さまざまな学びのかたち〜すくーるhana便り〜

「学力がつく」ことは「人間として生きる上での自信がつくこと」 …教育・子育てについて等意見交換しましょうねー

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●お通夜の席で、川村先生や向谷地さんは、ランディさんのお父さまのことを大絶賛してくれたそうです。
(以下、p.204から)

《「いや。アルコール依存症の人というのは、これでもかこれでもか、と相手を試すんですよ。これだけひどいことを言っても、見捨てられない。それを確認したいがために、どんなことでもするんですよ」

「でも、いったいどうしてそんなに他人の愛情を確認したいのですか?」
「淋しいからです」
「淋しい?」

「そう。依存症の人はみんな、淋しくて淋しくてたまらないんです。自分が見捨てられてしまうんじゃないかと不安なんです。だから、家族が自分をかまってくれなくなると、頃合いを見計らって酒を飲んで騒ぎを起こし、怪我をして入院したりして関心を引くわけです」

「そういえば、そうでした。落ち着いたなと思った頃に、どかんと大酒を飲んでトラブルを巻き起こすんです。まるでいやがらせみたいに」

「そうしないと忘れられてしまうと感じるんです。だから、注意を自分に向けたいので酒を飲む」
「まったく迷惑な男ですね…。なんで、そんなに淋しいんだろう」

「なんででしょうねぇ。わかりません。でも淋しいんです」
「淋しいことを引き受けるのが大人ってもんじゃないでしょうか」

「でも、淋しいんだからしょうがないですね。もう誰も、酒を飲んで騒いでも相手にしてくれないとわかったら、諦めるんですよ。これ以上騒いでも無駄だ。そう思ったらやめるんですよ。でも、相手が我慢強くて、打たれ強いとね、これでもかこれでもか、とやるんです。お父さんも、相手がランディさんだったからやりがいがあったんでしょう」

 死んだ人は、地上から二、三メートルの高さの場所にふわふわと浮いていて自分の通夜や葬式を眺めているものだと聞いたことがある。父はこの会話をどんな思いで聞いていたのだろうか。

「でも、父はそのあと遺言を残したんです。私に最低最悪の女だ、って言ってから、おもむろにベッドの上に座り、これから遺言を残すって……」
「ほう……」

「それまで、病院にいたら殺されるって言っていたのに、その時は違いました。なんだか身体がしびれてきた。もうお迎えが近づいているらしい。頭がはっきりしているときに、おまえたちに遺言を伝えたいって。私と、夫と、そして孫娘に、それぞれに言葉を残したんです。そして、語り終えると、疲れた、以上。そう言ってベッドに横になって、その後はもうほとんど会話はできなくなりました。うつらうつらの状態で、ずっと眠っているような感じでした。最期の遺言なんて、そんなのはドラマのなかのきれい事だとばかり思っていたけれど、でも、ほんとうにあるんですね。びっくりしちゃった」

「几帳面な人だねぇ。そして、ちゃんと三が日を生きて正月明けに死んだんだね。ほんとうに、実にまっとうなアルコール依存症だな。アルコール依存症の人は真面目で几帳面だからねえ。あんまり几帳面すぎて疲れちゃって飲んじゃうんだよ」

 向谷地さんまで、いっしょになって父を絶賛する。
「そうねえ。肝臓が弱いともっと前に肝硬変とかでへたるんだけど、お父さんはたいしたもんだったねえ。肺がんからの転移だものね。あんがい自制しながら計算して飲んでいたんだろうね。いや立派だ、アル中の鑑だね」

 父は酒を飲むことで他人に避難されることは多々あった。しかし、こんなにアルコール依存症として讃えられたことはなかっただろう。さぞかしおもはゆかったと思う。父の通夜にはもってこいの弔問客であった。

●川村先生と向谷地さんのランディさんのお父さまに対する「絶賛」は、世間一般の価値観と正反対のものなので戸惑われるかもしれませんが、こういう見方もあるんだな、こういう見方をすれば楽になるんだな、と私は感じてしまいます。

 もっとも、その大変さのまっただ中にいる人にとっては、「何を言ってるんだ〜」と頭に入ってこないものなのかもしれませんが…。

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