新山梨の日々

くたばるまでは生き抜こう

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「決して容易ではないが、じっくりと時間を取ってプーチン氏と胸襟を開いて話し合い、平和条約交渉をできるだけ進展させたい」

 22日、モスクワでプーチン大統領と25回目の首脳会談を行う安倍首相。日本を発つ前、北方領土問題の解決に向けた意気込みを問われた際、記者団にこう語っていたが、交渉は「容易ではない」どころか、始まる前から「すでに勝負あった」というのが常識的な見方だろう。

 歯舞群島と色丹島の日本引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速させる――。昨年11月にシンガポールで行われた安倍、プーチンの両首脳会談以降、日本の大新聞・テレビは大騒ぎ。歯舞、色丹があすにでも先行返還されるかのごとく報じられ、国後島、択捉島での日ロ共同経済活動などを意味する「2島返還+α」といった話も浮上。ところが、今月14日に河野外相と初の実務会談を終えたラブロフ外相は、そんな日本側の楽観論や思惑を一瞬で叩き潰したと言っていい。

「(交渉妥結のための)第一歩は南クリール列島に対するロシアの主権を含めて第2次世界大戦の結果を認めること」「これを認めない限り、領土交渉の進展は期待できないということを河野外相に数回にわたって強調した」「日本側が『北方領土』という呼称を使うこともロシアは受け入れることはできない」

 いやはや、安倍官邸や外務省は交渉の出はなをくじかれたどころじゃない。横っ面を張り飛ばされたような衝撃を受けただろう。ラブロフの発言は、「ソ連は日ソ中立条約に違反して対日参戦し、日本がポツダム宣言を受諾した後に北方領土を不法占拠した」と主張する日本政府の姿勢と真っ向から対立するからだ。

■交渉決裂が当然なのに平和条約にこだわる安倍首相のトンチンカン

 ロシアの主張は、北方4島は「国連憲章の旧敵国条項で認められた戦勝国の権利で得た」というものだ。百歩譲って仮にそうであれば、そもそも日ロ間に領土問題は存在せず、首脳会談を持つ必要もない。そうではなく、日ロ双方ともに4島の帰属をめぐる領土問題を抱えている、と認識しているからこそ、70年以上にわたって協議を積み重ねてきたのではないのか。

 歴史的経緯を無視し、積み重ねてきた過去の日ロ協議の内容すら「ご破算」にしかねないラブロフの発言は言語道断だし、それがプーチンの本音だとすれば、日ロ間の交渉スタンスは「隔たり」じゃ済まない。もはや協議の余地なし――も同然の状況で、日本が交渉決裂を申し入れても不思議じゃない。それなのに無理難題をロシアに突き付けられても、なお、「平和条約交渉を進展させたい」なんてヘラヘラしているのが安倍だ。

 しかも、共同通信によると、安倍は4島の返還は〈現実的とは言えない〉と言い出し、日本政府は〈北方4島のうち色丹島と歯舞群島の引き渡しをロシアとの間で確約できれば、日ロ平和条約を締結する方向で検討に入った。2島引き渡しを事実上の決着と位置付ける案だ〉というからムチャクチャだ。筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。 

「安倍首相は交渉前から『容易ではない』なんて言っていました。少なくとも『説得する』というのが当たり前で、早々と敗北宣言したようなもの。ロシアは『(北方領土の)主権を含めて第2次世界大戦の結果を認めろ』と言っているのです。これは北方領土の侵略を法的に認めろ、と迫っているに等しく、日ロ首脳会談は今からでもキャンセルするのが筋ですよ。おそらく、ロシアは領土について議論する考えはなく、念頭にあるのは平和条約締結だけ。そして、日本から経済協力を引き出したい。日本にとっては最悪のシナリオが待ち受けているのです」


