さまざまな学びのかたち〜すくーるhana便り〜

「学力がつく」ことは「人間として生きる上での自信がつくこと」 …教育・子育てについて等意見交換しましょうねー

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 Yさんのお父さまは、小樽で長く高校の先生、それも校長をやっていらっしゃいました。私はもう6〜7年前になるでしょうか、その高校にジンベドラムの授業をしに週一度通っていました。

 その高校には‘社会体験学習’というカリキュラムがありました。市内を中心にさまざまな場所に生徒が通って社会体験を積み重ね、いろいろな人と関わり合いいろいろな経験を積むことによって、それぞれがさまざまなことを学んで成長していってほしいという思いからできたものです。

 会社や工場、お店や保育所、等などに通うのが中心でしたが、校長先生は娘さんのやっているジンベドラムを高校生も学ぶことによって得るものがあると思われたらしく、私に‘社会体験学習’の一環としてのジンベの授業を高校ですることを提案してくださいました。

 これは私にとって思いがけない提案でしたから驚きましたが、もちろんとてもうれしいことでした。しかし、高校の授業の中にジンベを組み込むことははたしていいことなのかどうか、決して品行方正とはいえない?ような高校生たちが、それなりにジンベの授業を受けてくれるのかどうかもわからないことですから、しばし悩みました。

 が、「いただいた提案は断らない」ことを私は基本にしているので?、とにかくこれを受けて、試行錯誤でやってみることにしました。

 フタを開けてみると、これに第1希望で参加した生徒はわずかで、ほとんどが「第1希望に行けなかったのでしょうがなく」参加することになった生徒たちでした。そして、後で聞いた話ですが、その高校でも特に問題行動が多く手を焼いていた生徒たちだったのでした。

 最初のうちこそ十数名の生徒が参加していましたが、その後は続けてきちんと参加する生徒はほとんどおらず、毎回誰かがさぼり、誰かが参加するというかたちになりました。全部さぼると単位が出ませんから、単位が取れる程度に出席するということになります。

 また、最初は「タイコを叩いて楽しそう」と思っていたかもしれませんが、これを毎回1時間みっちりやり、続けていくことに楽しさを見いだす生徒はそうそういません。ただ叩いて楽しいのは最初だけで、いい音を身につけるための繰り返す単調な練習では手も痛くなりますし、なかなか自分の思った通りの音は出ないしで、「苦しい」ことの方が多くなります。

 自分からうまくなりたいというモチベーションがあってやるなら別ですが、「高校の授業」という半強制の中でやってモチベーションが上がることはまずありません。ある人が、「どんなにおもしろいことでも、授業の中でやってしまうとおもしろくなくなる」と言ってました。ジンベのみならず、何においてもそうだと思います。

 Yさんのお父さまに久しぶりに会ってそのことを話してみると、同じことを思われていたようで、「だから学校は一度解体して作り直さなければいけないんだ」とおっしゃっていました。やっぱりそう思われていたのか、と私は感慨深く思いました。

 私はこの授業では、うまくなるとか何とかいうことは別に置き、その場にいる生徒ととにかくコミュニケーションを取って、少しでもいっしょに叩く時間を作ることができればそれでいい、と思ってやっていきました。今になって思えば、雨の日も雪の日も、十数台のタイコを車に積んで、そして運んでの生徒たちとのひとときは、とても貴重なものとなっています。生徒たちもいっしょにタイコを運んでくれたり話したり、しだいしだいに打ち解けていきました。

 そして、その高校の年に一度の地域のみなさんへの説明会の日に、ステージ上で演奏することになりました。果たしてどれだけの生徒がいっしょに叩いてくれるかな、と思いましたが、確か3人いっしょに叩きました(当日になって来なかった生徒もいたような気がします)。もちろんジンベクラスのメンバーの協力も得て、何曲か演奏しました。

 その一年で、社会体験学習の授業で高校に通うことは終わりになりました。次の年もやることを私から断ったのか、学校側の判断でやめになったのか覚えていませんが、校長先生もその年か次の年あたりに退官されることになっていたのが関係していたかもしれません。

 先日の結婚パーティーで後日談として、一番大変だった生徒がその後更生し?、今はまともに生活しているそうで、お父さまは喜んでおられました。そしてその生徒が、最後のステージ発表でもいっしょに叩いていたのだそうです。

 お父さまは、私のことを、「一端の教育者だよ」と話してくださいました。お世辞とはいえ、うれしい限りでした。今小さな塾をやっていることを伝えると驚いて、また、自分もいずれ学校を作る、あるいは自分の理想に近い学校に関わることが一つの夢としてあると話されていました。再びいっしょに何かできる時が来るかもしれない、と想像できるだけで、私にとってもうれしいことです。

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