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能登国分寺長歌

お久しぶりです。
大変ご無沙汰しています。
以前更新したのが八月の終わりでしたので、ずいぶん更新しておりませんでした。
歌は少しく作っているのですが、なかなかブログにアップする時間がないのが歯がゆい所です。

さて、今回は先日参った石川県七尾市の能登国分寺公園についてです。
まず、写真を以下に載せます。

イメージ 1
写真1、石碑


イメージ 2
写真2、復元南門



イメージ 3
写真3、南門から。



イメージ 4
写真4、講堂跡から復元南門。



イメージ 5
写真5、推定復元の伽藍模型。



イメージ 6
写真6、かつての塔跡地。エボ石と呼ばれる心礎。


イメージ 9
写真7、塔跡。復元基壇上の、現在のエボ石には昨日の雨で水たまりが。


イメージ 7
写真8、塔跡復元基壇からの西日。



イメージ 8
写真9、同。



御存知の通り、天平13年(741)、聖武天皇は全国に国分僧尼両寺建立を命じました。
この頃、北陸周辺の行政区画は変遷が激しく複雑ですが、そういった影響からか、能登国では、しばらく建立がなされず、およそ100年後の承和10年(843)、能登国司に赴任した春枝王により、大興寺という寺院を昇格させ、能登国分寺としました。
その後、約400年の間栄えたようですが、いつしか廃寺となったようです。
古代寺院、特に国分寺クラスの寺院ともなると、寺地には、広大な土地、特に平地が占有されます。
公園にいってみるとわかるのですが、周辺は平らな土地が続いているんですね(写真4)
おそらく、衰退するに従って、寺地は徐々に田地畠地に変わっていったでしょう。
寺院が完全に廃絶した後は、ほぼすべてが耕作地となったようですが、遺物がすべてなくなるわけではありません。
盛り土や基壇、礎石などは、再利用されずほったらかしにされたものも多かったでしょう。
特に、多重塔(五重と推定される)の盛り土と、塔の真ん中の柱(心柱)の礎石(心礎)は後世までよく残ったようです(写真6)。
このあたりは草木が生い茂り、またいつしか心礎は、「エボ石」とよばれ、そこに貯まった水をイボにつければ治るという伝承が生まれ、信仰の対象とすらなっていたようです(写真6、7)。
しかし、これがかつての五重塔の礎石であり、ここに大きな塔が建っていたとは、農夫は知るよしもなかったのではないでしょうか。

さて、昭和45年(1970)、能登国分寺の成立からおよそ1100年、廃絶からおよそ700年の歳月を経て、付近の発掘調査が行われ、おおよその姿が明らかになりました。
同49年、国の史跡指定を受け、以後整備が行われ、平成4年、「能登国分寺公園」として開設されました。
公園内には、南門や基壇・礎石が復元され、往時の姿を彷彿とさせるとともに(写真5)、「能登国分寺展示館」が併設され、能登国分寺やその発掘調査等の成果を学ぶ事ができます。

   ***********

さて全国に整備された古代の史跡はいくつかあります。
全国にある国分寺跡もそのいくつかは史跡として整備されています。
私はかねがね寺社めぐりを趣味にしてきましたし、ブログでもその事についてよく書いてきました。
最近は、こういった廃寺跡にまで足を運ばしています。

ほとんどの廃寺跡には、もはや往時を偲ぶものは礎石しかありません。
それでも、礎石さえあれば、なんとか過去の建築物を想像する事はできます。
ああ、ここには門があって、この金堂跡の前は僧侶達が礼拝を行い、この講堂跡では読経・講経が行われたんだな、とか。
そういう風に、廃寺跡にいると、私は過去の事ばかり考えてします。

ここ、能登国分寺跡でも、1000年前は、確実に寺院空間があり、僧侶達が宗教活動を行っていたでしょう。
今では名前もわからない無数の僧侶達。そんな僧侶達は、五重塔基壇へ上がる階段から南方を見て、南門の向こうの青山(写真4)を見たでしょうか。
天気の良い日には、美しいなどと思ったでしょうか。
階段に座ったりして、物思いに耽ったりしたのかもしれません。

だんだん外も寒くなってきて、東に目を向ければまだ空は青いのに、西の方は徐々に赤く染まっていきます(写真8)。はるか向こうにつがいの鳥が飛んでいくのが見えました。
とても美しい夕日でした。
こんな美しい夕日を、往時の僧侶達も見たのでしょうか。

