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東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。-あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎあい、壊れた日々の亀裂へと追いつめられてゆく。

感想

いきなり連番がすっとんでますがご容赦ください(笑)、本当に久しぶりの感想になります(こんなんばかりですいません)。
自分の中で角田さんといえば「八日目の蝉」、というよりも今作で3冊目の読本なので判断材料にならないかも知れません(苦笑)。
今作はとにかく怖いの一言、登場人物たちは全て幼い子供を持つ母親で男性の登場人物は全てオマケといった感じなのだが同じ年頃の子を持つ親としては色々と考えさせられるものがありました。
ネタバレがあるので未読の方はご注意を・・・。


登場してくる5つの家族はどれも自分から見れば「対岸の」といった感じであまり身近にはいないタイプの人々なのだが実際にこういった「お受験」に熱心な親御さんたちが集まる幼稚園が存在するのだろうと思うと自分は随分とのんびりした親だなと感じてしまう。

作中では母親たちが「子供のために」という大義名分の下に最低限の干渉をしているような思いが綴られているのだが自分から見れば子供の許容範囲を超えた詰め込みをしてしまっている、ただこの「子供のために」という部分に関しては自分は何もしていないことが強く感じられある意味焦燥感を煽られてしまった。

作中の母親たちは子供に対して何もしないことに焦り、周りを気にし始め子供に無理を強要し家庭の日常を壊してしまう。小学校の入学が近くなるにつれおかしくなってしまう、まるで蟻地獄にはまり込んだようにもがけばもがくほど願望とは違う方向に進む親子の姿は痛々しくその後の展開を読むのが怖くなるのだが先を読まずに本を閉じることができないという引きの強い展開にはさすがの一言でした。

このままではラストはそれぞれの家族がどうなってしまうのかとハラハラしながら読み進めていたが最終的には「収まるところに収まった」といったところ。ただし安心しながらも少しアッサリ過ぎるような気もしました。

子育てという点だけでなく人付き合いや上流思考などの問題も多く取り入れられていてどれをとっても極端な印象を受けるが「ありそう」という気がしてくる。
作中に登場する「小学校受験をさせる親」を題材にした本を書くために登場人物たちを取材するライターが登場するのだが角田さんご本人もこの作品を書くにあたり登場人物たちのような母親たちを取材したのだろうか、気になるところです。

※登場してくるある母親が初めの頃はいくつかの習い事を「子供がやりたいことだけをやらせている」という言葉があるのだがいつの間にやら「親がやらせる」という状況に変化していく、自分も今は子供がやりたいことだけをやらせているのだがそのうち無理にやらせるという状況になっていくのだろうか、後味が悪いというわけではないのだが不安の残る読了感となってしまいました。

マンゾク度:★★★★☆

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このことは誰も知らない。五月末日の木曜日、午後四時のことである。大阪が全停止した。長く閉ざされた扉を開ける“鍵”となったのは、東京から来た会計検査院の三人の調査官と、大阪の商店街に生まれ育った二人の少年少女だった-。前代未聞、驚天動地のエンターテインメント、始動。

感想

待ちに待った万城目さんの最新作。どうやらホルモーシリーズではなく単体の作品のようなんのだが新しい万城目ワールドが見れるという点で楽しみにしていました。

三権分立の枠外に位置し独立した機関である会計検査院、その第六局に所属する凸凹トリオ。副長である松平は部下である二人の調査官、鳥居と旭・ゲーンズブールと共に府庁の会計検査をすべく大阪へと向かう。
関連施設や学校などの検査を行い日程をこなした3人であったが唯一当日不在のため検査のできなかった社団法人OJOだけが残ってしまった。
父の墓参りのため週末一人大阪の地に残った松平はようやく連絡の取れた社団法人OJO代表の真田幸一と会うべく出張延長の申請をしたがその面会は驚くべき内容を伴うものであった。
大阪に生まれ育った男性、その数200万人は滅亡した豊臣家の子孫を守るために秘密の組織を発足させる。組織は徳川家の滅亡と共にその名を「大阪国」と改め時の政府と条約を結んだ。大阪の地下に国会議事堂の内部と全く同じつくりの大阪国議事堂を設け、国からの補助金を元に豊臣家の血脈「王女」を守るためのシステムを作り続けていた。
あまりに非現実的でありまた事が大きいために松平は再度鳥居とゲーンズブールを呼び寄せ大阪国と対峙しようと試みるが鳥居のおかしな行動により大阪国の守る「王女」が拘束されてしまう。大阪国総理大臣である真田幸一は事態を重く捉え松平に対し「宣言」をし国民に対し王女の危機を知らせる合図を発動する。
すべての機能を停止した大阪、府庁前に集結した200万人の前に立つ松平は大阪国と対決することとなる。

