紹介文
下町の小さなレストラン、ビストロ・パ・マルでは相変わらず、変わり者の三舟シェフが素敵に美味しい料理の数々で客たちの舌を喜ばせ、相変わらずの名推理で客たちの持ち込む謎を解いてみせます。今回の目玉は、フランス時代の三舟シェフのエピソードが二つ。しかもひとつは、『タルト・タタンの夢』を読まれたあなたもきっと作ってごらんになったでしょう、あのヴァン・ショーにまつわる物語なのです。あなたの〈パ・マル〉へようこそ!
感想
著者4冊目の読本になります。
グルメミステリー「タルト・タタンの夢」の続編となる今作、まさかこんなに早く再び三舟シェフに会えるとは思っていなかったのでうれしくなりました。
前作同様にビストロ・パ・マルで働く4人を中心に身近に起きた不思議な出来事やお客さんの悩みなどを三舟シェフが解決していく7つの連作短編集です。
少しずつ感想を・・・。
○「錆びないスキレット」
油の油膜をはって錆びないはずのスキレットがなぜ錆びてしまったのか、そして首にハンカチで包まった煮干をつけ、家出をした猫たちとの関係は。
今作の中では一番三舟シェフの推理が光る作品だった気がします、でも内容はというとちょっと哀しい物語です。冒頭で三舟シェフが猫がかわいくてついエサを与えてしまったという話は前作にはない三舟シェフの姿が垣間見えます。
○「憂さばらしのピストゥ」
三舟シェフの修行していたお店の後輩が独立、自身のビストロをオープンする招待状が届く。ある日そのビストロのあるビルのオーナーの娘がパ・マルに来店しある事実が判明する。
三舟シェフの後輩である南野、登場シーンは少ないがかなり性格に難がありそうな感じで今後もなにかと三舟シェフに絡んできそうな雰囲気です。
前作からずっと三舟シェフはパ・マルのオーナーだと思っていたのですが雇われシェフだという事実に少々驚きました。
○「ブーランジュリーのメロンパン」
「憂さばらしのピストゥ」でその存在が明らかになったちょっと変わり者のオーナーが登場。新しくオープンするカフェを併設したパン屋をオープンすることとなり、そのカフェで出す軽食メニューの手伝いを三舟シェフに依頼する。
ある日オーナーの店がオープンする前に近所の昔ながらのパン屋が閉店することになるがそれと同時に新店の女性店員が姿を消してしまう。
期待をさせるような前置きで登場するオーナーだがそれほど目立った印象はありませんでした、次回の登場に期待したいところです。確かに最近はオシャレなパン屋さんが目に付きますが昔ながらの菓子パンが恋しくなるお話です。
○「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」
パ・マルに来店しいつもブイヤベースを注文する女性『マドモワゼル・ブイヤベース』。三舟シェフは志村さんとの会話の中で彼女が気にあるという話をしているの耳にした金子さんは三舟シェフの恋と思いこみ応援しようとする。
ある日『マドモワゼル・ブイヤベース』が男性と共に来店、いつもどおりブイヤベースを注文したがその後彼女たちはとあるお願いをしてくる。
自分の中で三舟シェフはけっこう歳のいった渋い男性というイメージが定着しつつあったのだが、作中にあるとおり30代の独身男性だったことを忘れていました。
まさか三舟シェフがお客の女性に恋をするなんて!?と始めは驚きましたが確かに年齢を考えてみればおかしな話でもない気がします。
それよりもラストで三舟シェフの動揺するというまたもイメージの変わるシーンが印象的でした。
○「氷姫」
片思いの女性とやっと交際することのできた圭一だったが、ある朝置手紙を残して最愛の女性はいなくなってしまう。
失意のどん底である圭一はそれでも恩師との会食のため、パ・マルに来店するが酒を飲み続け泥酔し、気づいたときには恩師の姿も無く1人店に残されていた。
圭一の話しを聞いた三舟シェフはすぐに彼女が出て行くこととなった理由を言い当てるが残された圭一としてはやはり未練の残る内容であると思う。
それでも彼女の幸せを願う圭一は素敵な男性です。
○「天空の泉」
ここからは舞台がフランスに変わり、三舟シェフがまだ修行中であった過去に遡ります。
フランス、コルド・シュル・シエルという街のあるレストランで偶然一緒になった三舟シェフと女性写真家の江畑はそのまま一緒に食事をすることとなる。
江畑は食事をしながら三舟に恋人との話をし始めるが三舟はその話の真実を見抜き江畑の本当の気持ちを後押しする。
内容はともかく今回の作品の中で一番美味しそうだと思ったのがこの物語の中に出てくる「トリュフオムレツ」。どんな味なのか、シンプルな料理ほど美味しいものに出会ったときは驚くものなのでぜひ食べてみたいです。
おそらくパ・マル時代よりもかなり若い時代の三舟シェフだとは思うのですがすでに落ち着いた物腰で鋭い洞察力も身に付けている。ただ、もう少し若いという部分を見せて欲しい気もします。
○「ヴァン・ショーをあなたに」
こちらもフランス修行時代の三舟シェフのお話。
