野仲イサオ 煮石記

ミンミンと 鳴く蝉の声 夢心地

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大阪の夜

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え〜大阪公演無事終わりました。二週間のブランクがありましたが、そんなことを微塵も感じさせないテンポの良さ。

また大阪のお客さんは元気いっぱいなものですから、大きな笑い声があっちからこっちから。それに押されて役者陣も、おおいに気をよくし、自由気ままに楽しんでおったようであります。

いやあ、良かった良かった。お客様にも楽しんでいただけ、我々もいい気分。そして此処は大阪、食い倒れの街ときてるんですからな。私なんぞ芝居のはねる前から、よだれが垂れてしかたがない。

まあ、いろいろいただきましたが、極めつけはなんといってもT君につれていってもらった河豚屋さん。

「え?河豚?(ゴクッ)そりゃあうまいだろうけど・・・・高いからな〜」

「いやあ、その店は凄いんです。堪能させますから!後悔させませんから!本当です!」ってことでね、R君と三人でタクシー飛ばしてミナミへ。

「うわ〜〜!ネオンが眩しいなあ!普通の日なのにお祭り騒ぎみたいだ!」

「さ〜こちらです」と、アーケードから狭い路地へ。

昭和の音楽が流れる、明治の牛鍋屋風な二階の座敷に通されました。ひろ〜い16畳はあろう部屋に4人組の老紳士方がすでに鍋に舌鼓をうっておられる。

みなさん「わしらは、河豚なんてもうしょっちゅう食うとるけんね」といった余裕の態であります。

それに引き換え私なんぞは「最後に食ったのは何年前だったかな〜?もう味もなんも忘れちゃったよ〜〜」と目が血走っておる。

そしてやってまいりました“てっさ”が!さあ〜!三人で競争の始まりだ!

しかし、ちゃ〜〜んと一人前づつお皿に分けられている。これだと大皿をめぐって醜い争いなんてことにはなりません。「よかった〜〜じっくり食べられる〜〜」

そして、その“てっさ”の分厚くてコリコリしていること「うまい!うまいね〜」噛めば噛むほど味が出る。普通3,4枚まとめて食べるのに、ここのは一枚で3枚分。

「でしょう?そしてこれが凄いんです!」とひれ酒。

私はね、まあ日本酒があんまり好きではないんでね、『ひれ酒か〜。まあ、日本酒にちょこっと河豚の香りがついてんだろう』ってえことで一口含みます。

と、「こ、これは!」それは、もう酒ではありませんでした。濃厚な河豚のスープ!そのうまさに飲むのを止められず、ゴクゴクググッと干しますれば、後から心地よい酔いがヨ〜イヤサ〜〜とやってくる寸法なんであります。

飲み干してまた注ぎますれば、今度はさきほどとは違った繊細な味に変化しております。そしてその変化も5回は楽しめるってんです。

それにしましても、このひれ酒は只者ではないと思いましたら、そりゃあもう下ごしらえに気の遠くなるような段階を経てやってまいりました、人が聞いたらひれ伏すほどの“ひれ”だったのであります。なるほど飲んで、うまさに気が遠くなった訳であります。

さあて、その後は、から揚げに鍋に、白子の雑炊。もうこれでもかってえくらい河豚を堪能しまして「いや〜〜満足、満足〜〜こっちから御釣りをあげたいくらいだ」まさしくT君の台詞にウソ偽りはありませんでした。

ご主人の話によりますと、河豚ってえのは、おいしいものほど悪そうな顔をしているそうでしてな、次の日の本番中、K君やJ君の顔がうまそうに見えたのは言うまでもありません。

写真は大阪の夜ではなくて・・・横浜の夜。大阪の夜は酔っ払って写真をとるどころでは

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