さまざまな学びのかたち〜すくーるhana便り〜

「学力がつく」ことは「人間として生きる上での自信がつくこと」 …教育・子育てについて等意見交換しましょうねー

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《北米大陸はご存知のとおり「新世界」である。近世に至るまで、あの宏大な土地にほとんど人間がいなかった。だから、ヨーロッパ人はアメリカを見てびっくりした。
 手つかずの自然というものを十五世紀のヨーロッパ人は見たことがなかったからだ。

 西ヨーロッパには森というものがない。フランスにもイギリスにもイタリアにもない。 全部切り倒してしまったからである。

 ペロポネソス半島はかつて深い緑に覆われていた。今は岩山にオリーブが寒々と生えているだけである。古代の製鉄が大量の燃料を要求したために、ギリシャ人がみんな切り倒してはげ山にしてしまったからである。

 だから、北米を見たときのヨーロッパ人の感動は深かった。
「ここには神が創造したままの原初の自然が残っている」と彼らは思った。
 シャトーブリアンを読むと、ロマン派の詩人の目に北米の自然がどれほど神々しいものに映ったかよくわかる。

 で、その神々しい自然を見てどうしたかというと、彼らは「これを破壊し尽くすのに、たっぷりあと1500年くらいはかかる。ばんざーい」と思ったのである。

 だったら遠慮はいらない。
 アメリカ開拓のフィーバーはほとんど「狂気」というのに近いものであった。

 開拓民たちは「荒野」を開拓し(それは要するに森林を消滅させるということである)、何年もかかってつくりあげた開拓地を棄てて、次の「荒野」へ向かった。そして、わずか数十年で大陸を横断して、太平洋までフロンティア・ラインを伸ばしてしまった。

 これはトックウ゛ィルならずとも「ある種の狂気」という他に形容のしようがないだろう。彼らは「破壊しても破壊しても破壊しきれないほど豊穣な自然」を前にして病的に興奮してしまったのである。

 そのメンタリティはそのあともずっとアメリカ人に取り憑いている。
 フロンティア・ラインの消滅の後、アメリカ人が向かったのは太平洋の反対側の小さな列島であった。

 そこの囲みを砲艦でこじあけ、原爆を落として紙と木でできた文明を破壊し、その次には朝鮮半島の半分とインドシナ半島の半分を焼き払った。それからアフガニスタン、イラクとアメリカの破壊のフロンティア・ラインは西漸を続けている。

 この「アメリカの西漸」を説明するために国際政治のスキームなんか使ってもあまり意味がない。
「西へ向かって、自然を破壊せよ」というのは最初に北米大陸を見たときのヨーロッパ人に点火され、それ以来消えたことのない根源的な欲望だからである。
 そうやってアメリカは自然を破壊してきた。

 それでも北米では200年にわたって、破壊しても破壊してもし尽くせないほどに豊穣な自然を人々は享受していた。
 それがそろそろ「おしまい」になってきたのである。

 地下水を汲み上げてスプリンクラーでじゃあじゃあ撒きちらすというアバウトな農業を100年やったら、ロッキー山脈の麓ではとうとう表土が流出して塩が出てきた。

 牧畜はそれよりももっと環境負荷の大きい営為である。牛一頭が育つためには膨大な量の植物が消滅する。アメリカの牛肉が安いのはそこで消滅した「膨大な量の植物」のコストをゼロにカウントしているからである。破壊された植生が再生しなくても、「じゃ、次行こう」でまるでオッケーだったのである。

 そうやって200年やってきて、さすがに豊穣なアメリカの自然も砂漠化し始めてきた。
 そりゃそうだろう。
 自然破壊した分を商品のコストから控除して国際競争力を確保してきたんだから。
『夕鶴』の織物の国際競争力が強かったのは「つるの生命の減耗」というコストを「与ひょう」がゼロ査定していたからである。
 アメリカがしてきたことは「与ひょう」のそれと同じである。

 まあ、そんなこんなでアメリカも「これではマズイ」ということに気づいて、大量生産・大量消費・大量廃棄の文化を少しでもスピードダウンすることになった。
 けれども、いきなり自然破壊を止めるわけにはいかない。それぞれの業界にはそれぞれの「お立場」というものがあるから。

 というわけで、「人間にやさしく、環境にやさしい」(より厳密に言えば「資本主義にやさしく、環境にもやさしい」)ライフスタイルをアメリカ人は模索することになったのである。

 何となく、「もう手遅れ」じゃないかという気が私はする。
 自然を破壊することをナショナル・アイデンティティの基盤に組み込んでしまった社会集団がそれを否定することは、彼らの存在そのものの否定につながるからである。

「本当のことを言うと、私たちの祖先は北米大陸に来るべきではなかった」ということをアメリカの多数が認めるようになったら、アメリカにもアメリカの自然にも再生のチャンスはある。
 「ロハス」がその予兆であればよいが、たぶん、違うだろう。

●私はこの文章を読んで、「目からウロコ」でした。

 なんとなくおかしいと思っていた事を、実に論理的に的確に表してくれたからです。「やっぱりそうだったのか!」「え〜、そこまで言うの!」という感じです。みなさんはどう思われるでしょうか。

 ヨーロッパ人がアメリカ大陸を「発見」し、以来これまでず〜っと「西漸」してきたと考えると、歴史というものがすーっとひと連なりにわかってくるように感じます。
 それにしても恐ろしい。これはとどまるところがないのだろうか・・・。

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