カレーですよ。

雑誌連載中:ぶんか社「エキサイティングマックス!」連載「それでもカレーは食べ物である」第90回は西荻窪「とら屋食堂」です

インドデリー出張

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約9時間ほどの空の旅。
今回はヨメさんに加えて仲良しの友人もいっしょです。
あっという間の9時間になるな。


カレーですよ。


とはいえ。

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おしゃべりもつきて、映画にも飽きて。
機内でなにが楽しみってあなた、やぱりごはんだね。

変化があるって大事です。

まずはウェルカムドリンク、ビール、いただきましょう。

ビールは頼むとなぜか2本手渡してくれました。
他のお客さんにも同じようにしています。
これがエアインディア流なのかな。なんで?もちろんありがたくいただきます。

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ナムキン(インドのスナック類総称。しょっぱ辛い)がついてくるのがインドだねえ。
成田発でもこのスナック菓子はエアインディアオリジナルの袋に入ってます。
メイドインインディア。

そうこうしてるうちにはや小一時間。
成田12時発なので、さっそくお昼ごはんです。

成田発ですから、機内食はロイヤルホールディングス(株)を始めとする国内のエアケータリングの会社が提供しているわけでして。
でもね、これがなかなか。

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きました、インド行きの初カレーはやはりエアインディア機内にて。
そういうことになると思ってました。

おなじみの「チキンオアフィッシュ?」
の質問に、あたしゃチケット取った時にベジミールス頼んだのよ、と答えると、メインディッシュだけが抜けたトレーをおいていかれて、しばらく放っておかれました。
別の担当がやってきてまた「チキンオアフィッシュ?」と聞かれるので見かねた友人が「ベジミールだってば!」と言ってくれて事なきを得ました。

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おさかなはこんな感じ。和風、じゃないなあ、中華風かなあ。
不思議な折衷料理。
そうそう、こういうどこの国っていう感じではない料理って、機内食でよく出ますよね。

そしてベジプレートはこれでした。
ジャーン、カレーです。

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いろいろ面倒なやりとりがあった割には、これ、これにチキンカレーがつくとチキンのプレートになるらしく。なんだよ、そうなの?

出てきたカレー、さすが、と言いましょうか、やるなあ、と思いました。

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サーグパニール、ですねえ、これ。
ホウレンソウとインドのカッテージチーズのカレーです。
味はそれほど特徴的ではないんですが、でもこれが飛行機の中で出てくるという事が、感激です。

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もう一種、左のカレーはアルーサブジ、のようです。
これまたうれしい。

ごはんは長粒米で、これもまたサフランライスのようです。
まっ黄色じゃなくて色が違う場所があるのが本気っぽい。

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ポテトサラダは普通においしいあれ。
デザートはどうやらキール(インドのデザート。甘いお粥)っぽい。

なるほどねえ。

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そりゃあそうだよねえ。
インドの航空会社だもんね。
いやあ、気分、盛り上がってきますねえ。

スゲーとか、そういうものではないんだけど、うれしさこみ上げる、まずは初カレー。

めでたく一食目です。







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印度冒険譚2 離陸

とっても面白いんですけどね、いろいろな人に言われるんですよ。

「で、はぴいさんはインドには何回くらい行ってるんですか?」

いや、、、いや、、、
そんな風に見えますか?(笑)
初めてなんですけど、インド。

そんな始まりでした、インドへの長い道のり。

始まりは、九段の坂の上にあった古いインド料理店。
ボクがまだ二十歳そこそこの頃だったかしら。
おいしくて、香りがよくて、不思議な味で。大好きだったんですよ。
インド料理に目覚めた、きっかけになった店です。

あの店から始まってはや20年。
あそこ食べた料理の、源流の国への旅へ出ることに、なりました。

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飛行場はいつきても、胸がときめきますよね。
たくさんの外国人、はしゃぎ回る旅行者たち。
見慣れぬ大きなスーツケースが行き交って、旅への想いが高まります。

今回はインド行き。

わくわくしないわけがない。

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例のあれ、窓枠のペイントが胸にぐっとくる、エアインディア機に乗って飛べるんですもの。
今回は行き帰りとも直行便。
手間もなんにもありません。

エアバス社のA300、、いくつだったかな。
いいですね。

トイレが階下についていて、トイレそばの人も快適です。
ボーイング社のやつはトイレが客室中央のカラムの中にあって、その脇の席の人は、人がばたばた歩いてちょっとかわいそう。

