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[5章 大人の作法 鷲田清一]から
【陽水さんの「あいまいな」メッセージ】より
《そういえば、いい介護施設というのは、大声がしない。だれかを呼んだり、何かを指示したりする大きな声が聞こえない。そこには場面が煮つまりだしたときにかぎってたまたまだれかが通りかかり、ふと場面が変わるといった僥倖のようなことが起こりやすいのだろう。
そういう場をどのように作るかに腐心したほうがいい。ちょうど子育てや教育において、子どもをどのように育てるかではなく、子どもが勝手に育つ環境をどのように作ったらいいかと腐心することのほうが大事なように。
陽水さんは、何がなんでも白黒つける、そういう思考の危うさをこそはぐらかしていたのだと思う。》
●「いい介護施設というのは、大声がしない」ー
この言葉で思い出すのは、ある児童養護施設でらくだ教材を導入してから、「館内放送することがほとんどなくなっていった」と施設の職員の方に聞いたことです。
らくだは自律的な学習ができるような対応をしていきます。らくだをしに来る時間も何分やって終えるかも子どもそれぞれが指導者と話し合って決めます。
らくだ学習が定着するにしたがって、子どもたちは学習のみならず、園内における生活面においても、自主自律的に行動していったことが、「館内放送をしなくてすむ」ことにつながっていったのではないかと思います。
このことは、職員の方があるときふと気づいたことなのだそうです。そして、「いつのまにかとても静かで落ち着いた雰囲気の園になっていった」と感じられているそうです。
「子どもが勝手に育つ環境」を、らくだを媒介として作って行ったと言えるのではないでしょうか。
というか、らくだはもともとそのようなツールであるということでしょう。
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