりはなし。猫をかん袋にとじこめて……」
猫の踊りのころあいを見計って太郎、上手より顔を出す。
太郎「誰だい。そうぞうしいのは。あれ、猫が踊っている。これは面白いぞ」
鼠、太郎に気づく。
A 「おい、おい、太郎さんが来たぞ。こっそり逃げよう」
B 「うん。猫の気づかぬまに逃げよう」
鼠逃げる。太郎入れ替わってハーモニカを吹く。猫踊っている。
猫 「ああ疲れた。もうやめだ。それにしても腹が減ってきたなぁ」
踊りを止めて鼠の方を振り返る。
猫 「あっ」
びっくりして逃げようとするが、太郎につかまる。
太郎「逃げなくってもいいよ。タマ、お前なかなか踊りが上手いね。僕、感心したよ」
猫 「からかっちゃ困りますよ」
太郎「からかってはいないよ。もう一度踊ってくれないか。その代わりご馳走を沢山持ってきてやるよ」
猫 「ご馳走は鼠を二匹獲ったのですよ。踊っているまに逃げられてしまいました」
太郎「おやそうかい。僕が来た時、鼠が伴奏でお前が踊っていたものだから、演奏会でもやっているのかと思っていたのだよ」
猫 「そうじゃないのです。鼠は食われる前に最後の願いを聞いてくれと言って、踊りだしたのですがね、あまり面白いものだから自分も飛び入りしてしまって、我を忘れて踊っていたのですよ」
太郎「そうかい。それは残念な事をしたね。じやぁ、僕が鼠の代わりにご馳走を持ってきてやろう。だから、もう一度踊って見せてくれないか」
猫 「つまらないことになってしまったものだな。でも、せっかくの太郎さんの言いつけだ。じやぁもう一度踊りましょう」
太郎「そうかい、踊ってくれるかい。では、お父さんもお母さんも呼んであげよう」
太郎、下手に向って呼ぶ。
太郎「お父さん、お母さん一寸こちらへいらっしゃい。面白い物が見られますよ」
お父さん、お母さん現れる。
母 「太郎さんどうしたのですか。大きな声を出したりなんどして」
太郎「お父さん、おかあさん、タマがね。踊りを見せてやろうというのですよ」
父 「おや、それは面白い。タマ、さあ早く踊って見せておくれ」
太郎「お母さん、そのかわりタマに沢山ご馳走を作ってやって下さいね」
母 「はいはい、承知しましたよ」
太郎「僕、伴奏やります」
太郎、伴奏をする。猫、鉢巻を締めて踊りだす。
猫 「こりゃこりゃ、山寺の和尚さんが、まりを蹴りたしまりはなし……」
母 「面白いわ。タマに沢山ご馳走をしなくってはいけませんね」
お母さん、独り言を言って上手に入る。そしてご馳走を持って来る。
母 「タマや、タマや、さあ、ご馳走を持ってきたから一休みしておあがりなさいな」
猫、踊りを止める。太郎も伴奏をやめる。
太郎「タマや。遠慮しないで沢山おあがりよ」
猫、ご馳走食べかける。その時、鼠A、B下手より顔だけ見せる。
猫 「おや、逃げた鼠だな。うん、こんなにご馳走をもらったから、もうお前たちは食わないから安心しろよ」
鼠 「はい、はい、それは安心しましたよ」
猫、ご馳走を食べはじめる。鼠A、B舞台の中央へ出てくる。
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