カレーですよ。

雑誌連載中:ぶんか社「エキサイティングマックス!」連載「それでもカレーは食べ物である」第90回は西荻窪「とら屋食堂」です

ポータブルタンドールプロジェクト

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カレーですよスペシャル「ポータブルタンドールプロジェクト」解 体



ポータブルタンドールプロジェクトの進捗具合ですが、自分としては遅くもなく、早くもなく、と考えております。
1号釜の改造プラン、世界のかまど文化の研究、2号釜の筐体購入、3号釜(プレゼンテーション用のイミテーション釜)のアイディアと筐体購入など、トピックもあるのですが、ご報告しないままここまで至ってしまいました。申し訳ありません。

今回、急な決定がありました。タンドールの解体、です。
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記事でも紹介しているのですが、葉山、子産石の「あっぷーがる」さんの鎌倉材木座への移転に伴い、現店舗のタンドールが不要になったというお知らせを受けていたのです。

タンドールは本来消耗品です。
使い方によっては3〜5年で寿命となる物もあります。
草と土を混ぜ合わせた粘土で焼かれた、焼き物であるところのタンドール。もちろんある程度の補修は出来ます。
同素材のクレイ(粘土)でひび割れをうめることによって延命できるのです。

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とはいえ日本に持ち込んで使用、という場合、インド国内では日本円で1〜2万円で買える程度の(それでも現地物価に照らし合わせれば高い物で、決して家庭に備えるようなたぐいの調理器具ではありません)ような物なのですが、現地と違って割れたときにすぐに代替え品を買える環境ではない訳です。
そこで日本輸出向けの物は、本来のインド国内用と比べて耐久性を考えて特別に作るのだと言うことです。

(稼働中の「あっぷーがる」タンドール。写真上にナンを扱う鉄の串(シーク)が2本見えます)

「あっぷーがる」さん、今回は新店をオープンさせるにあたり、インドから引いてきた新品のタンドールオーブンに切り替える、ということで今までの子産石の店で使っていた釜が不要になる。そこで、入り用なら、はぴいさん、もっていかない?というお話を受けました。

男はぴい、結婚のときのヨメとの約束に「タンドールをキッチンに備えて」と言う一項目を忘れた日はございません(実話(笑))
が、実際問題、この釜は大きすぎる。
何しろ業務用。イメージでいくと、あなたのお家のドラム式洗濯機のおよそ2倍の大きさの物が冷蔵庫の横で350度くらいの高温で燃えている、という状態になる。想像してみてください。とてもじゃあないが、、、(笑)
うち、賃貸だしね。

カレー業界の有名な方に何人か当たってみたのですが、やはりこのサイズは現実的じゃないようで。ユニック付きの2トンも用意しなきゃならないし。
その旨を伝えると、「では、解体いたしましょう」ということに。

解体!見せてください!どんな構造で、何が詰まってて、どんな仕組みなのか。知りたい!知りたいです!

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当日はよく晴れた風のない寒い日でした。
店舗敷地内の、厨房奥の屋外に、建物を増設して据えられたタンドール。
まずはその増設部の壁と屋根を取り払う作業が始まりました。
見る見るうちに、外の日差しにさらされる状態になったタンドール。近くで見るとやはり巨大な物です。
5年間、この店の厨房の核として中央を為してきたタンドール。
歴戦の勇者、という風に見える傷や汚れが感銘深い。

いままでこのタンドールと苦楽を共にしてきたコックさんたちが自らこのタンドールを解体してゆきます。

構造は、キャスターのついたベースの上にステンの壁が四方を囲い、その上にふたをかぶせて開口部を空けた、という形。
それぞれボルト止めになっています。
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その中に粘土の焼き物の壷が入っており、その底の側面部に四角く空気穴があけられています。
日本のインド料理店ではスタンダードなスタイルのタンドールとして機能します。

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あっぷーがるのタンドールは炭火釜。
ガス、電気なんて釜もあるんですよ(日本製、ないしは日印のハイブリッド)
大型の商業施設、ビルインの店舗などは消防法等の規制によって炭火が使えない場所か多いから、という理由もあります。

本来タンドールは、ルーツをたどるとこういう形のステン筐体等に入れず、地面を掘って土にうめて使うというスタイルでした。いわゆる蒸し焼き釜、です。

さて!解体。

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ボルトやナットをはずしてバールを隙間にいれ、こじってやると、、、
中から壷の口の部分が現れました。

イメージ 7
ステンの筐体とタンドールそのものであるツボ部分の間には大量のレンガないしは焼き物の割れた破片と灰が詰まっています。
なるほど、こういう物をつめてあるのか。
それじゃあ重量はものすごくなるなあ、、、

イメージ 8

(クリックで拡大可)
周りの瓦礫を払うと確かに、壷が埋め込まれている様子が想像できるようになりました。

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コックさんたちが10センチほど、その瓦礫や灰を掘り出しては袋につめていると、綿のように見える物が少しでいてきました。
お、こりゃあなんだろう?
果たして、それはグラスウール、でした。グラスファイバーってわかるでしょう?あれですね。断熱材によく使われる材質の物で、扱いが結構厄介です。
というのも、露出していると、空気中にまってしまい、からだにまとわりついて非常にかゆい。
これの扱い、難しいんですよね。

