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角田光代(38) 作家 〜書き続けるために、書かない生活を守る〜 平成4年以来「ゆうべの神様」、「ピンクバス」、「もう一つの扉」が芥川賞候補、 「空中庭園」が直木賞候補に挙がりながら落選。 今年、「対岸の彼女」でついに直木賞を受賞した。 「いつも候補になる度に“受賞したら東京会館へ”と言われていたんですけど、 ずっと落選していたので“本当に東京会館ってあるんだろうか?”と思っていた」 と受賞後の会見。 小学1年のときに既に作家になると決めていた。 「もしさっかになれたら、かなしい本よりもたのしい本をかきたい」と。 東京杉並区の荻窪に住む彼女は仕事場として自宅近くにマンションを借りている。 毎朝7:30に家を出て夕方5時まで執筆。 夜と土日は一切仕事をしないと決めている。 角田は言う。 「自分の小説は日常の小さな心の動きをテーマにしている。 だから家で炊事や洗濯をする時間が仕事に侵食されると 日常の大切さがわからなくなってしまうのだ」 「小説はいろいろな読み方ができて、それは自由なんだけど、 一番つまらない読み方は作者と結びつけて読む読み方だと思う」 「もしその小説が面白かったと評価するのであれば、その評価すべきは 書いた人間の想像力であって、決してプライベートではない」 おっとりとしたしゃべり方とは裏腹に、 さすがに作家らしくしっかりとした言葉が印象的だった。 一人旅が趣味らしく、 仕事や恋愛で行き詰ると世界中を歩き回っているという。 番組のために彼女はエッセイを書いたんだけど、 それを最後に引用させて頂きます。 旅先三日目 旅に出る。見知らぬ町に着く。 幾度も迷いながらあるきまわり、だいたい三日目に、 自分が、まるごとその町に溶けこんでしまったような錯覚を抱く。 体が急に軽くなる。 仕事も名前も年齢も、私はなんにも、持ち得ない、 持っていたとしてもここではまったくの無用だと気づく。 それはちっともさみしいことではなくて、むしろすがすがしい気分である。 旅から帰ってくると、つい、何か持っているような気になってしまう。 仕事、家、友、約束、銀行口座、名前、年齢。 実際私たちはそうしたものを背負って日々よろよろと暮らしていて、 ひとつでも失うとなんとはなしに不安になる。 けれど実際のところ、本当には、私はなんにも持っていないんじゃないか。 持っている気になっているものすべては、思いこみとか、 一時的に預かっている何かなんじゃないか。 そのことを忘れそうになると、私はいつも、あわてて旅に出る。 旅先三日目のあの空っぽな気分を思い出すために。 |

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