自分であらすじを書いていてもわけがわからなくなってしまいます。とにかく長い、そのわりにあまり内容に起伏がなく淡々と進む物語でした。
面白くないということはないのだが自分が万城目作品に期待する「んなアホな!」という点であり、今作の設定はさすが万城目さんというべき内容なのだがしゃべる鹿や不思議な小鬼のような人外のものが登場はせず、かなりの壮大な歴史を感じさせる「大阪国」ではあるのだがそこは人がなせる業であり少し物足りない気がします。

特に自分の場合今作での重要なキーとなる徳川による豊臣家殲滅の為の戦や江戸末期、後の明治天皇が取った行動などの歴史的な部分に疎く、また大阪には仕事などで何度か足を運んだことはあるものの舞台として登場する大阪城は未だ生で見たことがなく、国会議事堂と同じ作りとされる大阪国議事堂の内部に関しても小学校の社会科見学で1度だけ見た記憶があるといった程度なので今ひとつイメージが沸いてこなかった。

終盤に起こる大阪の機能全停止、その状態を引き起こす原因となる2つのストーリーを交互に展開していく形で会計検査院の3人の調査官、検査に際しては一切の妥協を許さず厳然と対処をする「鬼の松平」こと松平元はいつも眉間に皺を寄せ毅然とした雰囲気を感じさせるが1日5個は食べるという大のアイスクリーム好き、ちょっと小太りで背の低い鳥居は優秀な調査官ではないが(どちらかというと頼りない)ふとした拍子に隠された事実を見つけるという「ミラクル鳥居」の異名を持つ、フランス人と日本人のハーフであるゲーンズブール・旭はヒールを履くと180cm以上の長身で容姿は外国人なのだが話すと流暢な日本語で能力は高く仕事をした各省庁では「プリンセス」と呼ばれている。見た目凸凹な3人、それぞれがいい味を出しているのだがその中でも仕事に対して厳しい態度で臨む松平がアイスを頬張る姿と先輩でありながら何一つ勝っていない鳥居が旭に対してライバル心を見せる態度が面白い。
対してもう1つのストーリーである空堀中学校の面々は少々物足りない。性同一障害に悩み遂に一念発起してセーラー服を着て学校に登校する真田大輔、大輔の幼馴染で活発な女の子橋場茶子、大輔を苛める蜂須賀組組長の息子蜂須賀勝といったところが主要なキャラなのだがまず大きな点としては性同一障害に悩み大輔なのだがなぜその要素が必要なのかがわからない。重要な場面で似合わないセーラー服を着て登場する大輔の姿は面白いというよりも違和感を覚えるだけであった。更にセーラー服を着る大輔を目の敵にする蜂須賀勝なのだがある意味、大阪機能停止の立役者であるに関わらずあまりにも扱いが小さく、もう少し存在感を示してほしいところであった。

なにより物語の中心とも言える豊臣家の末裔にして大阪国200万人の男がその身を案じる王女の存在が弱い。王女自身が自分が豊臣の末裔であることを知らず大阪国の人々ですらその王女が誰であるかを知るのはほんの一握りとなっている。個人的には王女が自分自身の立場を知りそれを承知で活躍するという展開が欲しかった。

初めに書いた感想に戻るが面白くないわけではないのだがあまりにきれいにまとめすぎているといった感じのする作品でそこはそこ、ある意味万城目さんだからこそ生まれた発想と思えるのだがもう少し荒唐無稽というシチュエーションがあってもいいのではと思ってしまうのと同時にこれだけのボリュームなのでどの要素ももう少し突っ込んだ展開を見せて欲しかったと思える作品でした。