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これが上で蓋をしていた瓦礫や灰、10センチから下、ぎゅうぎゅうに詰まっていました。
なるほど、これなら瓦礫や灰、ガラスなどをつめるよいも軽くし上がりますね。

昔の友人で、国内大手のモーターサイクルメーカー(造船、工業系(笑)のあのメーカー)のデザイン部門に職を見つけた友人がいたんですが、そいつが一度、自分のデザインでヘルメットを自作しようってことになって手伝ったことがあったんです。
グラスファイバーの整形を手伝ったんですが、ガラス繊維が舞って、そのかゆいことかゆいこと。吸い込むとからだに悪そうだしね。

イメージ 11
(クリックで拡大)
コックさんたちもちょっと考え込んで、そのうちホースをもってきて水をかけ始めました。
なるほど、灰やほこり、繊維なんかを空気中に飛ばさないためにはいいですよね。
持ち出すゴミ袋が大きく重くなってしまうのは仕方ない。
周りを掘り下げるだけではらちがあかなくなってきた頃、いよいよコックさんがタンドールの壷自体を崩し始めました。

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釜の内側にバールを突っ込んでガッガッガッ、、、と。
ボコン、ボコン、というにぶい音とともに壷のうち壁が崩れてゆきます。
断熱材が詰まっているため陶製の焼き物であるのにパリン、とかカキンという音ではなく、ぼこっという音なのが印象的です。
昨日の晩火を落としたとはいえ、まだまだ熱が抜けていない釜の底。水をかけると湯気が盛大に上がります。

イメージ 13
内側のクレイの壷を叩き割りつつグラスウールと瓦礫を袋詰めしてゆきます。
かなり大量のゴミが出ます。

イメージ 14
あとは中身をすべて掻き出して、外のステンパネルのボルトを抜いてばらすだけです。

イメージ 15
なるほど、これだけの時間タンドールをつぶさに観察したことはありませんでしたし、その解体によって見えなかった場所がどうなっているのか、非常によく分かりました。大変貴重な体験です。

その内部構造の一部であるタンドール本体(壷)の破片とグラスウールを研究用の資料としていただくこともできました。
大きな壷にも関わらず、その厚みは17ミリほどでした。

いろいろな部分が見られて、理解が深まって、大変有意義な時間となりました。

基本構造やその使用素材、寸法関係等、大きな成果となる資料を集めることができました。
次のステップとして、その使用事例、火入れから稼働、停止までのプロセスや温度管理、歴史等の研究を進めてゆきたく思います。

もちろん自作ポータブルタンドールの制作も進めてゆきますよ。
ご興味のある方、一緒にやりましょうね。
また、プロジェクトにご興味のある方、資料等をお持ちの方、実際にお店で使用していらっしゃる方、ぜひお声をお聞かせください。
どうぞよろしくお願いいたします。




「あっぷーがる」代表のティワリ様、今回は見学のお話をいただき、又取材協力をいただいて、どうもありがとうございました。






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カレーですよスペシャル「ポータブルタンドールプロジェクト」見学




実験個体として作った、試作第1号釜ですが、その後ベランダで、何度も火を入れております。
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炭を入れて火をおこして。
はじめは炎が上がりますが、少し立つと落ち着いてきます。
炭火独特の柔らかで、でも底力あるどっしりと安定した穏やかな火。
それを見ているだけで、そばにいるだけでも価値があるものだなあ、と感じます。

火を見るという行為は何か人間の根源的なものを感じずにおれません。

ずっとずっと、火を見ていたくなる。不思議な魅力があります。
ただそれをするだけでも、このタンドールを作ってよかった、そう思います。
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今日は実際にレストランで使われているタンドールの見学に行きました。

お邪魔したのは横須賀市、海沿いの道を葉山御用邸から10分ほど走ったところにある「あっぷーがる
女性店主のティワリさんと親しくさせていただいています。
今回はボクのこの「ポータブルタンドールプロジェクト」のことを知って、いろいろとノウハウをいただいたりしていました。
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キッチンに入れていただいて、タンドールを見せてもらいました。

ボクも調理の仕事をしていた頃があったので強く感じるのですが、素人さんやほかの店の人間を自分の厨房に入れるのは少し抵抗があります。
が、オーナーの彼女もコックのインド人の方も快く招き入れてくれました。
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大きなものです。
高さは大人の男のへその位置を超える程度。幅奥行きは1メーター強。

だいたい業務用のタンドール釜は同じスタイルの構造なのですが、まずダンドール(壷/釜)ありき。
イメージとしてはボクの試作第1号釜、あのような壷/釜があります。
それをステンレスの枠(箱)にいれて、その隙間に砂やガラス繊維を詰め込んで隙間を埋め、それを保温、断熱材としています。
壷/釜の足下にはA4サイズほどの大きさの口が開いており、そこが空気取り入れ口になっています。
ステンの外枠と金属の枠でつないであって外から空気が入ります。
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上の口に使う大きなふたと炭の量、具合で温度の管理を行います。

