カレーですよ。

雑誌連載中:ぶんか社「エキサイティングマックス!」連載「それでもカレーは食べ物である」第90回は西荻窪「とら屋食堂」です

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もう年末なので、今期、行っておくべきお店ということで紹介したいお店があります。年内最後の店紹介。



カレーですよ。



とにかくおもしろくて仕方がない店だったんですよね。わかってはいたんだけど、やっぱりいったら面白かった。特に、ランチではなくディナーにこそ行くべきお店でした。それがすごくよくわかりました。

そのお店は渋谷の端っこ、原宿の入り口といえる場所にあります。

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カレーのトレンドってなんでしょうね、と今年もずいぶんたくさんのメディアの人から聞かれました。わざと少し曖昧に「大きなトレンドってないんですよ。小さな波紋が水面でいくつも広がってそれが呼応しているイメージが今のカレーブームです。要因はひとつじゃないんです」なんてね。言ってました。あ、ちゃんとギャランティを支払ってくれるメディアにはきちんと明確なお答えを差し上げてましたけどね(笑)

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そういう中でこれはまあトレンドでしょう、と言い切れるのが2つ。
間借りカレーとモダン系カレー。この二つだったんじゃないかな、と年末のこの時期に考えています。そしてでてくるのがこの日訪れたお店。


「エリックサウス マサラダイナー」


色々な場所で色々な方に何度もこの話しをしているんですが、岐阜に母体を持つ、エリックサウスの東京展開の各店は、その店舗が一店舗増えるごとに濃さが増してきています。現在都内ではエリックサウスブランドの店舗は3店舗が稼働しています。それぞれ八重洲、溜池、渋谷、という立地。

その中でボクがキーワードになると考えているのが、お店でのレストラン体験の中に二重のレイヤーが仕掛けてあって、より幅の広い層にリーチしているという構造。これが実に巧妙でとても面白いのですよ。大前提としてレストランとしての当たり前の背骨の強さという要素ももちろんあります。その上での、二重のレイヤー。もっと細かく腑分けをすることもできますが、概略こういう体験です。

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メニューはどれを食べても十分美味しいんです。いや、十分以上です。普通の、と敢えて言うんですけど、カレーマニア、スパイスクレイジーではない、おとなしい一般のお客さんが食べてちゃんと美味しいわけです。
まず、一つ目の体験は「これは難しい名前だけど食べると美味しいねえ」というもの。これは一般的なお客さんへ向けてのレイヤー。

そしてもう一枚のレイヤー。
今度は先ほどのカレーマニア、スパイスクレイジーたちへ向けて。彼ら曰く「おや、こんなものをメニューに乗せるのか。うん、知ってる知ってるよ」(うわっ!マジかよ!!名前だけ知ってるけどインドでも食べたことないしましてや日本で!そんなもんが渋谷に、、、/心の声)というもの。

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この、ただただ評判良いレストランでおいしい食事をしたい、普段はスパイスのスの字も考えていないような客層からカレーの変態さんまでオールレンジカバー、というもの。これが二重のレイヤーの正体だと思うんです。

そしてもうね、味や手法や云々はもう食べにいっていただくしかないのですが、もう一つ、ホール担当のレベルの高さ。これが特筆でした。いや、違う。違うんですよ。

料理への造詣の深さというだけの単純な物知り博士のことではないんです。それではマニアと変わらない。それじゃあお金は取れません。

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女性のホール担当が2人、立ち代わりでテーブルに来てくれましたが、まず安定しているんです。揺るぎがないというか、きちんと自信に溢れていてきちんと気遣いができて。寄りかかれる安心感とでも言いましょうか。何かあれば彼女らに聞けばあらかた解決してくれるだろうという心強い予感を強く感じさせる接客でした。
そういう中にきちんと人の心を掴む力を感じる。これはたいしたもの。
料理の内容、知識とその担当の個性でお薦めのチョイスなどしてきてくれる頼もしさ。こういうものこそがレストランでの食事の楽しみの重要な要素になります。

メニューも実に楽しかったですね。

前菜は冷製のものですが、どれも工夫を凝らしてあります。

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本来熱を加えねば強くは出ないスパイスの香りを上手に引き出してあるのが素晴らしい。生魚が1種含まれるのも驚かされました。「天然カジキマグロのインディアンセビーチェ」か。うーん。言葉もない。

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なるほどまさにモダンインディア。チキンピックルも上出来ですし、いろいろ頭と舌を刺激されてどうにも楽しくて仕方がない。たまらんです。

肉のプレートをもらったのですがこれもまた秀逸。

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ラムのスパイスステーキやゴアソーセージなどチョイスも味も、なんだか楽しくて笑いっぱなしになるんです。

この店ではとりあえずカレーを食べる前にこういうものをちゃんと体験しておかないと損をするでしょう。こういうものを楽しまないと。

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この日は有名スパイス料理店のオーナーシェフと一緒におじゃまをしたのですが、その方のプロとしての料理の解説と感想を聞きながら食べ進めるのはちょっと普段では望めない素晴らしい体験でありました。

その解説を聞きながら食べる料理の数々は、きちんと裏打ちのあるものばかりだという確証が持てます。

なんともはや贅沢で知的な時間でした。

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そのうえ偶然にも、美食ぶりに定評ある知り合いのモデルの美女まで別の席にいるという面白さ。
なるほどね。こういう人々が敏感に嗅ぎ分けてやってくるお店なのですよ、ここは。

納得せざるを得ないという感想が口から飛び出します。

年末に思うのが、どうやらそろそろ国境で分ける料理のジャンルのことを一度切り離さして考えねばいけない時代に入るようだ、ということ。来年のスパイス料理の世界が見えてくるようなディナーでした。

2018年、ボクが感じた最も気にするべきレストランの、3店舗の中の一つが、ここです。


#カレーツーリズム #カレーダンニャバード #カレーですよ


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