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間借りカレーという名前はもう随分浸透してきている感があります。とはいえまだまだカレー業界に限っては、という括弧付きですが。それにしても最近ではメディアがその名前を使うことも多くあり、それによって知る人、興味を持つ人も爆発的に増えているはずです。
ひどく恐怖を感じています。
・カレーはブームなのか?
現在進行形でカレーブームというのはやはり続いているのかな、という感があります。
専門誌の季節ごとのいつも通り、毎年おなじみのカレー特集。とある専門誌では一度カレー特集をやらない事を考えた年もあったそうです。マンネリ、その気持ちもわかる部分があります。
一方、一般誌でのカレー特集のボリュームや内容が非常に質が高い年が何年か続いているという事実があり、それもカレーブームと呼ばれるものがある証拠なのではと考えます。去年の夏はおよそ食べ物、料理を扱うジャンルではないだろう、というような雑誌などが見事な特集を生み出したりもしていました。その特集はカレーそのものというより「ひと」に着目したインタビューの記事が中心で、なるほどと深く納得いくところがありました。
・トレンドがあるの?
カレーのトレンドを教えてください、とテレビやメディアの出演時に言われることがあります。それこそ間借りカレー、ネパール料理、地方のカレーイベント、大阪スパイスカレーと数々あるのですが、わたしはメディアの方々が期待するような大きなトレンドはないと考えています。小さなはやりがさざなみのようにいくつもの場所で起こり、それが呼応しているのが今のカレー業界かな、と感じています。これはもう4〜5年続いている感があります。
それとは別にトレンドなどという言葉では片付けたくない大きなうねりがやってきているのも事実。これはまた別に書きたいと思っています。
・アマチュアシーンの充実という要素。
そういう中で、いわゆるカレーマニアという人たちが存在します。調理、食べ歩き、各種研究、歴史検証等その幅は広いものがあります。
カレーという言葉。これはマジックワードなんです。
実は日本人の8割が考えるカレーのイメージは「内食」です。うちで作るもの、お母さんが作るもの、自分で作るものというのが多くの日本人の共通認識で、カレーを外食で食べるということをナンセンスだと感じ、理解を示さない層はまだまだ多いでしょう。
カレーの食べ歩きという趣味は都市部にしか存在しないジャンルです。ラーメンは個食、低価格(最近は色々になりました)、なおかつ自炊の場所にはありません。自宅に大型の寸胴鍋と高出力のコンロを持つのは趣味の範囲を超えることでしょう。インスタントラーメン等は別ジャンルと考えます。ちょうどその背中合わせにあるのがカレーだと考えています。
カレーマニアという人たちは世の中のそんな流れとは少し違うベクトルでスパイスを使う調理の面白さを知った層。専門書を手に入れて主にインドのスタイルのカレーを中心として調べ、作り、研究し、横でつながっていって食事会を開催したり独自の勉強会なども行われているようです。都市部を中心にたくさんのコミュニティが存在しています。専門書も本当にたくさん出版されています。
・マニアックな専門店、マニアックなメニュー。
そのような活況があり、なおかつ都市部という人口集中の場所でそれを当てはめてやると、普通の人が好むカレーライスというものとは違う、具体的にいうと固形ルウやカレー粉等の市販品をまったく使わないで、なおかつ一般向けとは少し違う方向を向いたカレー料理のニーズが少なからず存在することが浮かび上がってきます。そんなクセのある料理、カレーを出すマニアックな店なども、都市部、個人で小さくやるという条件であれば成立するようなマス、マーケットにもなっています。大変に面白い動きで、日本の食文化の変遷の中でもあとで特記されるような変化なのかもしれないと感じています。
・日本のインド料理の変化と「本物」とは何なのか論。
幸運なことにそういう流れの中でインド料理や南アジアから中央アジアまでの食に今まで以上に注目が集まっている現在の日本。大変に楽しい状況です。
