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●「絵本の読み聞かせとアフリカンドラム」
私は『アフリカの音』に出会って以来、いつか、その絵本の読み聞かせのバックにジンベの音を入れたものを、自分たちでできる日が来ることを夢見ていました。ウォーク・トークのそれを見て、その気持ちに拍車がかかりました。でもそのようなパフォーマンスは、「見たい」という人がいてこそできるものですから、そのようなご縁はなかなかありませんでした。
1〜2度何かの演奏の機会にやってみたことがあったようにも思いますが、何度も練習して練り上げてやったものではなかったですから、満足のいくものではなかったように思います。
でもその後、そのような機会がやってきました。10年程前に、「北海道文学館」で毎夏行われている「わくわく子どもランド」という催しで、「絵本の読み聞かせとアフリカンドラム」を子どもたちを対象にやってもらえないかという話が舞い込んできたのです。
絵本を読むのは読み聞かせサークルに所属している専門の方で、アフリカ関連の絵本を数冊選び出し、その絵本のバックに音を入れるというものです。私はもちろん快諾し、読み聞かせの絵本の中に『アフリカの音』を入れることを提案しました。
タイコの音と読み聞かせの声のバランスを考えたり、「間」」を図ったりしながらの練習を何度も繰り返し、私たちの「絵本の読み聞かせとアフリカンドラム」は完成しました。
「わくわく子どもランド」では、大勢の子どもたちと、絵本の読み聞かせを楽しみ、最後はタイコの演奏をバックにいっしょに踊って、楽しいひとときを過ごすことができました。普段は静かな「文学館」で、毎年夏の一日だけは、地下の講堂でタイコの音が鳴り響いています。
もっとも、「完成した」とはいっても、実はまだまだ完成されたものではなかったことは、回を重ねる度に思うことでもありました。これを機に、子どもたちが来てくれるような演奏の場では、できるだけ『アフリカの音』を入れるようにしてきており、毎夏の文学館と合わせて、もう何十回とこの演目をやらせていただいてきました。
そして、回を重ねるごとに修正し、今では絵本をめくってその絵を確認しなくても、適度な音量でその場に合った音を出すことができるようになってきましたし、音もリズムもどんどんシンプルになってきて、絵本の世界の表現を最大限引き出すということだけを考えたものになったように感じます。
もちろんこれは私およびジンベクラブで考える「最良のもの」であり、他の方がするとまた異なったものになるでしょう。
『アフリカの音』は、私たちが口で説明しなくても、ダイレクトにその世界を、そして私たちが伝えたいことを、子どもにも大人にも伝えてくれます。これからも、大事に大事に、この本を私たちなりに語り継いでいきたいと思っています。
●沢田としきさんは、今年4月、「急性白血病」による一年余りの闘病生活の末に亡くなられたことを知らされました。
沢田さんは一度、ウォーク・トーク札幌公演でメンバーとしていらした際に、私の家に泊まっていただいたことがあります。そのとき貸し布団を利用しており、翌日午前に貸し布団を回収しに業者が来たとき、まだ起きていなかったメンバーを起こしに行かざるを得なかったんですが、そのとき驚いて飛び起きた沢田さんの顔が忘れられません。悪いことしたなぁ、と私は思ったんですがー。
『アフリカの音』を、「読み聞かせと演奏」のかたちでくり返しくり返し紹介し続けている個人やグループは、他にないのではないでしょうか。何度読んでも、何度やっても飽きることのない、私たちにとってとてもとても大切な絵本となりました。
アフリカおよびジンベ&ダンスのことを伝えるツールとして、これからも活用させていただこうと思っています。
いいでしょうか、沢田さん? 『アフリカの音』を遺してくれて、本当にありがとうございました!
※沢田としきさんは、他にももちろん、素晴らしい作品を多く描かれています…。
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