カレーですよ。

雑誌連載中:ぶんか社「エキサイティングマックス!」連載「それでもカレーは食べ物である」第62回は御茶ノ水「お茶の水、大勝軒」です

全体表示

[ リスト ]

この記事はフリーペーパー「ココカラ」のNo.212016年8、9月号の連載「マル金カレー 第10皿め」の続きの記事です。キンドルで読むことができます。URLは文末に。



友人に知らせなくてはいけないことがありました。
わたしが知らせるまでもなく、早耳の彼はその噂を聞きつけ驚いているんじゃないかとはおもうのですが。とはいえブツはわたしが買いに行かねばならんでしょう。彼は動きやすいんだか動きづらんだか、ひとところにいて動けるのかどうなのかも語らぬので、だったらわたしがさっさとね。



カレーですよ。



夏になると彼と会う約束が例年通りにやって来て、彼がいる麻布十番に足を運びます。いつもの土産。十番商店街のはずれにある持ち帰り専門のカレー店「きりんや」。珍しい、インドカレーのお弁当専門店。めっぽううまくてわたしの大好物でもあります。
そこでいつもチキンドピアザという鶏肉と玉ねぎいっぱいのカレーを買っては彼のところに通っておりました。今回は時期も早いのだけど、別件ができたので急遽、という話しです。その別件の絡みがあって土産もいつものものとは違います。

イメージ 1

葉山にある、とあるインドレストランのカレーを持って麻布十番を訪ねました。その葉山の店が閉店することになったのです。 そこの野菜のカレーを携えてね。

南葉山、なんて今ではそんな風に呼ぶ人もいますが地元の人はそんな住所は存在していないよ、と鼻で笑います。
御用邸の少し先、子産石のバス停の前にちょっと洒落たインドレストランがありました。大変気に入っていた店で、その名前を「あっぷーがる」といいました。そこのマダムとはブログで知り合いになり、お店に行ってみたのがあっぷーがるを知るきっかけでした。

イメージ 2

クラシックでゴージャスな北インドのレストラン料理を出してくれる海辺の店で、2階建ての建物は雰囲気のあるものでした。1階に入り口があってそのまま客席のある階上に階段を上がります。明るく見晴らしのいい海を見渡せるテラスと、シックな土壁と濃い茶色の柱のコントラストが素敵な店内、そこに今は友人の日本人マダム。それとちょいといい男のインド人店主。彼女の旦那様です。それにコックさんやホール担当のイケメンのインド人の男の子がいました。
繁盛店で忙しく動き回る彼らを眺めても不思議とバタバタした感じはせず、いつ入ってもリラックスできる本当に良い店でした。

イメージ 3

時間が経ってその繁盛ぶりからお客が入りきれぬようになって材木座の海岸の大きな店に移って。そのあと、もう一度葉山に戻って。どの店もマダムのセンスが光るいい店で、なんども楽しい時間を過ごすことができました。

友人とはもう10年前、2006年の秋にその店で食事をしています。マダムと彼とわたしでたくさんおしゃべりをして楽しかったな。昼過ぎに店で待ち合わせて、わたしがちょいと遅刻をして、とっぷりくれるまでたくさんおしゃべりをして。彼と二人で子産石のバス停からバスに乗って帰ったことをよく覚えています。

イメージ 4

繁盛をしている店でも色々な理由で店を閉めなければならない時があります。そういう話しを何度も聞き、そういう店をいくつもみてきました。今回の話もそういうものでした。店も、人も、お客も、誰も悪くない。ただ、いくつかの要素がたまたま閉店へと誘った。それだけなのです。

あっぷーがるが閉店することになったのです。

久しぶりに顔を見たマダムは疲れ果てていました。閉店を聞いたお客たちがそれこそ狼の群れのように押し寄せてはカレーを食べまくって持ち帰りを頼みまくって、という様子。あんたたちがもっと普段からきていれば閉店なんていう形にならなかったんだよ。そういう風にも思います。でもこれはわたしの意見。お客を責めるのがちょっと違う、というのは飲食に携わるものなら誰でも知っています。

イメージ 5

わたし自身が久しぶりのあっぷーがるの料理。やっぱいうまい。本当にうまい。クラシックなムガル料理。インドで生まれ、日本で育まれシェイプされたご馳走。そう感じます。このジャンルのいいお店が少なくなってしまった最近です。それだけに可能性も大きいと思うし、これからがチャンスだし、何よりこの味が失われるのはとても残念です。