わたしは個人的に「精神的鎖国」と呼んでいますが、外国や、日本の都市部への憧れを持たない人が増えているそうです。色々な理由があると思いますが、海外旅行に興味がない、都市部へ行く理由がない。そういう人達が多いそうです。が、しかし。わたしたちがいかなくても彼らはやってきます。わたしは自分の友人の1/3が外国人になるような時がやってくるとはよもや思っていませんでした。同年代の友人たちの子供はクラスに必ず外国人がいて一緒に遊んでいるそうです。
そういう時代、彼らは文化と食を伴ってやってきます。外国人の経営、そのメニューにはわたしたちが食べたこともないような異国の未知の食文化を背骨としたものが並びます。そういうレストランは増えるばかりです。
カレーマニアの人たちはそんな中、「本物」を探し続けます。本物という言葉を使い、なんとかして現地そのものの料理を得ようと動き回ります。しかし努力虚しくその思いはなかなか叶いません。なぜならここが日本で、彼らにはインドの空気とインドの水、水っぽくない果肉の厚いトマトや牛糞を使うコンロや彼の地の川で泳いでいる生きた川魚を手に入れるすべがないからです。
・自由を手に入れた日本のインド料理。
そんなことをしている間に日本にやってきたインドのコックさん達は日本のトマトと東京ガスのコンロと水道水で「本物」を作り上げます。そして当たり前として日本の食材にベストな調理調整とその店で一番たくさんきてくれる日本のお客さんの層に合わせたおいしいカレーを作り出します。それはインド人コックさんのオリジナルであるとともに「本物」と呼ばざるを得ない、そして新しいよいものとしてこの地日本で受け入れられ、進化していきます。
著名な料理家ももちろんそんなことは承知で、時代に合わせてどんどん勉強をし、研鑽を続けて「彼らの本物」を生み出します。情報が少なかった時代に自らが情報を取りにかの地に渡り、苦労して手に入れた価値ある手法やノウハウ。それを売りにした時代は終わり、しかしその土台を持っているからこそ生み出せるものを持ったまま、なお研鑽を積んだ料理家だけが時代に取り残される事なく今、その真価を見せてくれています。わたしの友人にはそういう尊敬すべきスタンスの料理研究家が何人もいます。
そんな幸せな進化を続ける日本のカレー。
そして迎えた間借りカレーの時代です。
・間借りカレーというもの。
ここまでの流れがあっての「間借りカレー」というスタイルの台頭なのかな、と思っています。
「間借りカレー」とても楽しいものです。ただ、これから。あしたからどう進むべきなのか。
ここまでの間、例えば料理人になるにはむかしは辻調に行く、営業店に修行に入る、などの方法がありました。最近だと料理研究家から転身する方もいるようです。逆もあるようです。そして間借りカレーという道が新しく生まれました。
大阪では色々な国の料理や色々な店に影響を受けながら創造的で面白いカレーがたくさん生み出されました。その名前は大阪スパイスカレー、聞くところによると間借りのお店も含めたシーンではもう三世代目が登場する活況のようです。
そんな中で考えることがありました。彼らの中には少なからず大事なものが欠けているひとがいるのではないか。少し心配になっています。それはすごく大事なものです。
色々な条件や色々な経験を持ってお店の間借りをして営業を始めるひと達。中には飲食の経験がない人も多くいると聞きました。
初めはそっと、仲間内だけで話を回して友達が食べにくるという可愛いものでした。ところが最近のようにメディアからもスポットが当たるようになります。そういうのは嬉しいことでしょう。そしてその翌日からその店の店主を知らないお客さんがたくさんやってくるようになります。友達ではありません。ここから間借りカレーを運営する彼らは未体験のゾーンに入って行きます。
見知らぬ人への接客。恐る恐る接客する相手はその人のことをこのあいだまで素人で、友達にご馳走しているようなアットホームな雰囲気を大事にしている人だとは知りません。だってそのお客さん達は友達ではないから。お客さん達は彼らのことをプロとして扱います。プロなのだから安定した味を、プロなのだから素早いオーダー受付を。プロなのだから値段に見合った味を、サービスを。
