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因果関係の循環

因果関係の循環
 現実とは循環によって構成されているものだが、われわれは線をみてしまう。ここにシステム思考を行ううえでの限界がある。
 たとえば、コップに水を入れるという非常に単純なシステムをかんがえてみてほしい・「そんなものはシステムではない、あまりにも単純すぎる」と思われるかもしれないが、よく考えてみてほしい。線的視点からいうと、「私はコップに水を入れている」ということになる。
 しかし実際には、コップに水を入れる際、われわれは水位の上昇を注視している。そのときの水位と目標とする「希望の水位」との「差」を監視しているのだ。水か希望の水位に近づくと、栓を調節して水流を弱め、コップが一杯になると栓を閉める。
 つまり、コップ一杯の水を入れるときは、希望の水位、現在のコップの水位、この二つの差、栓の閉め具合、水流という五つの変数を伴う「水位規制」システムにおいて操作を行っているのだ。これらの変数は「フィードバック・プロセス」と呼ばれる因果関係の循環または輪を構成している。このプロセスは、水位を希望の水位に近づけるため、継続的に運営される。
【中略】
 概念的には単純だが、、フィードバックの輪は、われわれの心に深く刻みこまれたさまざまな考えをくつがえす。その一つに因果関係がある。日ごろ、われわれは「私はコップに水を入れている」といい、その言葉の真の意味を深く考えることはない。じつはこれは、「私が水位を上昇させている」、さらに厳密にいえば「蛇口の栓に置かれた私の手がコップに流れ込む水量をコントロールしている」という一方的な因果関係を意味している。いうまでもなく、このようないい方はフィードバック・プロセスの半分、つまり「栓の閉め具合」から「水流」へ、「水流」から「水位」への部分しか表現していない。
 しかし、同じプロセスの残りの「半分」だけを表現した場合、それもまた真実といえよう。つまり「コップのなかの水位が私の手をコントロールしている」ということだ。

『The Fifth Discipline –The Art & Practice of The Learning Organization』
By Peter M. Senge

『最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か―』ピーター・M・センゲ
P98


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