フランス・ストラスブールで安宿のドミトリーに滞在していた青年:貞晴はある日三舟と出会う。二人はストラスブールのマルシェ・ド・ノエル(クリスマス・マーケット)で絶品と言われるミリアムおばあちゃんのヴァン・ショーを飲みに行くがそれは赤ワインではなく白ワインで造られたものだった。
どうやらミリアムおばあちゃんはある事がきっかけで傷ついてしまい赤ワインのヴァン・ショーを造らなくなってしまったということを聞く。
その「ある事」についての話を聞いた三舟はおばあちゃんに推理を披露することとなる。
前作「タルト・タタンの夢」で数回登場した三舟シェフお手製のヴァン・ショーのルーツとなるお話なのだろう。今回はこの物語の中だけで登場するヴァン・ショー、美味しそうなのですがやはり暑い夏にはちょっと辛い気がします。
今回は正直なところミステリとしての要素があまり感じず、美味しいそうな料理の登場を期待していたもののこちらもちょっと肩透かしをくらった感じでした。
ただ今作の三舟シェフは前作同様、無口でちょっと怖そうなイメージは変わらぬものの、修行時代の若かりし頃や女性の思わぬ発言に動揺するところなど親近感が沸くような印象がありました。
まだまだ謎の多そうな三舟シェフや志村さんと奥さんの話題、オーナーもなんだか怪しげな雰囲気で他にも逸話を持っていそうな感じなのでその辺は続編に期待したいところです。
※この作品の装丁で描かれている三舟シェフはイメージどおりで好きです。次回作ではぜひ三舟シェフの本当の恋愛話を書いてもらいたいところです。
オススメ度:★★★☆☆
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この本と「タルトタタン」、今図書館に予約中です。
三舟シェフってどんなひとなのか。
読むのが楽しみです〜♪
2008/7/18(金) 午前 11:03
>ラブリさん
三舟シェフは・・・、読んでからのお楽しみということで^^
美味しいそうな料理もたくさん出てくるのでじっくりと堪能してください^^
2008/7/18(金) 午後 11:23
三舟さんの恋にはにやりでしたね〜。ラストの動揺してる姿が新鮮でした(笑)。あとはやっぱりパ・マルのヴァン・ショーに纏わるラストの一作が読めたことは嬉しかったですね。私もお酒を飛ばしたミリアムおばあちゃんのヴァン・ショーが飲みたいです!TBさせて頂きますね。
2008/7/19(土) 午前 0:50
>べるさん
前作では三舟さんは無口でどんなことにも動じないような印象があったんですが今作ではいろんな意味で素が見れた気がします。
三舟シェフのヴァン・ショーに関する話はまだなにかありそうな気がするので続編に期待したいですね。TBありがとうございます。
2008/7/20(日) 午前 0:00
確かに三舟シェフ、ちょっと落ち着きすぎですね(笑)表紙の絵からも50代の渋〜い男性を想像してました^^;ミステリ要素は置いといて、今回もお腹がグゥの作品だらけ。でも庶民派の私は菓子パンに引き付けられました(笑)TBさせてくださいね。
2008/7/29(火) 午後 11:56
>紅子さん
三舟シェフの年齢にすっかり騙されてしまった気がしました^^;
自分も最近良く目にするおしゃれなパンよりは昔ながらの菓子パンがいいですね^^TBありがとうございます。
2008/7/31(木) 午後 10:32
やっと登場してきたオーナー。今後、引っかき回してくれることを期待してます☆
美味しい料理(…食べたことないもモノの連続ですが、きっと美味に違いない!)と日常の謎をこれだけ上手に絡めてるのが凄いなぁ…。
2008/9/24(水) 午後 10:39
>ユカさん
新しい登場人物も出てきて今後シリーズとしてまだまだ続きそうですよね^^
美味しい料理もまだまだたくさん出てきて欲しいところ、若かりし頃の三舟シェフもいいけどやっぱり現在の姿を多く書いてほしいと思います。
2008/9/26(金) 午後 9:44
ちょうどいい季節に読みましたよ〜〜。おかげで三舟シェフのヴァン・ショーを頂きたくてたまらなくなりましたが^^;三舟さんのキャラもだんだん掘り下げられてきて、ますます好感度アップです。ぜひ続編も書いてほしいですね。TBさせてください^^
2008/9/26(金) 午後 11:13
>nikoさん
前作でも頻繁に登場したヴァン・ショーのルーツがわかったのはよかったですね^^
これから徐々に寒くなっていく季節に温かいヴァン・ショーはぴったり、パ・マルのようなお店が近所にあれば喜んで常連になるところです^^
2008/9/27(土) 午前 11:48
今頃読んで…はやとんさんをみつけてやってきましたが…
お休み中でしたか(;^_^A
でも、TBさせてくださいね(ノ∀ ̄〃)ヘヘヘ
あ…できないみたいです><
2011/10/15(土) 午後 9:02
できました^^
2011/10/21(金) 午後 10:46