|
【人生の絶対的な座標軸】より
《だが、絶対的な座標軸ーたとえば「喜びや美の基準」といったものさしーが自分の中にあれば、日々の難事や苦しみは、ずいぶんとやわらぐものである。
これは、あくまでも自分のものさしだ、という点に強みがある。世評や人気といったような、他人を介在するものさしではない。浮き世の表面的なこととは関係がない。自己の体験から生まれた独自の軸なので、揺らぐことなく自分を内側から支えてくれる。
絶対的な座標軸の存在が、その人にとって、生きるということの決め手になるのだと思う。人生の苦しみを緩和し、さらには、世界の美しさや楽しさに目を向けさせてくれるような、生きる秘訣となるのではないだろうか。
この世はままならぬことばかりである。自分の理想とはほど遠い現状に憤慨や焦燥、諦念を覚えることも少なくはない。だが、座標軸があれば、周りがどう思おうと関係ない、という潔い強さを持てる。「周りがどうあろうと、自分の中から光を発し続けていればいいのだ」という域に達することができるのだ。その光源たり得るものとして、音楽はある。
「美しい」「嬉しい」「悲しい」「楽しい」…。一瞬一瞬に生身の体で感動することによって、人は、自己の価値基準を生み出し、現実を現実として自分のものにできるのである。それが「生きる」ということである。だからこそ、本当の感動を知っている人は、強い。生きていく上で、迷わない。揺るがない。折れない。くじけない。
音楽は、そんな座標軸になり得る。音楽の最上のものを知っているということは、他のなにものにも代えがたい強い基盤を自分に与えてくれるのだ》
●「自己の体験から生まれた独自の軸」という言葉に、ぞくっとするほどの快感?を覚える私は何なのでしょうー。私はこれを得るために人生試行錯誤してきたのかな、と言えるようにも思えます。
「絶対的な座標軸の存在が、その人にとって、生きるということの決め手になる」…そうだろうと、思います。でもそれが、「音楽」によって培われてきたもの(かもしれない)ということは、思いもよらなかったので、驚きでした。
|