カレーですよ。

雑誌連載中:ぶんか社「エキサイティングマックス!」連載「それでもカレーは食べ物である」第90回は西荻窪「とら屋食堂」です

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台湾台北でもなんか面白い店を見つけちゃったよ。
ちょっといいよ、面白い。



カレーですよ。



さすがに海外だと「なんとなく知らない駅を降りてぶらぶらしてピンときた店に入る」というボクのいつものやり方は通用しない場合が多いです。
中央アジアは元々のカレー文化圏ではない場所ですから。とはいえ漢字文化圏。それで、Googleマップを使って伽喱の漢字を探してある程度当てを作ります。それで、それでもやっぱり匂いは嗅ぎ分けねばならぬもので。

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とはいえやっぱり体験してみると鼻が利く(笑)
あっと!ここは偶然見つけたんだけど、お休みかあ。良さそうだなあ、マレーシアンスタイルチキンかあ。

「u-Bike」を使って街を走るとなんとなくピンときてスピードを落として走ると「?哩」の文字が目に飛び込みます。1日目は街に目と体を慣らす、二日目から自転車、そういうのいいですよ。「u-Bike」は台湾の都市部ならいたるところにステーションもあるし、クレジットカード一枚で自転車を借りられるので使わない手はありません。

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そうやって厳選、探し出したのがこのお店。


「伽哩先生」


さて、カレー先生かあ、、、どうなのよその名前(笑)とは思ったんですが。
なにかこうピンとくるものがあったんだよねえ。
日本人の感覚だとカレー先生はなんかおもしろ系に感じてしまう人も多いと思うんですが、台湾ではカレーマイスターという感じのニュアンスなので、また受け取り方が変わってきますよね。そういうのも調べたり聞いたりするのは楽しいことです。

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さて、ちょいと自転車で街を楽しんでいるうちに到着です。いやしかし、到着までが大変だった。店の前を3回通り過ぎましたから。
そこはインドカレーを名乗る小さな食堂でした。漢字で書かれた地味な看板の下の方にインディアンスタイルカレーという英語表記がありました。

ガラスドアから中を覗きます。うーん、普通の人はこれ躊躇するんだろうなあ。ボクはその線はないんだけど(笑

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本当になんども通り過ぎてしまったほど見つけにくい店でした。昼間はほぼ気がつかないだろうなあ。行ったのが夕暮れで、うろうろとしているうちに暗くなって電気がついて初めて「あれっ、ここ、みせ?、、、」という感じ。
地味な看板が一枚かかった、しかし意味なく自動ドアの店。まるで民家にガラスの自動ドアがついたような佇まいなんですよ。これは入りづらい(笑)

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店主は浅黒い台湾人の男性。その男性が一人でやっているようでした。
ちょいとぶっきらぼうな感じです。

5つほどのテーブル。壁際には大きな保温ジャーが2つ。
ホールは厨房とは壁一枚で分けられています。

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メニューは壁の張り紙だけの様子。漢字で「?哩」と書いてあるのは一つだけだなあ。
あとはなにか蒸し物とか炒め物とか台湾料理風です。

多分そう書いてあるのであろうポークカレー、


「伽哩猪腱子」


を選びました。
選ぶ、というより知っている哩という文字と猪の文字がついたメニューがそれ一つだけなので、指差したというかんじです。

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夕方の開店すぐでお客はボク一人。ガランとしたホールで壁の張り紙を見るともなく見ていました。どうもなかなかの人気店のようです。そうなのか。そうなんだ。そして店主のぶっきらぼうな彼がちょいとおどけて写真に写っていて親、印象と違うね、と思いました。

あ、カレー、きましたよ。

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うつわにカレー汁、とでも呼べそうなスープタイプで良い香りのするのがひと椀。それとスプーンをくれました。おいおい、こりゃなんだかさっぱりしてるなあ。おやおや、こりゃあ画になりにくい(笑)

ごはんは自分でさっきの保温がまからよそってくるスタイルのようです。
胚芽米かタイ米が選べる方式。だからかまが二つなんだね。

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店主のほっぽりっぱなしのあの調子ならお代わりも可能なんじゃないだろうか。

さあカレー。どうなんだカレー。

ひと口食べると。おやおや。うーん。はじめのひと口目、なんだかひと味足りない感じがぬぐえません。なんだろうか。ちょっと弱いな、味。とはいえふた口目ですぐ慣れて、そのなかでおや、これは、とハッとしました。こういうシンプルなインドのスタイルのカレーあるよなあ。なんだっけなあ。どこで食べたっけなあ。兎にも角にもたまねぎみじんをたくさん必要とするインディアンスタイルカレーなのは間違いありません。さっぱりシンプルなカレーソースです。小麦粉や固形ルウを使わずに仕上げてあります。

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おや、あの無口な店主が寄ってきたよ。「スパイス?」と聞かれて、なんとなく反射的に頷くと、小皿が運ばれてきました。どうもチャトニのようなもの。うんうん、これ混ぜるんだね。

あっ!なんだこれ。これうまい。混ぜるとすごくうまい。
フレッシュガーリック、チリ、香菜などを刻んで酢でありましょうか、漬け込んだような感じです。これうまいなあ!

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これをカレーに入れると味が激変。これで完成なのじゃないかと思うようなよい味にシフトするのがおもしろいです。ただしけっこうな辛さなので要注意。とはいえこれ、いいねえ。
なのでセパレートは親切だろうね。

どうもこれはインドカレーに端を発してここまで流れ着き、哩先生の名の下に台湾オリジナルカレーを完成させたのではないか、もしくはその胎動か、と思ったのです。

要するに気に入ったわけです。

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メニューは壁の一枚ペラのみで日本語、英語対応一切なし。
店主は無愛想に思えるがそうではなくて淡々としているだけ。その感じも好みだし。

130元と格安でしたよ。帰りしな、外で店の写真を撮っているとニヤリとして手を振ってくれました。なんだ、いい男じゃん。

台湾のサイコーカレーに出会った夜でした。
最高、という形容を送りたいね、この小さくて入りにくい店に。



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