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もう終わりにしろ(C)日刊ゲンダイ

カネを取られ、国益を損なう条件を突き付けられる「売国奴外交」

 安倍政権が2島決着に傾き始めた背景には、日本側が4島返還に執着すれば日ロ交渉が暗礁に乗り上げ、2島返還さえもままならない――との見方があるからだ。しかし、日本政府のスタンスは1993年に当時の細川首相とエリツィン大統領が署名した「4島の帰属問題を解決して平和条約を締結」とする「東京宣言」の立場のはずだ。

 日本政府が2島決着に舵を切るのであれば、従前の北方領土問題に対する政府方針の大きな転換に他ならない。そうであれば、安倍は国会できちんと説明するのは当然で、与野党の枠組みを超えた合意形成が欠かせないのは言うまでもない。

 一内閣が国会閉会中に「非現実的」といった理由で勝手に従前の政府方針を変えるのも異常だし、「2島引き渡しは返還ではなく、主権も渡さない」と主張しているロシアと「条約を結ぶ」なんて話も論外だ。大体、日本政府は「明確に日本の立場を主張した」(河野外相)と言うばかりで、いまだに日ロ交渉の詳しい中身は国民には一切明かしていない。あらためて、そんな「謎だらけ」の怪しい交渉をなぜ、今、急ぐ必要があるのか。一体何のため、誰のためなのかサッパリ分からない。

 そんな中でシャカリキになっているのが安倍だ。今年を「戦後外交の総決算の年」と力んでいる安倍は6月に大阪で開かれる「G20」(20カ国・地域首脳会合)で、来日するプーチンと平和条約締結について大筋合意する青写真を描いている。つまり、日ロ交渉に前のめりになっている理由は国益のためじゃない。何が何でも自分のレガシー(政治的遺産)をつくりたいという安倍個人のメンツのためなのだ。


■パフォーマンスや猿芝居は海千山千のプーチンには通用しない

 プーチンはそんな安倍の狙いをとっくに見透かしている。だから交渉のハードルをどんどん引き上げ、日本側からロシアにとって都合のいい条件や譲歩を引き出す戦略を仕掛けているのだ。

 クリミア併合のように、ロシアは自国の権益を守るためには国際社会の反発を招く強引な手法すらいとわない。そんなシタタカな強国を相手にしながら、安倍は「首脳会談を重ね、(プーチンとは)ファーストネームで呼び合う仲」なんて個人的な関係を強調し、威張っているからオメデタイ。繰り返すが、海千山千のプーチンにはヘタなパフォーマンスや猿芝居は通用しないのだ。

 中国や韓国メディアが日ロ交渉の行方について「順風満帆とはいかない」(中国網)、「日本は皮算用をして強烈なパンチを食らった」(中央日報)と冷ややかにみている通り、このままだと安倍はプーチンの手のひらの上で踊らされるだけ。2島返還どころか、ロシア側に都合のいいように経済協力、援助を約束させられ、巨額のカネを負担してオシマイという最悪の状況になりかねない。結局、自称「外交のアベ」は「やっている感」を振りまいて事態を悪化させているだけ。これぞ「亡国首相」の姿であり、28日に召集される通常国会で野党は対ロ外交の姿勢を徹底的に糾弾するべきだ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。

「今回の北方領土交渉は過去の政権や自民党の姿勢とも異なり、安倍政権が独自に打ち出したもの。仮に領土返還なき平和条約締結などという状況になれば、交渉加速どころか後退は明々白々。もはやロシアにこれ以上の経済援助をする必要はなく、安倍政権がこれまでにロシアにいくらのカネをつぎ込んだのかについても野党は国会で厳しく問いただすべきでしょう」

 大新聞・テレビはこれまで「アベ外交」を散々、持ち上げてきた。野党が弱いだけの勘違い長期政権なのに「安倍政権だから北方領土問題は進展した」なんてシタリ顔で解説しているテレビ番組もあったが、フタを開ければこのザマだ。「アベ外交」の正体は、相手国にカネをむしり取られ、国益を損なう条件を突き付けられても黙って従う「売国奴外交」。放っておいたら間違いなく国が滅びる。


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転載元転載元: ニュース、からみ隊

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