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●学習支援も含めた「第3の居場所」
後半は、実際にこの場に参加している子どもたちへのビデオインタビューを観ながら、日置さんともう一人いらしたこの場に関わっている方のお話を聞きました。
この場での活動の様子を聞いていると、子どもたちがのびのびとしていられ、またさまざまな大人たちも「出入り自由」な、他にはなかなかない場であることがわかってきて、私は驚きました。
他の参加者の方からは、何ら強制力のないこの場へ、子どもたちがどうして継続的に来ているのか、また、無報酬であるにも関わらず、どうしていろいろな大人がこの場に来るようになっているのか、ということへの疑問が述べられました。
私は、「評価しない、強制しない、子どもの声を聞く」場が成り立っていることが大きなポイントであり、これが成り立っているからこそ、子どもも大人も来たくなるのだ、と感じました。
○コミュニティハウス冬月荘が「成功」している要因は、以下の2つのことに絞られるのではないか、と私は思います。
・子どもたちはその場で自由でいられる。学習するために来ているけれど、学習を強いられることはなく、本人しだいで自分に合った形の学習をすればよい。
・さまざまな大人たちが関わっており、その大人たちも自由にリラックスして過ごしている。例えば、疲れて寝ていたければ寝ていてもいいし、子どもたちの要望に応じて勉強を教えてもいい。
●つまり、子どもたちの自発性の上に成り立ち、大人は余計なおせっかいをせず、子どもたちの要望にしたがってできることをする、「対等」な関係であることです。これは私がらくだ教材を通して行っていることとほとんど同じではありませんか!
このようなコンセプトで場が成り立っているのであれば、子どもも大人も「来たくなる」場になっているのは何ら不思議ではありません。利害関係ではなく、その場が人を呼んでいるのです。
私はこのようなコンセプトで場を作ることが実現していることに驚き、このコンセプトを中心になってまとめた方々にとても興味を持ちました。
講座修了後、日置さんに、このようなコンセプトの場にするためのモデルのようなものは何かあったのか聞いてみましたが、そのようなものは特になかったそうです。日置さんたちが中心になって、確固とした考えのもとに立ち上げていったのでしょうか。そこらへんのことをもっともっと知りたいと思いました。
釧路でのこのような実践例を全国に発信し、行政と志しのある民間の方々で連携を取って、各地域に広げていくことができたらどんなにいいでしょう。私は自分の中2の娘を見ていて、毎日学校と家との往復で、部活や何らかの習い事があるにせよ、地域のさまざまな大人との関わりが希薄であることを何とかできないものか、と思ってきました。
釧路での実践は、まさに子どもと大人の「第3の居場所」です。コンセプトさえしっかり成り立たせていれば、どんな場所にでも作ることができるはずです。地域の公民館でも普通の空き家でもいいし、学校内でもいいかもしれません。大事なのはコンセプトです。
今の学校を何とかできないものか、との意見も参加者から出ました。でも、今の学校システムを変えるのはただ事ではありません。学校が一番居やすい場になるのがいいのはもちろんですが、それは現実的ではないでしょう(いずれなっていってほしいとは思っています)。それよりも、このような「第3の居場所」を各地に作っていくことが大事であり、できるところから1つ2つとちょっとずつ、しかし着実に増えていくような何らかのシステムができないものか、と思います。
日置さんがこれまでやってきたことをまとめた本が出ているとのことで、それを読んだ上で、日置さんにもう一度じっくりお話をうかがう機会を作ることができればと思っています。
『おいしい地域(まち)づくりのためのレシピ50』(日置真世、筒井書房)
○以下に、用意していただいたレジメの後半部分を載せておきます。冬月荘での実践を感じ取ることができると思います。
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〈集団の様子と活動〉
・呼び名:全員が「呼ばれたい名前」
子どもも大人も所属や立場を持ち込まない 一人のおとな、子どもとして
・最初の2〜3日:全体学習 自習〜発表〜まとめ
・全体がまとまってきたらグループ別 志望校別の小グループ
・重要なブレイクタイム、昼休み、イベント ターニングポイントになった誕生会
新生児との触れ合い、地元のカリスマ塾講師、遊学館職員の出前講座、障がい児者との行事など
〈子どもたちの感想〉
「今までできなかったことができるようになった時は、ホントにうれしかったです。」
「今までわからなかった所がちゃんとわかったりしてよかったし、わかるまで教えてくれたからよかった。ここに来るまで、家で全然勉強しなかったけど、ここで勉強したことを家にかえってふくしゅうしたり、わかってくるとにがてな教科もたのしくなってきて。」
「スタッフの人達がみんな一生懸命ついて勉強を教えてくれたから、期待に応えられるようにと頑張った。そのせいか、理科が苦手だったのが、見違えたように出来るようになった。」
「高校行こう会で学んだことは、やればできるということです。良かったことは、教えてもらたことによって数学のもんだいが次々と解けるようになったことです。」
「前よりは勉強するようになったことが何よりの進歩です。自分の良い所、悪い所が分かるようになりました。」
「私はここの会が学校より楽しくて終わるのがいやだなとずっと思っていました。けど今日、受験まで続くってわかってすっごくうれしくて泣きそうになりました。」
「わからなかったらすぐだれかに聞いたり、友達と問題を出しあったりして、とても自分のためになった。」
「学校でも、家でも体験できないような気持ちをたくさん体験できました。自分がここで学んだことは、数学や漢字、社会に英語など勉強だけではありません。今までの自分は、自分以外をあまり好きではありませんでした。しかし、この会に参加してたくさんの友達ができました。」
「自分は今までできる限りで一人の力で物事を乗り越えようとか頑張ってきた。実際、三年間最後の冬休みも、勉強は一人で頑張っていこうと思っていた。だけど、そんな考えはここに来てから驚くほどに変わった。ほんのわずかな期間で、こんなに自分の気持ちが変わるなんて思いもしなかった。…仲間と一緒にいることの大切さと仲間と一緒にいられない不安さを教えてくれたこの会にはとても感謝している。ありがとうございました。」
〈実践がもたらしたもの その1〉
・卒業生その後
1期生の半数以上が第2期のチューターに
7月に冬月荘で受けたアメリカの高校生のホームステイ受け入れプログラムのホスト役として
ウエルカムパーティーの企画、進行を行う(08,09年連続)
1期生10名が集まってお泊まり会
2期生の多くもチューターを希望 普段から遊びに来る子も多い
〈実践がもたらしたもの その2〉
・参画者の声より
1、勉強がわかるようになる、できるようになる場
2、いろんな人がいる場
3、「素」になれる場
4、つながりの力が体感できる場
5、みんなで創り出す場
〈実践がもたらしたもの その3〉
・大人たちの役割・特徴
1、「場」のバックボーン
配慮ある関係=ケア 評価しない、見守る
活動機会のプロデュース
2、民主的な話し合い・運営
白熱するチューター会議、立場の違いを超えた議論、企画、実行
3、大人たちの居場所・自己実現
〈実践がもたらしたもの その4〉
・ウィークリーシステムへ
毎週2回 恒常的な場の創出
平日の勉強会 チューターの自主活動
他機関からの紹介
不登校、退学者の居場所
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