今度は違う顧客さんがきました。眼光鋭い物言わぬ客。同じ業種のプロです。同じプロなのにこの接客?同じプロなのにこの味?同じプロなのにこの内容でこの値段?取れないだろ、そんな値段。こんなんじゃあね。そう言われるかもしれません。いえ、そんな親切なことはわざわざ言ってくれません。「そのうちつぶれるだろう。ほっておけ。」そう思って黙って席を立つのかもしれません。
なぜか。なんでなのか。
なぜなら「間借りカレー」だろうがなんだろうが、お店というステージに上がったらその人はもうプロとして扱われ、それ以外の選択肢はないからです。それ以外ではない。プロなのです。
接客も知らねばならない。料理がなぜこの値段でこの内容か、問われれば納得させられる答えを用意せねばならない。法律や条例、決まり事を全て守らねばならない。税金も払わねばならない。何より懸念しているのは自分が何かミスをすれば借りている場所の家主に甚大な被害を与えてしまうこと。それを知って、責任を取る用意をして、その上で仕事をしなければならない。近所への配慮、お客の安全、清掃、衛生管理。
やっていることがプロと同じこと=店をやること、これを続けるならプロであり、当たり前ですが全てをやらねばいけない。そうですよね。
・決まり事があるならそれを守る。
・決まりごとは誰も教えてくれないから自分で学ぶ。
・自分ではない人の体の中に入っていくものを作っているということをいつでもはっきりと意識する。
ここが入り口。ここから始まります。味という話はもっとずっと先に進まないと出てこないものだと考えて始めるといいのかもしれません。
こんな言葉をSNSに投げました。そこから始まって、もやもやと考えていた「間借りカレー」のこと。それがこのエントリーを書くきっかけでした。
**
カレーが好きとかあのシェフの仕事を間近で見たいとか言ってる人。その前にやることがあるでしょ。ホールを任されたらその仕事を完遂しなさい。あなたが崇拝するシェフの大事な店を毀損してどうするの。あなたの勉強なぞそのあとでしょ。しっかりしなさい。
<追記1>
なんでこんなに危機感を感じているかというと、そのお店だけの話、その人一人の話じゃないからなんです。
例えば無責任に営業をして、人死にが出たとするでしょう?そこまで言わないでも何かしらのトラブルが起こったとする。飲食っていうのはそういう可能性も孕んだ危険で真剣勝負の世界です。衛生上の注意だけではない、接客でも、仕入れでも起こりえることです。
それで、本文にたくさん書いたけれど、せっかくマニアックで面白いアマチュアシーンができて、それとプロのレストランのあいだを色々な意味でつなぐ形で実験的なことや冒険ができるフィールドができて。それによってここまでカレー業界というものがすごく盛り上がってきて裾野も広がって商売できる人も範囲も増えつつあったり、アマチュアもより深く研究や発表ができたり。それが業界の前に進む力に少なからずなっていたのだと思うんです。
そんな奇跡的なバランスが、間借りカレーや、もちろんアマチュアの人もそうなんだけど食中毒やトラブルなどを起こして官からの、法律、条例からの規制が入ったとしますね。すると一気にそのシーンが崩れてせっかく築かれた素晴らしいバランス、いっぺんに失うことになります。他の人に迷惑をかける、プロの人に迷惑をかける、期待してきてくれていたお客さんを裏切る、業界の活性化を止める。一人の話ではないんです。どう思います?このことを怖い、まずい、と思う人だけが、前に進めると思います。これを読んでピンとこなかった人は、プロの人に頭を下げてお話を聞かせてもらったり、ちょっと提供をおやすみしたりしたほうがいいかもしれない。そうこうしているうちに、5月からの温かいを超えた暑く危険な季節がやってきます。
<追記2>
もう一つ、これはボクの脇が甘いのも悪いのですが。
ブログはともかくね、個人メディアと呼べるものだと思うので。
いわゆるメディア、媒体。わたしは雑誌やネットのパブリックなメディアに記事を書くことを生業としていますが。