イメージ 6

イメージ 7

タンドリーゴビ、これが素晴らしいんだよね。

カリフラワーをひと株、丸ごとマリネしてタンドールで焼き上げたもの。ちょっとこれは本当に忘れがたいいいものです。わたしもタンドール持っているわけで、これは自分でもやってみたくなる。一度チャレンジして失敗したことがあります。

イメージ 8

焼き物も本当に美味しくていいもの。焼き物はディナーセットに付属のものですが、そういう言い方ができぬくらい完成度が高い。特に三崎マグロのティッカなんてちょっとどうしていいかわからないというおいしさ。
タンドリーチキンもよくあるゆるいものと違う素晴らしい仕上がり。インドの焼き物なので鶏皮は剥いで調理されますが、皮はないのに表面は照りがあってパリパリと仕上がり、中はとてもふっくらしているのです。これは美味しいなあ。
タンドリージンガ、海老のマリネード焼きも大変美味しい。いっぱい食べたい。3種の焼き物、お肉は基本のみんなも知ってるタンドリーチキンであと2つを海のものにする、というのもここ、葉山に店を構えるあっぷーがるらしさだと思います。

イメージ 9

イメージ 10

イメージ 11

カレーもいい。
クリーミーで、リッチで、ムガルの王様たちの料理というルーツが理解できる味です。

イメージ 12

別で頼んだカブリナンは他の店のカブリナンとは一線を画す素晴らしいもの。ナーンの生地にフィリングしてある甘いチャツネ、それとは別に焼き上げたのちもう一度甘いソースをかけてあるこれは一度食べるとちょっと忘れがたい味でした。まさにデザートナーンです。


帰り際に彼の分のカレーをオーダーしました。
なんとかかんとか、あの時のカレーのオーダーを思い出して、頼んだのは「ベジタブルジャールフレージ」野菜とカッテージチーズのドライタイプの炒め煮カレーです。

イメージ 13

これもいいんだよねえ。パックに詰めてもらって彼へのお土産にしました。
落ち着いたらまた、とマダムに挨拶をして店を後にしました。

翌日は雨でした。

雨じゃあゆっくり彼とおしゃべりもできねえなあ。カレーもなあ、と考えて、ドライタイプのいいところを生かしてサンドイッチにしてみよう、と手を動かしました。さて、車で麻布十番へ。向かった先はもう何度もやってきている「長玄寺」。雨の墓参になりました。

イメージ 14

いつもなら「きりんや」のチキンドピアザを墓の前に広げて彼と長話をしながら食らうんですが、あいにくの雨。クルマを停めて、寺の奥の墓石の前に行って、相変わらずブツブツと小声で彼に話しかけます。サンドイッチを噛み切りながら「これこれ、この味だったよな」なんてニヤニヤとします。ざんざんぶりの雨に這々の体で彼に挨拶もそこそこ、ジャルフレージサンドをむぐむぐと頬張ったままクルマに戻ります。

イメージ 15

まあ、今日はあの店の閉店の報告だけだからこれで勘弁な。
なんにしろ夏になるとまた命日がやってくるもんな。また来るから。

そういえば今年の夏で10年目になるっけな。


この記事はフリーペーパー「ココカラ」のNo.212016年8、9月号の連載「マル金カレー 第10皿め」の続きの記事です。キンドルで読むことができます。



>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
たべあるきオールスターズ「食べあるキング」に参加しています。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
ご連絡、お問い合わせ、お仕事のご用命等は iizka3@gmail.com
                    (@を小文字にて)
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
2016/1/1、著書カレーの本が刊行されました。
カレーの本 (SAKURA・MOOK 69)  / Amazonのリンク
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
活動内容等の各種Linkはこちら   http://about.me/hapi3
Instagramはこちら。       https://www.instagram.com/hapi3/
tumblr 日々の事がまとまってます。http://hapi3.tumblr.com
Youtubeチャンネル。カレー中心。 http://www.youtube.com/user/iizka3
もうひとつのブログ 「いつもんログ」http://hapi3s.blogspot.jp/
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

開く トラックバック(0)


.


みんなの更新記事