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さて、タキシングも終わって、何のアナウンスもなくエンジンの音が高まると、背中がふいにぐっとシートバックに押し付けられました。

旅の始まりです。






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たった10日間のささやかな旅だったのですが、からだがなかなか元に戻らなくて、困っています。



街には個々に、時間の流れのスピードというものがあって、街の鼓動であったり、それに律され動いているのではないかと、よくそんなことを考えています。

名古屋には名古屋スピードが、広島には広島スピードがあります。
大阪スピード、台北スピード、バンコクスピード。

リゾート地の非日常的なスピードから復帰するのは切り替えがわりと容易な気がするのですが、ことインド、ニューデリーのスピード感の異質さから戻るのに、苦労しています。

東京に戻って、電車に乗って思ったのは「他の人に追いつけない」ということ。
歩く速度も、会話も、目線の動きも、早回しのように見えて、取り残されてしまう気分でした。

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彼の地では、埃っぽい荒れた道を他のクルマを縫うようにタクシーで突っ走ったり。
からだをむき出しでクラクションの渦の中、オートリクシャーで渋滞のど真ん中に信号を無視して突っ込んでいったり。
車線をはみ出してのチキンランとかが日常です。

そんなエキサイティングなスピード感にたっぷり10日間、浸っていました。
実はそれ、時速40キロメートル以内で行われていたんです。
なのにあの興奮、狂乱。

比べて歩く人々は、穏やかで、ゆっくりで。
押し寄せるクルマ、バイク、牛、人を顔色一つ変えないで、静かに待ってやり過ごし、またゆっくり歩き去る。

その落差、いや、落差ではないかもしれません。ちゃんと融合を感じます。
それらがとても心地よくて、すっかり肌になじみました。

帰ってきた東京で、乗り物と人の歩みのスピード感に当てられて、2日ほど外出がキツかった。

インドのあのニューデリースピードとジャイプールスピード。
なんだったんだろう。

一生懸命考えました。
思い当たる記憶がある。
おもいだした、同じものを体験した記憶があるのです。

そうだ、東京だ。

矛盾しているって?
いや、ちがいます。

あなたがもう忘れていた東京。ボクも忘れていました。
でも思い出した。

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ボクが生まれて育った頃の、昭和30年代、40年代って、ああいう空気とスピードだったじゃないか。
そう、あの頃の東京スピードに、とてもよく似ています。

激しくも優しげな空気。
いまの東京にはなくなってしまった、あの空気。

だとしたら、彼の地にボクがなじまぬ訳がありません。
だって、東京下町で生まれた、東京育ちだから。

さて、旅を思い出してみましょう。
おつきあいください。







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旅の終わり。

長いようで短い10日間が終わります。

27日の21時のエアインディアに搭乗、成田に向かいます。

意義深い旅になりました。

その奔流のような情報の多さ、雑多さに飲み込まれて、まだその正体までたどり着いていない、というのが正直なところですが、インド、全く持って面白い国でした。

さてきょう一日大事に使わなければ。

タンドールショップに行って、コンノートプレイスにも仕立て上がりを取りにいかなくちゃ!
インド人家庭におじゃまするチャンスが4回ほどありました。
どこのお宅にお邪魔した時も、大変楽しいひと時をすごすことが出来ました。

素晴らしくおいしい家庭料理と、とびきりの笑顔でむかえてもらえましたよ。

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インド人の家族はなんというか、屈託がない、かわいらしいひとが多いな、というのが印象です。
家族の絆がとても強い。
みんなが明るく、テンションが高い(笑)いやほんと。
あたりまえかもしれませんがなかよしなんです。

けっこうおおきな(中学生くらい)こどもたちが親にじゃれついたり、お手伝いをしたり、とかわいらしい。
おとうさんはおとうさんらしく、いかあさんはおかあさんらしく。
あたりまえに人間らしく生きていて、うらやましいよねえ、と思います。

日本には日本のいいところがたくさんあります。
でも、こういうひととのつながりは、残念ながら薄くなってしまった気がします。

なんだかたくさん温かい気持ちにしてもらった気がします。

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たしかにオートリクシャーの交渉は大変だし、買い物も何もかも交渉で。

いちいち時間もかかって大変ですが、そこには人間らしい血が通ったやりとりがあります。

それを楽しめるよになると、またなにか、新しい旅の楽しみ方の幅が広がるのではないでしょうか。

ボクはこの旅で自分が持っていたインド観が大きく変わりました。

インドは意外や、住みやすい、いい国かもしれません。

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