特に雑誌でひやりとしたことが何回かあります。取材をしてその雑誌なり媒体なりが発行されたばかり、ないしは印刷が終わって店頭に並ぶ前日なんかに突然電話が、メールが来ます。「すみません、お店やめます」「移転することになりました」どうしてそんな!、と問うと「家主の都合で」とか「いい物件が決まってしまったので」とかで。そういうことがあるとやっぱり「間借りカレー」の取材はやめておこう、となってしまいます。時代が変わって「紙媒体は一度印刷されたら訂正が効かない」「それによって掲載誌の信頼性が失われる」という連鎖が起こることがわからない世代もいるかとも思います。でもインターネットだって、間違っていたらその場で直せるけれど、間違った情報を見る人はかえって紙媒体よりも多く、不特定多数だということで同じだと思うんです。取材を受けるというのは「有名になってお客さんが増える」「取り上げてもらってうれしい」だけではないんです。責任も発生します。わたしも一生懸命お店の見極めをするように努力しての取材なのですが、力及ばぬときもあります。取材対象とボクとで一緒に頑張ってやったと思ったら、、、という虚しさが残ります。
#カレーツーリズム #カレーダンニャバード #カレーですよ
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食べるといふ事
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ハラルエキスポジャパン2017は行ってよかったなあ。
大変価値がありました。
場所は浅草の産業貿易センター台東館での開催でした。
決して広い会場ではなかったのですが、期待を上回る熱気と人出に驚かされました。
この会場の面積ではもったいないなあ、と思わせる内容でした。
ハラールはまだまだ取り組みのある会社、団体などの絶対数が少なく、始まったばかりという感もある日本ですが、そういう模索の中で面白いものがたくさん出てくる年になったという感があります。
CoCo壱番屋の秋葉原にできたハラールカレー専門店はそのうちに、と思っていたんですが、期せずしてこの会場で食べることができました。
試食とは名ばかりの茶碗一杯はあろうかというボリュームがあるハラールに対応したカレー。専門店らしくて好感が上がります。CoCo壱番屋のレギュラーのカレーソースよりも角が取れたまるい味で、しかしきちんとCoCo壱番屋のDNAがわかる、というもの。うーん、これは大したものだなあ。むしろレギュラーのものよりも好みですね、ボクは。
そして目を引いたオペレーションの素晴らしさ。動きが素早いしかっちりしているしで店さながら。なんというか凄みを感じるものがあります。もちろんオペレーションクルーは笑顔。
どんな場所にあってもカレーを提供するときのやり方は一貫しているということです。
うーん、底力を感じますね。
S&Bも出店がありました。
こちらも定番のゴールデンカレーのハラール対応のものを試食させてもらえました。凄まじくおいしい、いいお肉を使って渾身の試食カレーです。うわあ、こりゃあおいしい。ムスリムの人と日本式のカレーが食べられるというのは素晴らしいことだなあ。
たとえばホームパーティ。
お招きなんかの時にあまり苦労がなくなりますね。このハラールタイプのゴールデンカレーで野菜カレーを作ればいいわけですから。気持ちということで新しい包丁まな板と鍋を使うのもいいかもね。
にしきやさんも抜かりなくハラル対応商品を引っさげてブースを構えています。
海外生産品でやるそうで、パッケージがすごく可愛い。これは日本に興味がある人に向けたもののようでうまい落とし所の製品だなあ、と感心しました。販売展開の時にそれぞれんのパッケージの絵のストーリーのPOPなんかあると売れちゃうだろうなあ。
センスがいいし、日本での通常商品のラインナップから上手なセレクトをしていて色々と感心します。
他にも神戸物産も。
ご存知業務スーパーの会社です。
「輸入食料品の一部として大きく意識せずにベターセレクトを続けるうちに数割がハラールフードになったんですよ」「認証云々ではなくて母国でいつも食べ慣れているものが日本でも買えるといいよね、と考えたんです」という簡潔で揺るぎないスタンスにも感銘を受けました。説得力がありました。
他にも個人でハラールカフェを関西でやってらっしゃる方がいて、一番大事な「コミュニケーション」を軸にしてハラールに取り組んでいる情熱的な方もいました。そのカフェには是非行って見たいものだ、と思っています。
お弁当ケータリングや乾物系、お菓子、ハラール準拠の和食など多岐に渡っての展示でした。
