さまざまな学びのかたち〜すくーるhana便り〜

「学力がつく」ことは「人間として生きる上での自信がつくこと」 …教育・子育てについて等意見交換しましょうねー

宮台真司

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 【いまメディアにできること】より

内藤ー
《自殺まで考えている子どもたちに、「君の気持ちは理解できる」「君を大切にしてあげるよ」といったカウンセリング的な言葉は何の意味もない。むしろ「あなたをいじめた加害者は処罰すべきであり、現実に処罰できる」「学校には司法権力を入れなければいけない」と強調したほうがいい。そして「俺が弁護士費用を払ってやるから裁判を起こせ」と言うことが可能であれば、もっといいですね。》

神保ー
《なるほど。まとめれば「いじめは解決策がある」「いじめた側が悪いとはっきりさせる」「暴力があったら警察を呼び、あるいは司法権力を介入させる」の三点をメディアは強調すべしということですね。》

内藤ー
《暴力をふるう教師も生徒も、本当は警察が対処すべきです。それは犯罪ですし、また警察は第三者ですから。》

宮台ー
《「いじめについて報告があると教師が実態を調べる」ということ自体がそもそもおかしいんです。文科省が命じて学校に調べさせることもおかしい。教師も学校も利害関係者(ステークホルダー)そのものですからね。警察が調べるほうがずっとましです。どうしてそんな簡単なことにさえ実行できないんでしょうね。》

神保ー
《正直に申し上げて、現在のメディアの論調とおふたりの話とはだいぶギャップがありますから、「弁護士や警察を呼べ」と言っても抵抗がある人が多いかもしれません。》

宮台ー
《僕もいじめ問題についていろいろなメディアで話すチャンスがありますが、「警察を呼べ」と言ったら、みんなぽかんとして信じられないといった顔をするんです。そのくらい学校は聖域化されている。そうした状況を変えられないかぎり、根本的な対策をとることはできません。》

神保ー
《だからこそ、メディアでどんどんそういう提言を発信していかなくてはいけないということですね。》


●「警察権力の介入」についていろいろ考えたんですが、それだけ強調してそれだけ行うのではなく、日頃から広く一般の地域の人たちに開放された学校であることがまず大事であり、それがなされていれば「警察権力の介入」に至るような事態は結果的に減っていくのではないか、とも私は感じています。

 [第4章 いじめをなくす処方箋ー子どもたちが直面する現実から]から
 【いじめをなくす処方箋】より

内藤ー
《私は、短期的な処方箋と長期的な制度改革の二本立てで考えています。長期的には学校制度そのものを廃止して、別のシステムに置き換えるべきだと思うのですが、それは何十年先になるかわからない。
 現在の制度的な枠組でできる短期的な方策としてはまず、最初に述べるとおり、暴力的ないじめに対しては警察を導入することです。これをやると暴力がふるえなくなる。

 一方、女の子によくあるコミュニケーション操作系のいじめーたとえば、シカトやクスクス笑いーに対しては、警察は何もできません。そこで生活空間自体を変えて、コミュニケーション操作系のいじめを無意味化することを同時に行います。

学級制度を廃止し、タコ足配線的にいろんなタイプの人と自由につきあえるようにする。自分をシカトしたりクスクス笑いをする人間とは距離を置くことができ、もっと楽しい人間関係を営める友だちと距離を縮められるようにする。これで、クスクス笑いやシカトをしても、相手にダメージを与えることができなくなる。
 したがって暴力に対する司法・警察権力の介入と学級制度の廃止というふたつを導入すれば、学校制度そのものは維持されていても、状況はかなり改善するはずです。》


※対談者紹介
●内藤朝雄:1962年生まれ。管理教育で有名な愛知県立東郷高等学校を中退。その後、東京大学大学院総合文化研究科博士課程を経て、現在、明治大学文学部准教授。社会学者。とりわけいじめ問題と管理教育の研究で知られる。著書に『いじめの社会理論ーその生態学的秩序の生成と解体』(柏書房)『〈いじめ学〉の時代』(柏書房)『いじめと現代社会』(双風舎)『「ニート」って言うな!』(共著。光文社新書)など多数。


●「警察権力の介入」に対する考え方は、みなさんそれぞれ異論があるでしょう。でも、まさに今現実に起きていることに対して有効な対策を考えると、「アリ」なのではないかと私は思います。もちろん、安易に導入するのではなく、あまりに大変な問題が現実に起こっているのであればです。それは「暴力」なのですから、教員が個人的にあるいは学校をあげても解決することが困難でしょう。

 「学級制度の廃止」に関して、私はとても大事なことであり、今すぐにでも導入してほしいと思っています。理由は内藤さんがあげているとおりです。

 自分の娘も、中2になってクラスが変わってからさまざまなことがありました。それらのことは、学級制度がなかったら、もしかしたら避けられていたこともあったのではないかと思えます。学級制度はもはや時代にそぐわないと感じているのは私だけでないことを知ることができてよかったです。

