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SPAS12のこと


外観編


イメージ 1
上がK.T.W製で下が東京マルイ製。

 SPAS12というのはイタリアのフランキ社が作った軍、警察向けのコンバットショットガンです。対テロ用ですね。SPASというのはSpecial Purpose Automatic Shottogunの略です。直訳すれば「特殊目的用自動散弾銃」ですね。

 このSPAS12のエアガンは2回設計しました。最初は1989年にK.T.w
で。2度目は1997年に東京マルイででした。K.T.Wの時に実銃に取材
してそれを採寸したデータで設計したのですが、東京マルイの時もそ
のデータを基に設計しました。ですからこの両社の製品は双子のよう
にそっくりです。まあ、実銃に近づけれはそうなるのは当然ですが。

 ただ少し違っているところもあります。それをこれから解説しまし
ょう。

 全般的に言えばK.T.W製の方がより実銃に近くて正確です。東京マ
ルイ製は3シリンダー3バレルという、それまでになかったメカニズ
ムを内包させたので、どうしても実銃通りの寸法にはできなかった。
 金属製なら薄くできたんですが、ABS樹脂で3本束ねたシリンダー
やレシーバーを作るとどうしてもデブってしまう。無理をして薄くす
ると強度が低くなってしまいますからね
それで東京マルイのレシーバーは実銃より少し大きくなっている。
の設計では2.4㎜デブでしたが製品を実測すると2.7㎜厚くなってます。

 またバレルも少し太い。これは東京マルイの外径8.5㎜のバレルを
ねると、どうしてアウターバレルの内径が20㎜は必要になる。
20㎜でもアウターバレル内を飛んでいくBB弾とのクリアランスは1.5
㎜程度です。精密に作れるカスタムならともかく、製造誤差大きな
量産品ではこのくらいのクリアランスは必要です。それでアウターバ
レルを内径20㎜、外径22ミリにしました。まあ、その方が太ったレ
ーバーとのバランスも取れますしね。
 それによってバレル下のマガジンチューブも太くなりました。これ
もバランスを取るためです。当然その基部も太くなる。そしてその後
ろのバレルジャケットも厚くなり、フォアエンド(先台)の幅も少し
広がります。レシーバーが厚くなってるからグリップの幅も広がって
います。

 でも東京マルイ製の方が正確な部分もあるんですよ。K.T.Wはバレ
ルジャケット、フォアエンド、グリップを実銃から型取りしました。
ですから形は実銃と全く同じです。ですがその型に流す素材の収縮に
よって実際よりほんの少し小さくなってます。

 K.T.Wが使った素材は一般に「レジン」と呼ばれる無発泡ウレタン
です。この素材は結構収縮率が大きく2〜3%くらいある。普通の樹
脂より1、2桁くらい違いますね。それでK.T.W製SPAS12のフォアエ
ンドやグリップは形は正確ですが寸法が少し小さい。東京マルイの
は金型で作ってますから、実銃通りの寸法になってます。

 以下は、写真を見てください。キャプションで解説していきます。

イメージ 2
左がK.T.W製で右が東京マルイ製。マルイの方がバレルも、先端のネジを保護するバレルキャップも太いことが分かるでしょ。寸法的にはK.T.Wの方が正確です。でもバレルの太さはちょっと違う。実銃は先端部の細くなっているところで20.5㎜ほどです。12ゲージのバレル内径は18㎜くらいでショットガンはスムーズボアでライフルより腔圧が低いですからバレルの肉厚は薄いんです。K.T.Wは外径20㎜の既成の真鍮パイプを使ったので、実銃より少し細いです。

イメージ 3
バレルが太くなったのでそれとバランスするためにマガジンチューブも太くなり、当然その基部も太く大きくなりました。ここもK.T.Wの方が正確です。

イメージ 4
フォアエンド(先台)は下の東京マルイの方が寸法的には正確です。K.T.Wの方は素材の収縮で小さくなっているので。でもマルイの方は少し角張過ぎですね。ABS樹脂の肉厚を多く取れなかったので、大きなRがつけられなかったんです。

イメージ 5
レシーバーは寸法、形状共に上のK.T.W製が正確です。このレシーバーもレジン製ですが、収縮率を見込んで少し大きめに私が原型を作りました。

イメージ 6
グリップは下の東京マルイ製が正確。上のK.T.W製は厚さで1㎜、上下の高さで2.5㎜ほど小さくなってます。

イメージ 7
リアサイトスクリューの大きさも東京マルイの方が正確ですね。でもこれはK.T.Wの方はリアサイトで左右調整できるようにしたので仕方なく小さくしてるんですよ。

イメージ 8
ショットシェルキャリアもRの曲面は下の東京マルイの方が正確ですね。でも先端の形がおかしい。私こんな図面描いたかな? K.T.Wの方は私が原型を作ったと思うんですが、少し角張過ぎでしたね。それとメインセーフテイレバーは東京マルイは出っ張り過ぎです。私の設計より全体で7㎜くらいはみ出ている。出っ張った方が操作しやすいと東京マルイが判断したんでしょうね。
 