各社スタンスが違うのも多様性という部分でいいなと感じました。
ハラール認証を取るメーカー、自社開発の会社もあれば、ハラールではなく動物性材料不使用として顧客にチョイスを任せるスタイル、いろいろです。 もう一つのフロアではファッションや文化面の展示なども。ヒジャブ活用のファッションショーなどとても面白いしいい取り組みです。ネットでは知っていたムスリム女性のおしゃれとかコスプレとかの楽しみをリアルに知ることができてとても興味深かった。良かったです。
いろいろな垣根が次々に取り払われていく現代ですが、それにしても国家、民族、宗教、植生、流通、地域性など多くの理由で食というものはかくも分断されているのか、と驚くことも多いのです。そういう中でそんな大きな流れに、それとは真逆の自由で自然な食もあると思っています。
その大きな幅の中で、忌避の線を超えて同じものを他民族、他宗教の人と同じテーブルを囲めるというのは感動すら覚えることだと感じるのです。
ハラールはもはやムスリムの人のもの、というよりも選りすぐりのよい食品として捉える非ムスリム層もいるといます。
2020年などと言わずにイスラミックの心優しい人々が快適に過ごせる環境が出来ることを望んでいます。
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カレーの専門家、と紹介されて必ず聞かれるのが「カレーは作りますか?どんなカレーを作るのですか?」というひとことです。
「作りませんよ」
といつでもしらばっくれて答えることに決めています。するとその質問者から次の言葉が出てこない。カレーというのは2017年において未だそういうものなんです。どういうことか。
まあ、本当は作るんですが。カレー(笑)家庭用固形カレールウなどのタイプは最近ではお腹にきついのでいわゆるインドカレーの作り方をお手本に、いい加減に作ります。人にお見せするようなものではありません。
でも実際のところカレー作るならシチュー作っちゃう派なんですよね。スパイシーなやつ。いつもそうです。
いつもの一本やりのシチューがありまして。結構乱暴なやつ。包丁をほぼ使わないというね(笑)ご参考までにこんなものです。
まずはじめにテンパリング(笑)カレーじゃないかそれ、と言われますね。小型の寸胴に油を適量敷いて、加熱して、クミン少しとクローブ5片くらいとマスタードシードちょっと多め。黒胡椒にホールチリを2本ほど。香りが油に移ったらガーリックスライスをさらに入れて、そこに半解凍の牛すじ肉を1キロ。炒めてなじませて塩で整えて。ここまでやると美味しいお肉炒めになってるので数枚ヘづって鍋をかき回しながらビールだかワインを開けて、つまみに食べて。飲んでるワインを炒めてる肉にふりかけてみたり。それで、ベルギー産の大きめカットの野菜ミックスの冷凍、500グラムパックを一袋を入れてまたかき混ぜて。そこにホールトマト缶をひと缶入れて、缶に水を一杯くんで、また鍋に入れて。それでしばらく煮込んで塩とかで味を整えて。もうちょっと甘みが欲しい時は同じく冷凍のグリーンピースをざらざらっと適量。あとは包丁使うの面倒じゃない日はじゃがいもとか玉ねぎを増量してボリュームアップしたり。冬だったら自分の部屋のアラジンブルーフレームの天板の上に鍋をポンと置いてつまみ食いしながら飲んだりしてちょっと時間をかけて完成に持っていきます。
そんな感じのシチューです。
見てくれはなんだかよくわかんない赤いシチューですが、結構うまいよ。
でね。それで、果たしてそれはカレーとは呼ばないものなのか、否か。さあどうする。どう答える?
どう思います?テンパリングしているわ、スパイスは入っているわでね。結構インドカレーのお作法が入っています。それで、そんな禅問答を始めると長くなるし質問者はキョトンとしたりあからさまにしまったという顔をするし。
で、そこはこちらの思う壺で(笑)ザマーミロ、と思っています。
そこでそれを起点にしてカレーのことを話し始めるのが面白いと思っています。
話が逸れてしまった。 カレーって曖昧な言葉なんですよね。日本においてカレーライスこそまごうことなき本流にして揺るぎないオンリーワンの日本食。咀嚼と工夫を繰り返してここまで育ってきました。
でも町にはインドカレーもタイカレーもあるでしょう?
