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こんばんは。
暑い日が続いていますね。
今回の記事は、ある石碑についてです。
奈良興福寺東金堂の正面に「花之松ノ碑」と呼ばれる石碑があります。
まずは、以下写真と句読点を付した翻刻文を載せます。
だいたいの内容を説明しますと、弘法大師手植えと伝えられる名木「花之松」は、姿が雄大で奈良で親しまれていた名木だったが、昭和12年に枯れてしまった。
興福寺側は深くこれを惜しみ、再興の企てがあって、諸方の援助を得た結果、昭和15年に「後継」の「花之松」が植栽された。
以上のようになりましょうか。
この石碑および「花之松」については、ネットでもいくらか情報があるようで、全く無名というわけではなさそうです。
例えば、石碑で言う所の明治大正の雄姿は、ネット上に落ちていましたので、参考にURLを載せておきます(http://photoyamato.fc2web.com/j_topics/page_thumb2.htm)。
ただ、この石碑に限らず、観光地にある石碑は、何故か人はあまり積極的には見ようとしないように感じます。
この碑文は、理解するのにまだ簡単な方ではないかと思うのですが、中には全文漢文の物もあって、とっつきにくいという印象が持たれているからなのでしょうか。
興福寺は土日ともなると大勢の人でにぎわいます。
人気の阿修羅像には足は向かうのでしょうが(別段それは構わないのですが)、この石碑に足を留めて見る人はまばらなようです。
しかし、こんな大きな碑文を立てるという事は、費用も当然かかるるであろうと思われ、それなりの思い入れがあって、後世に残そうという遺志があったに違いないのです。
そんな先人の気持ちを、少なくとも私は見過ごしたくはないとおもうのです。
たとえ難解な漢文であっても、できるかぎり読みたいと思っています。
そんな心を・・・・・。
人は過ぐ我こそ読まめつたへむと
磐(いわ)にもほりしこころし思へば
さて、この石碑は、新松の植樹を記念して立てられたわけですが、下の写真(但し撮影は一昨年)を見てもわかる通り、現在石碑すなわち東金堂の近くに松らしい木などはありません。
自分で確かめたわけではありませんが、ネットの情報によれば、2008年にこの二代目「花之松」も枯れてしまったようです(http://www.yamato-river.net/report_article780.html)。
・・・・・悲しいものですね。
碑は植樹完成に際して建てられたものです。
その時の「翼賛会」および関係者一同の喜びはいかばかりであったでしょう。
碑文は、その事のみを伝えているわけではありません。
「後人」、つまり後世の碑文を読んだ人間に対して、「培養愛護」して「昔日」の雄姿を「現出」されたい事を希求しているのです。
もちろん、その後「培養愛護」はなされたでしょう。
しかし、石碑の前に松は見えないのであって、再度、枯れてしまった事を知るわけです。
石碑を読む事によって初めて、二代に渡って愛された在りし日の「花之松」に思いを致す事ができたのです。
そんな事を考えていると、やはり自然と仏法と交えてものを考えてしまいます。
諸行無常、変わらないものなどないわけで、いくら人が松を愛していたとしても、枯死する術を遁れる事はできません。
ここではそんな心を。
とはにこそ願ひほりけめあはれかな
いかにめづとも法(のり)にたがはぬ
また、別に次のようにも思います。
興福寺は、飛鳥時代の創建以来、幾たびの兵乱・火災を経て、特には明治維新期には廃寺の危機にも瀕しながら、千年以上経た現在でも法灯を伝えています。
現在、江戸時代に焼失してしまった中金堂の再建事業が進んでいますが、その費用は広く民間の支援をうけているようです。
興福寺の歴史を不死鳥のようだという人がいますが、正にそのとおりと思います。
この「花之松」についても、不死鳥の如く、在りし日の姿を見たいと思うのは私だけでしょうか。
そんな心を・・・・。
ちとせ経てすたるも興(おこ)る寺のごと
またも松とぞ思はぬや人
この記事を見られた方で、一人でもそんな心を持ってくれたらうれしいのですが。
随分長くなってしまいました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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花の松、東西十八間もの枝張りとは、恐れ入りました。相当な樹齢を誇っていたのでしょうね。数年前に鎌倉の大銀杏が倒壊しましたが、名木の枯死は残念至極です。
明け来れば消ぬ露はなしと知りながらなほひととせの命あらまし
2013/7/22(月) 午前 10:12
粕春さん
こんにちは。コメント遅れて失礼しました。
本当ですね。鎌倉の大銀杏は、生前の姿を見ておりましたので私もとても残念に思いました。
しかし、詠歌うまいですね、粕春さん・・・・・。
愚詠なれどもお返しをば・・・。
ひこばえにむかししのばゆ子に孫に言ひ継ぎゆかむ仰ぐほどまで
2013/7/23(火) 午後 11:59 [ 三島 ]