「ゴモラ」☆☆☆
2008年。イタリア映画。
ヨーロッパで話題になり、カンヌ映画祭でもグランプリを受賞したというイタリア映画「ゴモラ」を観た。
ナポリ周辺に実際に存在するというカモッラという犯罪組織を描く、実録に近い犯罪映画と聞いていた。
先入観として、ブラジル映画の「シティ・オブ・ゴッド」のようなハードバイオレンスかと思っていたが、作品の印象は違った。
ある巨大な団地を舞台にしていて、その中で行なわれる犯罪やカモッラに関係する人物たちの群像が描かれる作品であった。
基本的には、五つのエピソードが語られていく。
①カモッラに憧れる少年
②カモッラの中で金の運び屋をしている男
③カモッラを嫌って、独自の犯罪を繰り返す二人の少年
④カモッラの庇護下にある仕立て屋で働く職人の男
⑤カモッラの違法な仕事を手伝い始めた青年
これらがあざなえる縄のごとく、代わる代わる語られていくのである。
ストーリーテリングは写実的で、親切な説明的描写など一切ない。
盛り上がりそうな場面でも、むしろ淡々と登場人物の行動を追うだけである。
だから、映画の前半は全体像がつかめないまま、ただ漫然と物語の進行を見るしかない。
正直に言うと、それがやや長くて冗長に思えたことは事実である。
しかし、後半になると一つ一つのエピソードが大きなうねりとなって、カモッラという大組織の強さ、不気味さを見せ始める。
非常にリアルな質感の映画で、決して緩急のあるエンタテインメント作品でない。
しかし、観終わって「尋常ならざる映画を観ちゃったなー」という充実感には浸れる作品である。
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