寺脇ー
《産業構造の変化なんですよ。重厚長大産業の時代は終わり、これからはソフトパワーの時代です。しかしソフトパワーは、科学技術振興にせよ大学にせよ文部科学省の領域にある。したがって経済産業省がこれからの産業政策で主導権を握るためには、文科省の領域に踏み込まなくてはいけない。

 そこで経産省は「文科省はこんなに頼りないんですよ」という、一種のネガティヴ・キャンペーンをはじめた。これはすでに明らかになっていることなので言いますが、経産省は東大教育学部の苅谷剛彦さんとか京大経済学部の西村和雄さんなどを集めて、研究費は潤沢に出すから学生の学力がいかに落ちているか調査してデータをつくってほしいと依頼した。

その結果を、たとえば『分数ができない大学生』という書籍のかたちで国民に提示し、もう一方では学術的な体裁のレポートをつくって、政治家や財界人に見せてまわったわけです。その影響力がすごい。大学のなかには、これからは文科省ではなくて経済産業省に頼る時代だ、と公言する人も出てきています。

 そのあいだ文科省は何をやっていたかというとーマヌケと言われればそれまでですがー財界のトップや政治家ではなく、親や地域の納税者たちの理解を得るために、「ゆとり教育で状況は悪くなりません。むしろこうよくなるんです」と日本中を行脚して膝づめで説明してまわっていたんです。

 これが仇になりました。財界人や政治家はやはり発言力がありますから、「経産省はこう言っているぞ、本当はどうなんだ」と文科省にクレームが来る。まさか無視するわけにもいきませんので、「ゆとり教育で学力もつくんです」と言って対応したわけですが、なかなかわかってもらうのはむずかしい。》

神保ー
《PR合戦で経産省にしてやられたわけですね。》

寺脇ー
《東京のまんなかにいると「勝負あり」に見えますよね。文科省敗北、経済産業省大勝利。しかし現場に行くと全然そうじゃないですよ。腐っても文部科学省でして、地方の小学校の先生たちは、総合的学習を導入して子どもたちのモチベーションが高まった、と口々に言ってくれます。

 いまは大きく三分されている状態なんです。ひとつは、「ゆとり教育」路線をきちんとやっている学校。もうひとつは、桐蔭学園のように、学力中心でひたすら受験勉強をしている学校。最後のひとつは、どうすればいいのか迷っている学校です。どっちつかずになるので、これが一番よくないかもしれない。この状況をどうやって落ち着かせればいいのかというと、やはり実績で示すしかないのではないでしょうか。

 全国学力テストや統計調査をやってもいいんです。総合学習をきちんとやっている子どもとそうじゃない子どもでは、算数が「好き」か「嫌い」かでどのくらい差があるか、比較してみればいい。これはひとつの有効な考えだと思います。》


●お役人をやめたからこそ言えるような、ものすごい裏話?です…。そんなことになっていたなんて、一般庶民はつゆ知らず、ですね。時代の波に翻弄された「ゆとり教育」だったわけですー。

 このことに限らず、世間一般に広がる「脅し」的なマスメディアの戦略に乗らず、自分の頭で考えることが大事ですね。もっとも、子どもが一番染まりやすく、それを防ぐにはどうしたらいいか四苦八苦中なのですがー。

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 【追いつくやつと追いつかれるやつ】より

宮台ー
《印象的だったのは、追い抜かれる連中はかわいそうだということ。早期教育で成績を上げていたような連中は、あとから勉強をはじめた連中に多かれ少なかれ必ず抜かれる経験をします。僕が知ったのは、高三や予備校で一挙に追い抜く経験をした者と、逆に圧倒的に追い抜かれる経験をした者とでは、ずいぶんメンタリティが違ってしまうことです。

 実際、ずっと勉強していなくて一挙に追いついた連中は、僕自身を含めて、その後いろいろおもしろい仕事に就いています。むしろ追い抜かれていった連中が、銀行に入ったりお役人になったりと、カタイ仕事に就いたんですね。ちなみに、寺脇さんは文科省のお役人ですが、高校時代から映画評論家なので、カタイ人だとは言えません(笑)。

 そこに問題の鍵があると思うんです。昔と違っていまは一年の猛勉強で東大に入るなんていう逆転劇はありえない。はじめからみんな勉強させられています。だからランキングは固定しやすい。僕らのときはまったく違った。僕は予備校に通ってからも一日四時間以上は勉強しないと決めていた。革命家になる準備に必要な時間が削られるからです。

