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【帰還後にはホームレスに】より
《マンハッタンにある帰還兵センターのスタッフ、ティム・レイバンは、アメリカ政府のやり方が「若者たちの出口をふさぐもの」だとして批判する。
「社会保障費を削減し、大企業を優遇するという政府のやり方は、セイフティネットがない中で教育や雇用の場所を奪われた若者たちに将来への希望を失わせます。今私のところに相談に来る帰還兵たちの大半が、新自由主義政策の犠牲になった若者たちのなれの果てです。帰還兵の自殺率と犯罪率の高さと、生活保護にかかる費用を考えたら、国が教育に金をかけ、若者の「自己承認」や仕事の「技能」を伸ばしてやり、企業が雇用しやすい人材を育てる方が余程理にかなった投資ですよ」
日本でも昨今問題になっている「貧困と教育格差」が、国が国内の何に対し未来への投資を行うのかという問いと同義語であることを、アメリカの若者たちを追いつめてゆくこの流れが象徴している。
「仕事の意味とは、ただ生活費を稼ぐ手段だけではないのです」とティムは言う。
「若者たちが誇りをもって、社会の役に立っているという充実感を感じながら自己承認を得て堂々と生きられる、それが働くことの意味であり、「教育」とはそのために国が与えられる最高の宝ではないでしょうか?将来に希望をもてる若者を育ててゆくことで、国は初めて豊かになっていくのです。学びたいという純粋な欲求が、戦争に行くこととひきかえにされるのは、間違いなのです」
【一元化される個人情報と国民監視体制】より
《ニューヨーク州在住のジャーナリスト、クリスティナ・リーは、高機能の商品が次々に出てくる携帯電話は今や当局にとって非常に効率良い位置情報源だと警告する。
「新商品が出るたびに搭載機能が増える携帯電話には、通信履歴だけでなく持ち主の買い物情報から利用した路線情報まで、あらゆる情報が入っています。調査員がわざわざ一人ずつ聞き出さなくても、携帯電話の顧客情報をトレースするだけでパッケージになった個人情報を丸ごと手に入れられるのです」
この問題については日本でも「個人情報保護法」が成立した時、社民党の保坂展人議員が衆院法務委員会でNTTドコモデータ社の法務部に対し質問をしたところ、同社が顧客の携帯位置情報を令状なしで警察に提供していることが明らかになっている。》
【国民身分証法】より
《グローバリゼーションによって形態自体が様変わりした戦争について、パメラは言う。
「もはや徴兵制など必要ないのです」
「政府は格差を拡大する政策を次々に打ち出すだけでいいのです。経済的に追いつめられた国民は、黙っていてもイデオロギーのためではなく生活苦から戦争に行ってくれますから。ある者は兵士として、またある者は戦争請負会社の派遣社員として、巨大な利益を生みだす戦争ビジネスを支えてくれるのです。大企業は潤い、政府の中枢にいる人間たちをその資金力でバックアップする。これは国境を超えた巨大なゲームなのです」
●グローバリゼーション=貧困層の拡大化だと私は考えていましたが、やはりそういうことなのでしょう。
「経済的に追いつめられた国民は、黙っていてもイデオロギーのためではなく生活苦から戦争に行ってくれますから」という言葉が物語っています。グローバリゼーションと戦争は密接につながっているわけです。
だからこそ、多くの稼ぎを得られなくても、カツカツであっても、グローバリゼーションとは無縁の地域に根差した仕事、人とのつながりの中から生みだされた仕事をしていくことに大きな意味、意義があるのではないでしょうか。
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