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9.関口家・ダイニング
関口涼(25)がベーコンエッグを食べている。
奥のキッチンで冷蔵庫から卵を取り出している高志。
涼「あんた今日も柿崎さんトコ行ってたの?」
高志「そうだけど」
目玉焼きを作り始める高志。
涼「ずいぶん余裕じゃない」
高志「なんで?」
涼「だって、今日で決まっちゃうんだよ」
黄身が半熟、いい具合に目玉焼きが仕上がったところで、皿に盛り付ける。
高志「そんな事分かってるよ」
涼「こういう時って、普通そわそわしてさ、何にも手につかないとかさ、なるもんなんじゃないの?」
高志、涼の目の前の席に座る。
目の前のサラダを小皿に取り分け、高志に渡す涼。
高志「姉ちゃんの時はどうだったわけ?」
涼「え、私の時?」
高志「うん」
涼「私は元々緊張しないタチだからね、なんとも無かったけど」
高志「俺もおんなじかな」
涼「おんなじって?」
高志「だってやり直しは出来ないんだからさ、今更ジタバタしたってしょうがないし。だったらいつもど おりにしようと思って」
涼「そうだね、その通りかも」
高志「え?」
涼「私もね、あんたくらいの時はね、そう思ってたんだけどさ。何だか最近、もう終わっちゃった事でな んかさあ、あの時ああしておけばよかったとかさあ、つい考えちゃうんだよねえ」
ため息をつく涼。その表情が段々暗くなっていく。
高志「…なんかあった?」
と、そこへ関口由美子(52)が入ってくる。
由美子「おはよう」
高志「おはよ」
涼「(振り返り)おはよう」
由美子「(涼に)あんたね、もう忘れちゃいなさいって夕べ言ったでしょ。いつまでもグダグダ言ってん じゃないの」
涼「別に、私だって好きでこうなったわけじゃないよ〜」
由美子「じゃあどうして」
涼「だって高志が落ち込ませるような事言うんだもの、思い出しちゃうわよ、イヤでもさ」
事情の飲み込めない高志。急に振られて驚き、
高志「えっ、俺?」
ふくれっ面で高志を見つめる涼。
真顔で高志を見つめる由美子。
由美子「アンタなんて言ったの?」
高志「なんてって…って言われても。え?」
二人に見つめられて困り果てる高志。
10.喫茶「デッサン」・外観
片桐家の一階。
ちょっとしたライブハウスを思わせるようなしゃれた外観。
しかし、周りの景色と違和感無く溶け込んでいる。
11.同・店内
ごくごく普通の昔からあるような喫茶店の店内。開店前なので照明も点いておらず窓もカーテンが かかっている。
入り口のドアが開き、中に入ってくる三島夕紀(25)と三島幸博(32)。
夕紀「おはよー」
幸博「おはようございます」
カウンターの中に入り、さらにその奥へ入っていく二人。
12.片桐家・廊下〜キッチンダイニング
廊下を歩いてくる夕紀と幸博。
キッチンダイニングへ入っていく。
と、奈緒と花が洗い物をしている。
夕紀「おはよう」
奈緒「あ、夕紀ちゃん、おはよう」
花「おはよう」
幸博「おはようございます」
花「おはようさん」
夕紀、幸博、ダイニングの席に座る。
幸博「奈緒ちゃん、おはよう」
奈緒「おはようございます」
奈緒、洗った皿を拭き、食器棚へ。
幸博「今日、合格発表だよね」
花「(驚き)えっ、そうだったっけ?」
幸博、不安そうな表情で
幸博「(奈緒に)、そうだよね?」
奈緒、うなずく。
花「ちょっと!私聞いてないわよ合格発表が今日だなんて」
奈緒「言ったよ。こんな大事な事言わないわけないじゃん」
夕紀「花さんって結構人の話聞き流してる事多いから、もしかして忘れちゃってただけなんじゃない の?」
奈緒「あ、そうかも」
納得のいかない花。
花「そうなの?」
奈緒「そうだって、きっとそうだよ」
花「奈緒が朝早くまで徹夜してたって言うから、今日何も無いって思っちゃったんじゃないの」
夕紀「えっ、奈緒、徹夜してたの?」
奈緒「そう」
夕紀「そうって…」
奈緒「大丈夫だって。それにさ、もう結果出ちゃってるわけだし、今騒いだってしょうがないでしょ」
夕紀「ま、まあ、そりゃそうだけど…」
奈緒「そうなったら、そうなった時に考えればいいじゃない、ね?」
夕紀「まあアンタがそう言うなら、それでいいけどさ」
と、奈緒、思い出したように
奈緒「ね、朝ごはん食べた?」
夕紀「ん?うん。実は玉子買ってなかったの忘れててさ、ここならあるんじゃないかと思ってね、あわよ くばご馳走になろうかと…」
奈緒「じゃあ私が聞かなくても、ここで食べようと思ってたって事?私、好意で言ったんだけど」
夕紀「ま、そういう事になりますかね」
奈緒「そういう事にって…」
幸博「ご馳走になります」
と満面の笑み。
奈緒、しょうがない姉夫婦だとは思いつつ、
奈緒「分かったわよ。じゃあ作るから、ちょっと待ってて」
何だかブツブツいいながらキッチンに向かう奈緒。
夕紀「文句言わない!私も手伝うから」
と奈緒を追いかける夕紀。
二人、賑やかにベーコンエッグを作っている。
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1−3へ続く。
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