 ただし、僕にとって革命家の準備というのは、なんといってもグラムシ主義者で文化的ヘゲモニー論にかぶれていましたから、映画や演劇を見ることだったんですがね(笑)。》

神保ー
《予備校時代もまだ革命家になるつもりだったわけですね(笑)。》

宮台ー
《そう(笑)。ともあれ当時は、一年たらず集中して勉強するだけで東大に入る連中がかなりいた。僕もそうです。そういう連中のほうが底力があるんじゃないかと思います。理由は簡単です。高校三年まで勉強せずに、趣味や、女遊びや、革命家としての修行など、あれこれ人生修行をしていますので(笑)、人間としての知識や経験に厚みがある。

 その点、いまの子どもは、もともと頭のいい子だって、ずっと勉強ばかりしていますから、経験に厚みがない。つまり、ひいでているのが「知識」であって「教養」じゃないんです。こんなレベルじゃ、アメリカのエリート連中には、とてもじゃないが「教養」レベルで太刀打ちしようがないんですよ。》


●1960年代の高校生の暮らしや考えがかいま見ることができて、私は興味深かったです。
高校時代は「あれこれ人生修行して」?、予備校で集中して勉強して希望の大学に入る…私もそれに近い経験はありましたが、予備校時代も大して勉強しませんでしたー。

 大学全入を迎えようかという今の時代、「浪人」生はかなり減っているということを聞いたことがあります。今の時代、「浪人」させられるくらいの資金を捻出できる家庭は、激減しているのではないかとも思いますし。浪人なんてできたら贅沢なことでしょうね。私も、浪人時代は貴重な体験をしたと思っています。

 それにしても、宮台さんは「革命家」を志していたとは‥。でも、私にも少なからずそのような気持ちはあったし、宮台さんの学生時代は、珍しいことではなかったかもしれません。

 子どもたちには、教養の厚みをつけていってほしいものです。

【なぜ断念とリスペクトができないのか】より

宮台ー
《イチローになれなかった僕たちはまさに「断念」して「リスペクト」していますよね。同じことが他のさまざまな場面でも可能となることが大切なんですよ。左翼の「格差」批判は、これまた嫌われそうな僕の言い方でいえば「浅ましい」。「田吾作の鍔ぜりあい」にすぎない。似た言い方をハナ・アレントがしていますがね。

 要は「何でアイツが」って話なんです。確かに勝負がアンフェアで「何でアイツが」といえる場合もあります。とりたててアンフェアでないかぎりは、ゲームなんだから勝者敗者がいてあたりまえ。なぜ「それでいい」と思えないのか。いつまでも「俺も仲間に入れてくれ」「俺にも資格があるはずだ」と言いつづけていてもみっともないでしょう。》


【アメリカの教育制度の底力】

神保ー
《そんなふうに、アメリカの高校生というのはあんまり勉強しないんですが、それでもやるべき基本はやっているので、いざ大学に入って本気で勉強をしはじめると急に伸びる伸びしろを持っているように感じます。だからアメリカの大学のレベルはとても高いのでしょう。

 ただ、アメリカの高校生はあんなに勉強しないのに、そして僕は中学時代あんなに勉強したのに、学力が大学くらいで並んだり、場合によっては逆転されたりするのは、どうしても納得がいかない。自分はずいぶん青春時代の貴重な時間を、単に知識をつめこむためだけに無駄にしたんじゃないかと後悔するくらいです。

 だって、アメリカの高校生活はとても楽しいんですよ。宿題もほとんどないから、好きなだけ遊べるんです。あれだけ楽しんできた連中に大学であっさり並ばれて抜かれるのは、割りが合わない感じするのもわかるでしょう。》

寺脇ー
《僕自身はアメリカのことは体験も知識もありませんが、アメリカの方から話を伺ってみると、彼らは、高校まではモチベーションを養う期間であって、勉強する期間ではないんだ、と言いますね。高校まではアメリカという国や社会に対して貢献する気構えを養うとか、あるいは中学生くらいになるとみんなアルバイトをはじめて、働く経験をする。また、恋愛してフラれたり、うまくいったり、でも、そのあと別れたり、いろんな経験を積むわけです。経験を通じて学ぶことへのモチベーションを身につけてもらうんですね。そうして、大学に入ってきたら、おまえらモチベーションあるんだったらこれくらい勉強するのは当然だ、と、いきなりどかんと勉強をやらせるーそんなことを言っていましたね。》


●「好きなだけ遊んでいるけど、やるべき基本はやっている。それに加えてさまざまな経験を積んでおり、経験を通じて学ぶことへのモチベーションを身につけているから、大学に入って以降の伸びが違う…」。
 アメリカの子どもたちの話をまとめると、上記のようになると思います。
「なるほど〜、日本の子どもたちの現状と真逆じゃん!」と私は思ってしまいました。

 これを自分たちの子育てに応用したらどうだろう? 日本だと環境が違うから、そんなすんなりとはいかないでしょうが、でも、ここには何か教育のエッセンス的なものがあるのではー。
 思い切って、自分の子どもたちに実践したい気がしている私です。

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