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私はこの人間的にとても魅力のある韓国人青年を、私の友人や親戚たちに紹介したいと思いました。そこで、冬の寒い時期でしたが、一緒に私の故郷である北海道へ帰省しないかと誘ったところ、彼も東京以外の場所には行ったことがなかったこともあり、喜んで同行してくれました。
もう16〜7年前のことですから、記憶があやふやになってきていますが、確か私たちは列車を乗り継ぎ、東北に住む友人を訪ねたりしながら、札幌へ向かったと思います。
札幌では、母親のところ、父親のところ、弟のところ、そして祖母や叔父叔母のいるところを訪ね歩きました。それに今思い出しましたが、倶知安に住んでいた友人を訪ねて、彼は人生初のスキー体験をしたはずです。
私自身帰省するのは久しぶりでしたし、「外国人に会ったことがない」という肉親や親戚たちの一人でも多くに、彼と会って話すという体験をしてほしいと思っていましたから、多くの場所を訪れるようスケジュールを組みました。
行く先々で歓迎してくれましたが、実はみな、「恐る恐る」彼を迎えてくれたようでした。とにかく「外国人」に会ったことがないし、ましてや「韓国人」ということで、言葉も通じないだろうしどうやってコミュニケーションを取っていいのやらわからないと思っていたようです。
また皆一様に戦時中の日本軍の蛮行を思い起こし、「何か言われたらどう反応したらいいのか…」という思いを抱いていたようでした。
しかし彼に会って話をすると、すぐにみな打ち解けました。日本語は上手に話せる上、礼儀正しいし(韓国人は目上の人を尊重する行動を取るのは当たり前)、歌はうまいしいい声だし…ということもありますが、なにより「実際会ってみたら私たちと変わらないじゃない」という声を聞くことになりました。
この声を聞いて、私は彼を連れてきて本当によかったと思いました。「私たちと同じ人間」ということは、当たり前のことなのですが、間近で見たことも出会ったこともない人は、そうは思えないわけです。しかし、実際に会ってみるだけで、当たり前のことを当たり前に思えるのだと私は思います。そうなると、それまで遠かった国が、一気に身近なとても気になる国になってきます。
こうして彼は、民間親善大使になって私と帰省旅行を共にしてくれ、私たちの絆はますます深まりました。
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