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沖縄尚学V!東浜が晴らした恩師の無念
9年ぶりの優勝を決め、喜びを爆発させる沖縄尚学ナイン。右から3人目は完封の東浜=甲子園【デイリースポーツ】
「センバツ決勝、沖縄尚学9-0聖望学園」(4日)
沖縄尚学(沖縄)が聖望学園(埼玉)を9-0で下し、9年ぶり2回目の春制覇を成し遂げた。左ひざの痛みを押して先発した東浜巨投手(3年)は6安打6三振の完封勝利。打線も伊古聖外野手(3年)のランニングホームランなどで大量9点を挙げて、歓喜をたぐり寄せた。99年春に同校エースとして優勝した比嘉公也監督(26)は、監督としても頂点に立った。
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大歓声に包まれて大きく両手を広げた。声にならない叫びを上げた。次の瞬間、比嘉監督が見守るベンチに体を向けた。「やっと並びました」-。東浜は心の中でそうつぶやいた。9年前に全国制覇した恩師に、並び立つ歓喜のV。ずっと追い掛けてきた夢を、自らの右腕でたぐり寄せた背番号「1」だ。
万全には程遠かった。準々決勝・天理戦で打球を受けた左ひざはまだ腫れが残る。痛み止めをのみ、患部はテーピングで固定した。「多少痛みはあった」。だがアルプスを埋めた大応援団、かき鳴らされた沖縄独特の指笛のリズムが力をくれた。仲間も序盤で6点の援護、好守でもり立ててくれたから届いた、98年春の松坂大輔(横浜・現レッドソックス)以来となる決勝戦完封だ。
ビデオを何度も見て、あこがれてきた比嘉監督に恩返しがしたかった。決め球のカットボール習得、すり足気味の投球フォーム、毎朝晩にアミノ酸を摂取する体調管理法もすべて監督の助言だ。常に「気持ちで投げろ」と言われてきた精神面の大切さも、この聖地で実感させられた。
何より手負いの状態で自身初の3連投になるにもかかわらず、決勝戦の先発を任された期待に応えたかった。9年前の比嘉監督は2回戦でねん挫した右足首の状態を憂慮され、決勝戦登板を逃した。その悔しさ、辛さを身をもって知るからこそ、託されたマウンドだ。数日前には監督に代わって当時先発した照屋正悟さん(26)にも「お前が最後を締めろ」と激励された。「監督を見て、ちょっと泣きそうになりました」。背負った監督の「無念」も晴らした。
小学5年の体育の授業で右手首など3カ所を骨折して約1年間、東浜は野球ができなかった時期がある。その間もあきらめなかった夢の甲子園で最高の栄誉を手にした。「比嘉先生には『最後の夏を勝ったチームが強い』と言われてます。また帰ってきたい」。沖縄勢がまだ立ったことのない夏の頂点へ。恩師との「歩み」はまだまだ終わらない。
[デイリースポーツ]
[ スポーツナビ 2008年4月5日 10:55 ]
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