イメージ 9
最後に。これK.T.WのSPAS12のパーツ展開図です。これも私が描いたもので下の大きなのが原図です。よくもまあこんな面倒な物を描いたものだと我ながら感心します。当時はまだCADもイラレも無い時代でしたから、全部手書きでした。私もまだ30代半ばで元気があったんですね。今じゃとてもそんな気力はありません。


メカニズム編

可変パターン

 ヤフオクで落札した東京マルイのSPAS12を可変パターンにカスタムして出品しました。前にも言ったと思うけど、壊れてジャンクでヤフオクに出てる自分の作品を落札して、それを直してもう一度出品するってのをやってます。自分の作品は子供みたいなものだから、壊れていたらちゃんと直して、もう一度ファンに楽しんでもらいたいと思う。それで「野村再生工場」みたいなことをしてるんです。
 それもできるだけ安く出品したいから落札時の価格以下で出してます。落札送料と直したり、チューンしたりの材料費、手間賃はサービスです。だからあまり儲からないどころか大赤字なんですが、ファンに楽しんでもらうのが目的だからそれでいい。

 可変パターンのアイデアは私が考えたのではなく、東京マルイが昔から持っていたものです。それをSPAS12を設計したときに盛り込もうとしたんですが、省略されてしまった。それでオークションに出した物につけたんです。マルイのエアショットガンは3発同時発射なんですが、その3発の広がり(パターン)を自由に調整できるというものです。その仕組みを説明しましょう。

 基本は簡単です。3本のバレルを捻ることによって角度をつける。そうすればBB弾は斜めに飛んでいきますからパターンが広がっていく。これは捻らなくてもテーパー状に角度をつけても同じことです。でも捻るのが一番単純で簡単だからその構造になりました。
 左右どちらにも回せます。回す角度が同じなら左右どちらでもパターンの広がりは同じです。機能的にはどちらか一方だけでいいんですが、右利きの人は右手でグリップを握って左手で回すので右回転のほうが回しやすいし、左利きの人はその逆で左回転のほうが回しやすい。それで両方に回せるようにしました。

 具体的には以下に写真で説明しましょう。

可変パターンの構造です。

アジャストスリーブはインナーバレルカラーとかみ合っています。

アジャストスリーブを回して、このようにインナーバレルを捻ります。

捻る角度は最大で76度。左右に各38度です。

インナーバレルを捻ることで、BB弾の弾道を斜めにしてパターンを広げます。

アジャストスリーブはマズルキャップ(マルイのパーツ名はマズル)に固定されていて、マズルキャップを回すことでパターンを調整できます。

無段階調整なので、捻りが緩まないように、バレルカラーの後ろにOリングがはめてあります。まあ、なくても大丈夫ですが念のために。

10mの距離で試したパターンです。最小(ノーマルのバレルが平行な状態)で10㎝程度の広がりです。最大にすると30㎝くらいになります。

【K.T.W. SPAS12-Sメカニズム】


K.T.W.のSPAS12には4種類のバリエーションがありました。今回はその3作目のショーティモデルのメカニズムを説明します。


 このショーティモデルはアウターバレルを3インチ(75㎜)短くして、4発同時発射の散弾方式にした物です。その仕組みはコッキングでノズルが後退すると、その前にゾロゾロっと4発のBB弾が給弾されるという物です。



こんな感じ

 でも最初の設計は違っていました。回転式のチャンバーに下から上がってくるBB弾を収めて、それを回転させて水平にするという物で、「ロータリーチャンバー」とも言える物です。初めは弾の数も3発でした。

 これが誰のアイデアだったのか覚えていないんです。六人部さんだったのか、K.T.W.の和智社長だったのか、それとも私だったのか。この方式は後にマルシンのモスバーグにも使われましたし、六人部さんはガスブローバックで「ロータリーバルブ」を発案しているので六人部さんのアイデアっぽいです。でも私が描いたアイデアスケッチが何枚も残っているので、このアイデアを具体化したのは私で間違いないでしょう。このロータリーチャンバー方式を止めたのは、メカが複雑になって作りにくいしコストも増えるからです。





 ただ4発ってのはやはり無理がありますね。0.2g弾を使うとして全部で0.8gになります。それが押し合いながらバレル内を進んでいくわけですから抵抗も大きくなりますし、加速に時間が掛かるからBB弾とバレルの隙間からのエアロスも増えます。それでかなり効率が悪くなる。

 今回この12-Sをヤフオクに出品したんですが、4発の散弾ではほとんどまともには飛ばないので、1発だけの単弾(単射)モードも追加したカスタムにしました。それと可変HOPも付けました。これでぎりぎり4発散弾でも使える物になったかなって感じです。

単弾モードではBB弾ストッパーが働いて、1発だけ給弾されるようになります

HOP UPメカです。オーソドックスなホローセット(イモネジ)で圧迫するタイプですが、直接ではなくクッションラバーを介しています

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