ただ、インドカレーもタイカレーもそう言ってるのは、「カレー」という言葉を後ろにくっつけてるのは日本人含む外国人で、当地の人はひと言もカレーなんてこと言ってない。ただ、外人(日本人含む)がうるさく「マメカレークダサーイ」とか言うから「はいはい、これがマメカレーだよ。(本当はダールなんだけどな)はい、200ルピーね」とか、「グリーンカレーちょうだい。せっかくバンコクに来たんだからカレー食べないとね。」「ハイハイグリーンカレーね。これですよ。もちかえりかな?じゃあ袋に入れてあげるからね(本当はゲーンキャオワーンだけどな。スープだけどな)はいご飯つけて120バーツね。」とかね。
そうやって外人に付き合ってくれる面倒が嫌いなインド人やタイ人がカレーという言葉を寛容に扱ってくれるわけで、それでアジアのカレーが成り立っています。カレーカレーって言ってるのは日本人が一番多いかもね。
成り立っている、というより受け入れられた、ということかもしれません。食の世界で新ジャンルなのです、カレーという食べ物は。
そんな風にも考えられると思います。
そして現代日本においてカレーを食べ歩いていても「美食家」とは呼ばれないわけです。美食家なんて呼ばれたいなんてこれっぽっちも思っていませんが、でもそこなんですよ。それがカレー。
それと、あなたが言っているカレーと私が言っているカレーは違う、ということ。僕とあなた、ではなくてあなたとあなた以外の全員というニュアンスです。カレーという言葉があまりにも曖昧なもの、実は輪郭のはっきりしないものなのです。一人づつのカレーの定義があって、総意がきちんと一本ではない。同じではない。
曖昧さが面白いのがカレーです。
すごく面白いしそれが内包する幅ときたら目がくらむばかりで。そういう面白い食べ物であるカレーはこのままでい続けて欲しいと思っています。
ただ、曖昧ということに関して無関心、頓着ない、ということではなくて、曖昧だからどうなっているんだろう、があるといいなと思うんです。
なんのことか。もっと食について興味を持って欲しいんですよね。
いやだって、まず面白いじゃないですか。それが大きく一つ。
でもそんなことに頭使ってる暇ないよ、という人もいます。
ちょっと待って、それはそうかもしれないけど、そんなに頓着なしでいいの?自分の体内に、無防備な粘膜と内蔵たちに直接飛び込んでいくものだよ?食べ物は。気にしなくって大丈夫なの?
そういうところへたどり着くために、カレーという言葉を自分で色々考えてみる。そういうのは面白んじゃないかと思います。
何もヒステリックになる必要はないんです。
ボクも吉野家好きだしマクドナルドもたまに使ってるし、それらは便利で悪くない選択です。そしてあの値段であの満足感はすごいものがある。
でもね、そういうお店の使いかたってものがあると思っています。それが、目の前に置かれたそれがなんなのか知っていて食べるのと知らないで無意識に食べるのとではわけが違うんです。食べ物を知る、自分の目の前の皿の中身がなんなんだか知るということです。
本来ボクらは動物で、動物ってのは自分の身を守るために全方位を気にして生きていかないと、思う寿命を全うできません。それを気にしなくなった人類。
他の動物たちよりずいぶん安全で楽な暮らしを手に入れました。
性善説で回っていた頃は良かったですが、そうではなくなってしまった現代、自分の身は自分で守らねばいけない時代になりました。
それと、この人なら殺されてもいいや、と思える人。信頼できる人のレストランを自分で選んでいくというのも同じ意味かもしれないです。
カレーを考えるのは面白いですよ。
うちで作るのがカレー、その考え方をひっくり返してみるのもその一つのアイディアです。
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専門店ではない、カレー店ではない店がグランプリを獲った。
少なからずカレー専門店の間で動揺が出たようです。
それで、思うところがありまして。
専門店であろうがなかろうが、カレーライスは日本人みんなが好きなメニューとしてどんな店にも導入ができる。したほうがいい。そしてそういう店のカレーは「普通」なんです。「普通」であることが大事。
日本におけるカレーライスのポジションというのはこれ。
「普通」=「普遍」。
これがみんな一番好きなんです。「普通のカレー」。
さらにその「普通のカレーライス」というものが今回ラーメン専門という属性の店舗でその専門という強みを生かして作られた