※松平が大阪に住んでいた幼い頃に見た光景は幻や夢ではなく現実だったという点はいいのだがそうなると鳥居が車窓から見た富士山の麓に多数立っている大きな十字架の話が気になってしまいます。

マンゾク度:★★★☆☆

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父は虎になった-。そんなこと、簡単に信じられるものではない。ぼくだってそうだった。しかし、父に会った、という人物からもらった手紙には、父がその場で詠ったという一篇の漢詩が書かれていた。その詩には、虎になった人間にしかわかりえない、悲痛な心の叫びがこめられていた。父の血をひくぼくも、いつかそうなってしまうのだろうか。それはちょっと勘弁してほしい。父がどうして虎になったのかを知りたい。それが波瀾万丈にして、不思議な旅の始まりだった…。言葉の魔術師・柳広司が放つ中島敦『山月記』に想を得た、奇想天外な変身譚。

感想

『山月記』は読んだことがなく虎になった男の話という漠然とした内容なら知っているが果たしてそんな自分が今作を読んで楽しめるのかちょっと心配でした。

父は二十歳にして超難関の官吏登用試験「科挙」に合格し、以前から好意を寄せていた女性と結婚。順風満帆の人生を歩むはずであったがぼくが生まれてすぐに官職を辞し生まれ故郷の村に帰ってきてしまった。
働かずに過ごす父であったが着るもの食うものに困り地方官吏の職に就いたものの1年後に仕事で旅に出たまま行方不明となってしまった。
その後、父ともっとも親しかった友人が南嶺の地で虎となった父と出会い妻と息子の生活を助けて欲しいと頼まれたと告げ生活を援助してもらうこととなった。
14歳になったぼくは大きな体を持ち、村で起きた喧嘩で無意識のうちに相手をなぎ倒してしまう。村人からは「虎の子は虎」と指摘されたぼくはいつか自分も虎になってしまうのかもしれないと心配になり、父がなぜ虎になったのかを調べるために1人旅に出ることとなる。


個人的にあまり相性のよろしくない「ミステリーYA!」レーベルなのだが(過去に読んだ作品でこいつは面白いと思ったのは「オチケン!」のみ)前回読んだ「ジョーカー・ゲーム」が非常に面白かった柳さんだけに期待をしていました。
ちなみに「山月記」を読んだことのない自分ですがそこは特に問題なく普通に読める作品でした。

今作では虎になった父を持つ少年が父が虎になった理由を知るために父の旧友を訪ね、そして面会することができないと知るとその人物が虎となった父とあったとされる南方の村に向かう旅をするというもの。少年といっても14歳で大人といってもいいような体格を持つため周りの人々から「少年」とは思われずにいるのだが作中で主人公が自分のことを「ぼく」という言い方が14歳という年齢よりも幼い印象を受けてしまう。

時代設定は昔・・・すいません、中国史というものは学生時代に世界史の授業で触れたぐらいでその後は関連する本なども苦手で読んでいないためどんな時代なのかはいまいち理解できていません。
李白という詩人の名前などは授業で習った記憶があるものの時の皇帝の名前は全く記憶に残っていませんでした。
どんな状況なのか把握しておかなければいけないの1点のみで、それはよく聞く話で長きに渡る戦によってお上によって村の若い男たちが戦場にかり出されるということ。
村には若い働き手がいなくなり女性と老人と子供ばかりが残され貧困に喘ぐこととなっている。
その点だけを踏まえて読めば主人公の父が虎になった理由という話の流れも違和感なく読めるのではないだろうか。

父=虎という点については病に関する内容が出てきた時は「まさか、これがオチなのか?」と心配になってしまったがそれは前振りに過ぎず、その後納得のいく説明があり「なるほど」と思わせる話であった。ただ最後の漢詩の部分は普通に読んで「そうなんだ」と普通に納得してしまい、「やられた」であったり「驚いた」といった感情の盛り上がりはなかった。この点についても話がつまらないのではなく漢詩自体詳しくないためにただ文章を追いかけ流れ作業のような読み方をしてしまったため感想も「そうなんだ」で終わってしまいました。

