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私は去年さっぽろ自由学校「遊」で開かれた「子どもの貧困」講座第2回目に参加して、初めてこの本の著者である日置さんとお会いしました。それまで私は日置さんのことを存じ上げていなかったのですが、彼女の講座に参加して彼女のやってきたことを知って驚きました。
それは、いわば「自分の身にふりかかってくること」を切り拓いて行くプロセスから「事業」を起こし、今では従業員100名を超えるようなNPOを釧路という町に実現させてしまっていたからです。
しかし、さらに驚いたのは、そのプロセスでした。彼女は大きな事業をおこしたいとか、NPO活動をやりたいということで始めたのでは全然なく、やり続けて来た結果として今の状態になってしまったということだったからです。
そして、もっともっと驚いたことは、そのときそのときの出会いから多くの人たちとつながっていき、何のモデルもかたちもないところから、やり遂げてきたということにありました。
「できるできないを考えずに、できるところからとにかくやる」ことをしてきた日置さんのこれまでのプロセスは、私にとってもとても共感できるものでした。なぜかというと、私がらくだ学習で子どもたちに伝えたいことも、「できるできないを考えずにやってみる」ことを厭わないことだからです。
今回本を読ませていただいて、日置さんのやってきたことがより明確にわかってきて、さらに私は共感しましたし、私と考えを同じくするところがいっぱいあることも確認できました。
この本は、タイトルにあるように、「地域(まち)づくりのためのレシピ」として50項目に分け、とてもわかりやすくおもしろく書かれています。みなさんもぜひご覧になっていただければと思いますが、私が特に印象に残ったところから抜粋し、紹介させていただきたいと思います。
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レシピ3 長女の発達の遅れと専門家とのショッキングな出会い より
《私の活動のほとんどが実はこの『マジョリティ思想』という大きな実態のない相手への挑戦なのかもしれないと思います。この健診から始まる長女の障がいが明らかになるプロセスは、自分自身が『マジョリティ思想』によってじわじわと苦しめられるリアル体験となりました。》
レシピ5 子育てに揺らいだとき〜受け止められることの重要性 より
《誰かを責めることは、たとえそれが正しいことであっても何も生み出さない。
私が長女の障がいに直面し、専門医とマザーグースの会との出会いが教えてくれました。》
レシピ6 障がい児=ショックの謎 より
《人間の価値は何がどれだけできるかという能力ではなく、存在そのものに何か大切なものがあるのだろうと信じたい気持ちでした。ただ、そういったことを周囲に話すと、「あなたは、できるからそんなことが言えるんだ」と一蹴されるのです。
そんな私がずっと抱えていた不安を解消してくれたのが、長女だったのです。「できるできない」で判断をすれば、長女はもっとも価値の低い存在になってしまいます。でも、私は長女に重度の障がいがあるとわかっても、そのことに否定的な感情をもたず、その事実を知る前も知ったあともなんら変わらず、自分のかけがえのない可愛い子どもだと思えました。私の価値観を証明してくれたのが長女だったのです。「やっぱり、人間の価値は能力で決まるわけではない。存在そのものが尊いことなんだ」と確信することができました。》
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