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大部分の開業医の先生は、奥様は「手伝わせる」「手伝わせない」「銀行手続きなどの表面には出ない部分で手伝わせる」のいずれかなのではないでしょうか。
開業当初、夫は「表面には出ない部分で手伝わせる」と考えていたようです。
しかし、開業に当たっての打ち合わせをするのに、実際勤務医をしながらなんて大変なんです。
中には、建築関係や、医業メーカーの中の開業プロジェクトチームがあって、そちらに主導権を握ってもらう方法もありますが、何しろお金がかかります。
我が家のように貧乏開業にはできませんでした。
そうしているうち、業者の方から私が聞いて主人に伝え、主人が言っていたことを業者に伝える、ということをせざるを得なくなっていました。
開業してからも主人は「診療に専念したい。」「一緒に働くスタッフとは良好な関係で働きたい」と言っていました。私も家にいて、ほとんど医院に出かけることなんてありませんでした。
しかし、女の集団とは難しいものです。集まれば、悪口も出るし派閥もできるのです。そうなると院長である主人に言わず、私に連絡してくるようになりました。
特に当院の場合は、無資格のスタッフ(看護助手や調理の補助やリハビリの補助など)には手を焼きました。
もともと看護師とも折り合いがよくはなかったのですが、数的に看護師より無資格者のパートが多くなってしまった時期があり、後で入ってきた看護師をいじめるいじめる。
「あの人はこんなこともできず、うちの医院には向いていません」
「仕事ができないから、私たち迷惑しています」なんて言ってくるようになり、無資格のスタッフが人事権持ってしまいました。あの頃、うまくフォローしてあげれずにやめてしまった方々には本当に申し訳なく思っています。
私は主人に「なんとかしてくださいな」とSOSを何度もだしました。でも、なかなか重い腰をあげませんでした。「今、いるスタッフがいなくなったら困る」「診療をしていく上で、スムーズにいかなくなる」と。
そのうち、スタッフが在庫をたくさん抱える注文を繰り返したり、無断で衛生品や備品を持ち帰っていたり次々と発覚。こうなってくると、私が顔を出して「チェックしてますよ」というアピールをしないと大変なことになりそうでした。少なくても、後で入ったスタッフが、先に入っているスタッフが言うように能力的に劣っているのかを判断することも必要ということもあり、主人も見かねて「君も顔を出せ」と。
私が顔を出すようになってからは、今度は私を敵対視。もともと個性が強い者同士が急速に団結するためには、共通の敵(仲間はずれ)を作るのが手っ取り早いんだと。だから、後で入ってきた人を次々とやっつけてやめさせたんだと。からくりがわかりました。今度はそれが後で入ったスタッフではなく、私に来たわけです。
この時期は本当にしんどかったです。こんな自分の医院の事って誰にも言えませんから。今みたいにブログなんかもありませんでしたし。主人に言っていいものかも悩みました。「あなたが院長なんですから、しっかりしてくださいよ」とどれほど言いたかったでしょう。そうしているうちに夫婦間で喧嘩が絶えなくなりました。
最終的にはスタッフ総入れ替えとなりました。スタッフ不足で一時的に休診するのも覚悟しました。私も必死にスタッフの一人になって手伝いました。受付とか、医療事務(習ってて良かった)とか。そして休診することなく乗り切ることができました。
不思議と私たちの経営方針に理解してくれるスタッフが次々みつかりました。
そんな事があったので、今は私は「手伝う妻」になっています。でも、あくまでスタッフを信頼し、スタッフを優先にした手伝い方をしなければならないと肝に命じていますが、なかなかむずかしいです。
今では、主人も経営者として自覚を持って過ごしてくれています。「あの時はスタッフがだれもいなくなって、僕と君とで診療をやっていくしかないと覚悟した。」と言っています。
今は怒涛の日々がうそのように、良いスタッフに恵まれて感謝です。
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