新米居宅管理者の日々

今年ぶれまくってやっと落ち着く私

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新・凍りついた瞳

 新・凍りついた瞳    ささやななえ 原作/椎名篤子
 集英社 2003年9月24日初版 定価905円+税  
 ISBN4-08-782061-0 C0979 \905E  

「凍りついた瞳」というのは、虐待を受けた子が示す「Frozen watchfulness(凍てついた凝視)」

無表情で無感動な目を表した言葉です。



児童虐待の実態とそれに取組む現場の専門職の方々、それをとりまく環境や制度、法律などを事例を

もとにわかりやすく説明してあります。ノンフィクションです。

YOUという雑誌に連載されたものをまとめて本にしてありますが、この漫画雑誌は比較的こういう

社会的な問題などをとりあげる若い女性向きの本で、一時期読んでいたことがあります。

最初の「凍りついた瞳」2作目の「続・凍りついた目」は原作・コミックとも読み、この「新」が

出版されたのは知っていましたが、手にとるのを躊躇していました。

やっと読みましたが、児童虐待のありようはエスカレートしていき毎日のように子供たちが殺される

ニュースが入ってきます。

「虐待連鎖」によるものもありますが、ネグレクトによるものもあり、その子供たちが成長して、

今度は自分が受けた虐待に苦しみ荒れるケースがあり、その憎しみは大人に向かっていきます。

そのとき、親のかわりにしっかり受け止めて愛情をそそいでくれる大人がいると、もう一度子供を

やりなおして人間への信頼を取り戻すことが可能です。

この本には虐待されて心的外傷を負った子供たちを忍耐強く支え親がわりを続ける大人や、虐待され

死亡した子供の検視を行い死因を究明する医師、虐待されて育ち傷ついている親へのカウンセリング

を続ける精神医、子供をミイラのようにして死に至らしめた親の弁護を引き受ける人権派の弁護士、

児童福祉をとりまく様々な職種が登場します。

最後に収録されている作品は、アメリカとの制度の違いを描いてあり、法律的に日本には子供たちを

守るシステムがまだ確立されていず、不充分でうまく機能していないことをとりあげられてあります。

最初の「凍りついた瞳」連載が1994年、それから8年後、虐待される児童は増える一方ですが、子供

を守る法律の整備はなかなか進んでいませんでした。



このコミックがすごいのは、こういう使われ方をしたからです。

原作者の椎名篤子さんのあとがきによれば、この漫画は子供虐待に関わる専門家たちの悲願だった

「児童虐待の防止等に関する法律」の改正に向けて、願いをこめて制作されたものだったのです。

同法は2000年11月に施行されましたが、完全ではなく3年後に見直しを行うということでした。

その時、椎名さんは法改正に向けて自分にできることをしたかったそうで、急いでこの作品を漫画

化しました。(関係機関や研究者が求めている法改正の一部を詳しいデータとともに収録)

まだ連載途中、すでに法改正に向けて動き出していた国会議員にコピーして配ったそうです。

そのコピーを読んだ議員達は強く反応、この漫画は同法立法や予算に多大な影響を与えました。

議員達を動かさなければ、現場はいつまでも変わらないまま。自分が何をできるか、各自が自分の

やれることをすることで、福祉の現場が変わるということをみせつけられた本でした。

前作と違い、非常にデータが多い、つまり統計の数字。その説明からしていかなければならない

内容の原作を、作者から「数字は全部入れて欲しい」と言われ、気が変になりそうになりながらも

りっぱに完成させた、漫画家のささやななえさんも素晴らしい仕事をされました。

ささやさんの作品の根幹には基本的に「人間を信じる」というテーマがつねにありますが、漫画化

したとき、そのへんがうまく出ているのを感じます。

閉じる コメント(3)

娘が幼教でしたので「凍りついた瞳」を読みました。
勝手な言い分ですが「ワタシ そんな育ち方しなくて良かった!」でしたね。
私も人間を信じるタイプですが中にはどうしても理解不能な人も多いです・・・

2008/2/15(金) 午後 0:31 みみ

**さん、子供の時代は大人になってからはやり直せませんからね。。。
もう一度ゆりかごからやりなおせるなら、苦しむ人はいませんが、カウンセリングを受けることで若干緩和されることはあるかもしれません。(治療として遡って問題のあった箇所を発見することができますから)

2008/2/17(日) 午後 9:17 花みずき

みみさん、幼稚園や保育園で虐待の徴候がある子を見つけて通報しても児相が動かず救える命をむざむざ見殺しにすることが多いですね。
この問題は広範囲の職種の連携が一番大事だと思います。高齢者虐待も同じことですが、家庭の問題としてなかなか介入できない日本の長年の慣習があるから、こちらも手遅れになることが多いです。
いまも、日本のどこかで三面記事やワイドショーを賑わすような事件が起こっている最中かも。毎朝、新聞開くのが憂鬱。。。。

2008/2/17(日) 午後 9:24 花みずき


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