「普通のカレーを何倍も美味しくしたようなひと皿」
が多くの人の気持ちを動かすことに驚く必要はないでしょう。
実際、「お茶の水、大勝軒」のカレー中華やカレーライスは素晴らしく美味しい。ボクも大好きなんですよ。カレーライスが通年定番でないのがつらくなるくらい美味しいです。
こと「カレーライス」というものにおいては「普通こそベスト」なのです。
それが大多数の声です。
もちろん専門店の凝った作りのカレーやアジアエスニック料理の料理はこれまた別のもの。別のいいものです。
別のものではあるのですが、「カレー」というマジックワードを一旦ぶら下げられるとそれがアーンドラプラディーシュ州の郷土料理であろうがチベットの山岳民族の保存食であろうが日本人は反射的に「カレー」と呼んでしまう。そしてカレーはお母さんのカレーや給食のカレーライスとつながっており、それらと同等ポジションと考えてしまう人が多いのが、未だ2017年冬の現状なのです。カレーライスとそれらを比べられたらたまったものではありません。両方の立場から同じ言葉が出るんじゃないかと思います。
そういう前提において、神田カレーグランプリはとてもいいイベントなのです。いわゆる「普通の人」、マスの一番大きいところ、それはつまり、カレー好き?と聞かれると好き、と答えるんだけど普段カレーなんて意識もしないしわざわざ外食にカレーを食べに行くことを選ばない、もしくは選ぶ選ばぬのギリギリのラインにいる人たち。そういう人たちの投票が多い、というふうに見えるんですよね。そういう数字って大事です。
だから界隈ですごく頑張っている凝ったカレーを出す店は上位には出ない。もしくは店主もわかっていて参加自体しない。それでいいんです。すごく自然。
そして、マニアだろうがそうじゃなかろうが、多くの人が「うまい」と太鼓判を押す料理には訳があり、そして問答無用にうまい。そういういいものっていうのはレイヤーがだいたい二重になってるんですよ。
まず普通のお客さん達を満足させるみんながわかりやすい美味しさ、品質。そのレイヤーの下にマニアが震え上がるような深い作り込みや素材選び、技法が隠される。歴史がそれを裏打ちしている。そういうきちんとした訳を持つものが選ばれ、長く愛される。
そういういいものが、今回ここ「お茶の水、大勝軒」のカレーライスであり、神田カレーグランプリに出店、優勝という形に結実しているのでしょう。
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たまにこんな質問を受けます。
なんで「カレーですよ。」の記事にはお店の情報が書かれていないの?
うん、わかります。便利じゃないよね。お店情報がないと。
でも、それはボクが担当するべきことじゃないのではないか、と思っています。なんでなのか。
ご存知の通り、お店は生き物です。営業時間、メニュー、どんどん変わるものです。それをすべて網羅、情報を書き換えていくのは困難です。親切で書いたものがふるくなるのはかえって混乱を招くでしょう。
紙の時代は、たとえば雑誌が古くなると読み返されないという特性があって、情報はその時のものという編集者、読者、共通の認識がありました。
現在、インターネットが情報蒐集の中心になった今、古い情報と最新の情報が同時、横並びに検索結果となって出てきます。傾向を見ていると残念ながらその情報にはどちらも発信の日付が付いているのに検索者の多くはそこを注視していません。
見つけた情報の新旧を見ずに盲目的に受け入れるシーンがたびたび目撃されます。危険を感じます。
店舗情報を出さない。そのかわり、タイトルでお店の名前は正確に書くようにしています。それとお店のある地域。これはそう、検索対応です。検索をご自分でしてほしいんですよ。それによって最新情報を自分の力で選び取ることができます。
何よりも、自分でもう少し、努力をしてほしいと思っています。
あ、この記事のお店に行ってみたいな、と思った時に、でも情報がないからいいや、とあきらめる人にはボクがいいなと思って気持ちを向けたお店に行ってほしくないと考えています。
自分で努力をしてでもそのお店にいこうと思うような人にこそ僕が食べたものと同じものを食べてもらって楽しい気持ちを共有したい、と思っているのです。
便利なブログは書いていないし書かないようにしています。消費されるブログは自分にとっては価値が薄い、そう思っています。
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