大型のこのタンドール釜、炭火でのランニング(おみせによってはガス使うものもあるようです)
基本的には火を落としません。たとえお店がお休みでも、深夜でも。
種火を残して朝になるとまた炭を足して火を大きくします。
日本の古くからあるかまどと同じような使い方です。全世界でこのような火の残し方は見られるようです。

現物、現役のタンドールを目の前にして、いろいろな話をティワリさんとコックさんに伺うのは大変に勉強になりました。
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ボクの試作第1号釜については外のガワがなく、保温の機能部分では確かに弱いと思われます。
その他にもいろいろな問題や、アイディア、インスピレーションをもらうことが出来て、大変に価値のあるひとときとなりました。

今回の見学、勉強で得たアイディアを更に練り上げて、試作第1号釜の改良と第2号釜へつなげていく糧にしたいと思いました。







< 追 記 1 >
ティワリさんに「炭の違いや何かを調べるサンプルになるだろうから」と大きな炭をいただきました。
大きくて、それでいて軽い。チャコールとは違います。
研究用にさせていただきます。
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< 追 記 2 >
NOBLEさんも訪ねていった、子産石の「あっぷーがる」、ほぼ唯一といえるリゾートスタイルの海沿いに立つ本格北インド料理レストランです。
この場所での営業がいよいよ年明けの1月31日までとなりました。
移転先は材木座海岸です。
今のお店に行ったことのある人も、そうじゃない人も、最後です。足を伸ばしてみませんか?


〜〜 地図(はぴいさんの東京カレーマップより)は >> こちら 〜〜





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カレーですよスペシャル「ポータブルタンドールプロジェクト」発動



長年温めていた構想が一つあります。

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ボクはエスニックの料理を食べるのも作るのも好きなのですが、そんなときによく思っていたことあるんです。
当たり前なのですけれど、北インド料理店で食べるタンドール料理はお家で作れない。
なぜならそれは、お店備え付けのあの大きなタンドール釜が自宅にはない。
でも作ってみたいなあ、、、ってね。思っていました。
あれがないと本来の調理法で作ったタンドール料理はお家で再現するのは難しいですよね。
それはもう、彼の地のインド人家庭でも同じ状態である訳で、家庭にタンドール釜を持ち込む、設置するなど基本的にはあり得ないんですよ。
というよりはナンセンスです。
日本でレストランに一基設置するのに100万どころではなくかかるとかかからないとか、、、
とても個人で持てるようなものではありません。
それに運用面でも大変時間のかかる炭火の火起こし、なかなか温度をあげる、落とすができないため火を入れ続けなければならない等、個人運用では難しい面が多々あります。

、、、でも、やっぱり自分でタンドール釜を使ってみたい。



そんじゃあ自分で作っちゃおうかなあ、、、



なーんてね(笑)、考えてみたんです。、、、、で、やっちゃいました!


イメージ 2
今回の試作一号釜はsamuraiさん、vaderさんとの共作です。
特にvaderさんとは別プロジェクトも進んでいるため、共同で開発を進めたいと考えています。

イメージ 3
3人でボクの部屋で試作。
その日のうちに火入れの実験と焼きの実験をすませました。
これがもう、どうにもびっくりするくらいうまくいっちゃって。
実においしいタンドリーチキンが焼けたんです。

キャンプを晴れてお披露目の日として決め、このことはみんなに秘密にして、数度ランニングテストをした試作一号釜をここ「四尾連湖」でお披露目をすることにしたんです。

イメージ 4

今後の課題等も見えてきて、まずは順調な滑り出しを得ることができたタンドールプロジェクト。

最終的には、皆さんが手軽に、クルマ等でアウトドアに持って出られるポータビリティあふれる使い出のよいものを目指して進めてゆく予定です。
また、形になってきたらワークショップ等も開催してみたいとも考えております。

ちょっと楽しそうでしょう。

自分だけのタンドール釜を持つ。
そんな夢を持っている人もいたのじゃないかなあ、と思います。
一緒に形にしてみませんか?

一つ前の記事で写真を掲載したあのタンドリーチキンがこの釜で焼き上げたものです。





ポータブルタンドール釜のムーブメントを起こしてみたい。そう考えています。




< お 礼 >

今回このプロジェクトにヒント、アイディアをいただいた「株式会社ターリー屋」の代表取締役の吉川様、葉山子産石の「あっぷーがる」代表のティワリ様、ほかたくさんの皆様の言葉の端々からいろいろなインスピレーションをいただき、まずはじめの一基目を完成させることができました。

この場を借りて御礼申し上げます。
どうもありがとうございました。


< 追 記 >

みなさんにわかりやすいのではないかな、とあえて「タンドール釜」、という表現をしていますが、本来は間違えです。
「タンドール」が正解。タンドールは「釜」の意味です。
メナム川、という表現と同じですね(笑)





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