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紹介文

世界中の人間には、それぞれに一日だけ、すべての願いが叶う日がある。それが、サービスデー。神様が与えてくれた、特別な一日。本来は教えてもらえないその日を、思いがけず知ることになったら。直木賞作家の幸運を呼ぶ小説。

感想

朱川さん2冊めの読本になります。非常に気になるタイトルですが前回読んだ「いっぺんさん」同様に現実ばなれした不思議な出来事題材にした作品で怖さや不快感はなくどれもハッピーエンドといっていい終わり方をする5つの短編が収録されています。

少しずつですが感想を。

○「本日、サービスデー」
二人の子供と妻、片道二時間半かかる郊外のマイホーム、髪の毛が寂しくなってきた43歳、うだつの上がらない中年サラリーマンの鶴ヶ崎雄一郎。会社のある地下鉄駅の出口脇にあるソバ屋で朝メシを食い今日もありふれた一日が始まると思いながら会社に着くと後輩でありながら上司である部長から「早期退職」を無言で勧められてしまう。
そんな雄一郎が家に帰り一人でコレクションの古い洋画を見ているとそこに見知らぬ女が登場、今日は雄一郎のサービスデーだと告げてくる。
神様が人間すべてに平等に与える1日だけの「サービスデー」。どんな願いも思うがままに叶い、サービスデーの成功を元に成功したものも数多く存在する。通常であれば絶対にその人物が知ることなく訪れる「サービスデー」なのだが悪魔のイタズラにより知ってしまった雄一郎は自分の犯した恐ろしい出来事に遭遇することとなる。

非常にベタな内容なのだがここまでベタだと逆にありだと思ってしまいます。
黒のビッチ系ファッショに身を包んだ女性悪魔や役所の人間のような地味なスーツ姿にメガネをかけ名刺まで持っている二級天使、そんな二人に翻弄されつつどんな願いも叶えられる最高の1日「サービスデー」を送ることになる主人公の雄一郎。展開もお約束としかいいようがないぐらいベタでラストも「よかった、よかった」といった感じで収まるところに収まります。

○「東京しあわせクラブ」
作家である男は銀座にある文壇バーに勤める女性:飛鳥からとある持ち物を貸してほしいと頼まれる。それはあるスーパーで勤める女性が仕事帰りに殺害された事件でその男性が最後の客として女性の打つレジで買い物をし受け取ったレシートであった。飛鳥はそのレシートをある会に持って行きたいので譲ってほしいということであった。男はレシートを貸すかわりに自分もその会合に参加させてほしいと頼み込みその不思議な集まりに参加することとなる。

事件や事故に関連する品々を持ち合わせてメンバー同士で品評するという悪趣味な会合なのだがこれのどこが「東京しあわせクラブ」なのかと思いながら読んでいると終盤で「なるほど」と思わせる説明があります。ただラストの展開はちょっと怖く、今作の中では唯一の黒い(黒っぽい)お話でした。

○「あおぞら怪談」
居酒屋で名前もわからぬ男が語り始めた過去の怪談話。大学時代にアルバイト先で知り合った年上の友人:日下部さん。古いが広く家賃の安いアパートで暮らしていた日下部さんはその部屋で手首だけの幽霊『るり子』と生活をしていた。幽霊といっても害はなく逆に日下部が不在のときに料理や掃除をしてくれるよくできた女性(?)の幽霊であった。しかしオカルトマニアの同級生からそんな生活が続けば日下部はとり殺される可能性があると聞いた男は暢気な日下部を助けるつもりで『るり子』を成仏させようと画策するが失敗してしまう。ついには同級生でTVでも活躍する霊能者に除霊を依頼することとなる。

今作の中で一番好きな作品です。手首だけの幽霊と暮らす日下部はあまり物事を深く考えないような性格でどこかのんびりしている、一生懸命日下部を心配する男に対しても「今のままでいいのに」とどこか他人事のような雰囲気で男が一人で空回りしている感じがします。
しかも『るり子』を日下部から引き離すために成仏させようとして失敗、そのときの『るり子』が書いた一言「おんどりゃあ」には笑わせてもらいました。
最後に姿を現す『るり子』、そしてその姿を見た日下部の一言で見事に落としてくれています。

○「気合入門」
小学1年生の少年はいつも自分を見下しオマメ扱いする3つ上の兄を見返すべく秘密兵器を持ってザリガニ沼へ出かける。兄のもつ12匹の記録を破り自分を見直させるつもりが偶然かかったマッカチン(アメリカザリガニ)の出現によってマッカチンとの勝負と目的が変わっていくこととなる。

この作品からさらに短い物語(30ページ弱)になっていきます。獰猛なアメリカザリガニと長時間勝負をし続けた少年は最後の最後にザリガニから気合というものを見せ付けられることとなる。そしてザリガニの見せた気合は少年の人生に多大な影響を及ぼすことになるのだが、ザリガニによって切り開かれた未来というのもちょっとどうかと思ってしまいます。

○「蒼い岸辺にて」
息苦しさから開放された早織が目を開けると目の前には大きな河があった。一見したところ海にも見えるその大きな河に見とれていると見知らぬ男が話しかけてきた。
男の話しから自分が自殺に成功し死んだことを知った早織であったが男はそんな早織にこれから早織自身が経験したであろう未来の可能性を見せ始める。

自殺して死んだ女性と三途の川(?)の渡し守、二人の会話によって展開する物語。この渡し守、非常に口が悪いのだが自殺した早織を責めているようで実は早織にもう一度やり直してみろというメッセージを遠回しに伝えようとしている。
渡し守の話は「未来には無限の可能性がある」といういい教訓になります。


これといって真新しい感じのする作品はなくサラリと読めてしまうものばかりでしたが爽やかな終わり方をする作品が多く、良い気分転換になりました。

※2冊読んで作風は好きだと核心を持てたのでぜひとも直木賞受賞作の「花まんま」とタイトルの気になる「都市伝説セピア」は読みたいと思います。

マンゾク度:★★★☆☆

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閉じる コメント(6)

これは広告は見たのですが、まだ未読です。
何となくノスタルジーの香りがする(昭和の匂い?)がする所が、心惹かれて朱川さんの作品は手にとってしまいます。
「いっぺんさん」も良かったのですが、「花まんま」が良いですね(^^)

2009/3/10(火) 午後 11:50 ハチクロちゃん

>ハチクロさん
今作でノスタルジーな香りというと「気合入門」だけだったような気がします。
「花まんま」やっぱり良いのですね、ぜひ近日中に読みたいと思います^^

2009/3/11(水) 午前 1:02 hayaton

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朱川さん「花まんま」しか読んだことないのですが、とても良かったので、これも読んでみたくなりました。
図書館に予約してみます。

2009/3/11(水) 午後 8:59 hiy*puy

>ひよぷーさん
やっぱり「花まんま」は読まないといかんですね^^
どこで見ても高評価なので今から読むのが楽しみです。

2009/3/13(金) 午後 10:05 hayaton

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こんにちは。
図書館で借りてみました。「花まんま」とはイメージが違いましたが、それでもおもしろかったです。
トラバさせてください。

2009/3/26(木) 午後 4:31 hiy*puy

>ひよぷーさん
「花まんま」はイメージが違うんですね、気になります。
自分としては朱川さんは2作目、まだまだ作家さんのイメージが掴めていません^^;TBありがとうございます。

2009/4/4(土) 午前 9:47 hayaton

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