・・・私はそんな事を考えながら、随分長い時間エボ石に座っていたようです。

エボ石に座りながら、あるいは公園内を歩きながら、歌がいくつかできました。
しかし、何かもの足りない、この感動をこれだけの歌ではとても表現し切れないと思いました。
悶々としつつ、帰りの電車で、ふと、長歌を作るしかない、今作らなければならない、という思いにかられ、無い智恵を必死にしぼって、私は人生で初めて長歌を作りました。
以下、愚詠ではありますが、載せたいと思います。



平成廿五年歳次癸巳某所作於能登国分寺公園之歌并反歌二首
(平成廿五年歳次癸巳、某、能登国分寺公園にして作りし所の歌、并びに反歌二首)
今よりし 千年も先の 古に 天璽国(あめしるしくに) 押し開き 豊桜彦の 天皇(すめらぎ)は 百姓(おおみたから)の 豊かにと 国に争ひ 有らざれと 命(みこと)を宣(の)りて 国国に 大寺たてて 御願(おねがひ)を 祈りたまふに 百歳(ももとせ)は 経にきといへど 能登の国 大興寺もて 終にしも 改めたちし 分けの寺 いくとせ経てか 陸(くむが)ゆれ 崩れや落ちけむ 調(つき)無くて 終にや朽ちけむ 焔にぞ 燃えけむものか 田に畠に かはりて後は 人知らず 五重(いつえ)の御塔(みとう) 真中なる 大き礎 えぼ石と 尊ぶばかりに 和やかに 昭(て)るという世に 古事に 詳しき学人(まなびと) 文を読み 木切り(こきり)草薙ぎ 土を掘り あまた礎 瓦など 掘りぞ出(いづ)れば 古の 寺は眼の前 有るがごとく 公(おおやけ)の 園(その)とはなれり 平らかに 成るという世の 廿(はたちあまり) 五(いつ)の歳の 秋の末 冬来むとするに かの石に 独りしゐれば 古は にわかにおぼほゆ 山囲む この眺めをば いつくしと ごとに見けむやと 階(きざはし)に 立ちて山見て 人ものを 思ひけむやと 東(ひむがし)は まだ青なるに 茜さす 入日の方に つがひ鳥 はるけくも見ゆ かく深き 入日の赤を ごとに見けむやと

反歌二首

寺跡に眺めわたりし入りつ日を後にも我は忘らえぬかも

えぼ石にひとりしすわり真上にぞ仰ぎて見れどまばらむら雲


以上です。
今回このような長歌を作ってみて感じましたが、ものはやってみないとよくわからないものだと思いました。
そもそも、感動があってこそ、それを歌にして残そうと思う。
歌に感動を託して、他者や後世の人に共感してもらいたいと思う(この点はブログ活動をしているわたくしとて同じです。)
しかし、57577という形式に落とし込むというのは、簡単な事ではありません。
リズムもあります。同じ感情でも、詠み方一つで全然違ってしまう。
それは、下手な物好きの素人歌詠みのわたくしでもわかる。
それ以上に、あえて57575757・・・・の形式を守って長歌を作るというのは、かなり骨のおれる作業です。
結局、大きな感動がなければ、このような作業をなそうという気持ちは生まれない。
かような事で、万葉の時代においても長歌は作られていたのではなかったでしょうか。

とすれば、今度わたくしが、このような長歌を作れるのはいつでしょうか。
たぶんよほどの感動がなければできないように思いますが、また、いつか挑戦してみたいと思います。


愚詠をお見せしました。
私の得た感動が少しでも伝われば幸いと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

(同日21時頃若干修正)

閉じる コメント(3)

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能登国分寺は、法起寺式伽藍配置なのですね。さすが古き御寺です。

長歌、すばらしいですね。旅の感動はなかなか短歌で言い表すのは難しいですものね。すばらしい表現形式とそれを使いこなすブログ主さまの力量に脱帽です。

2013/11/29(金) 午前 9:37 粕春大君

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粕春さん

いえいえ、過分の言葉に本当に恐縮です。
そうですね、法起寺式伽藍配置のようですね。

粕春さんの、現代の文物に対する感動でも自由自在に漢詩にするのはとてもすごいと思います。
いつもブログを拝見していて、そういうところには漢詩の可能性を感じる次第です。

自分も漢詩つっくてみたいなぁ・・☆

2013/11/30(土) 午後 5:29 [ 三島 ]

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ありがとうございます☆ 早速見てみたいと思います。

2013/12/3(火) 午前 11:36 [ 三島 ]


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