主人公の最後の浮かれっぷりを読んでいると「おまえさんはそれでいいんかい?」と言いたくなりますが最後の最後には若干ファンタジー的な要素も含まれていて面白い終わり方になっています。実際主人公の父はどこに行ってしまったのか、明け方発見された少女と一緒にいた虎はなんだったのかが気になってしまう。

あとがきを読むと今作はおそらく「山月記」を愛読してきた柳さんが作ったスピンオフ作品という位置づけになるのだろうか、短い作品らしいので後日「山月記」を読んでみたいと思います。

※今作に限ってはなんとなく講談社の「ミステリーランド」レーベルのような作風でした。やはりいまひとつ乗り切れない「ミステリーYA!」なのだが理論社のHPで今後刊行予定の作家陣を見ると好きな作家さんがずらりと並んでいます。その中でもやっぱり「オチケン!」の続編は気になるなぁ。

マンゾク度:★★☆☆☆

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大阪の私立晴峰女子高校では、理事長の酒井が学校法人を私物化していた。美術講師の熊谷と音楽教諭の菜穂子は、酒井に不正の証拠をつきつけ、理事長退任と教員の身分保障を求める計画に同僚から誘われる。交渉は成功したかに見えたが、その後酒井と愛人が失踪。ふたりの行方を追った熊谷と菜穂子は、交渉を隠れ蓑にした理事長の財産強奪計画に巻き込まれていく-。悪党たちが駆け回るノンストップ騙しあい小説。

感想

久々の黒川さん、関西を舞台にした大金を巡る騙し合いとくれば黒川さんの十八番でありある程度間違いはないとは思うものの著者の「厄病神」シリーズを初めとするこの手の話もよっぽど新鮮味がないときびしいかもしれないという気もします。

友人と創めたデザイン事務所が失敗に終わり仕事を探していた熊谷は私立晴峰女子高校で常勤講師として勤め口を見つけたがなかなか正教員になれずもがいていた。
そんな中、府の教育委員会からの天下り人事により熊谷が同じ学校法人の通信制高校へ左遷されるという噂を耳にする。
熊谷は同じく正教員を目指す体育科の小山田に誘われ音楽科の正教員でありながらいつ解雇にされてもおかしくない境遇の正木と共に学校法人晴峰学園の理事長である酒井の背任・横領などの証拠を武器に自分たちの教師としての職を保障させる計画を実行に移し渋々ながら酒井から「書付」を取ることを成功した熊谷と正木であったがその後二人を先に帰らせた小山田のとった態度に違和感を覚えた二人は小山田を操り酒井を拉致した黒幕の存在を知り酒井を拉致した本当の目的、隠し財産である金塊の強奪計画を知ることとなる。

主人公の熊谷は事業に失敗し一千万の負債を抱え、常勤講師の少ない給料の中から少しずつ返済に充てているという地味な印象、しかもその職を失いたくないために同僚の計画した理事長拉致計画に参加し当初の目的は達せられたものの今度は同じく同僚の女性教師正木に頼られその後の事件に首を突っ込むことになるという自主的な行動のない主人公らしからぬ人物。しかも臆病な性格で巨額の金塊の存在を知った上でもその金塊を奪うという考えにはいたらずどちらかというと好意を持っている正木の頼みを断れぬままズルズルと事件に引き込まれてしまっている印象を受ける。

全体を見ても主要な登場人物は少なく学校法人晴峰学園の理事長で学校という立場を利用して利権を貪る酒井の持つ隠し財産を狙う人々、終始行動を共にする熊谷と正木、過去に酒井に利用された箕輪、箕輪と共に仕事をしている中尾、酒井の愛人で在り裏で他の人間ともつながっているホステスの朱美、晴峰女子高の体育科講師であり箕輪の指示により熊谷たちに理事長拉致計画を持ちかけた小山田といったところ。奪われる側の酒井は別にして構図としては箕輪グループと熊谷・正木コンビの金塊の奪い合いといったところなのだが熊谷たちは理事長拉致事件の真の目的がわからぬまま終盤まで行動をしていることからいまいち緊張感のない流れになっている。

実際、金塊が物語の舞台に登場するまでの流れは理屈がよくわからず、なぜ4千万近い現金を振り込むことによって金塊を管理している会社から2億3千万もの現物を引き出せたのかもう少しそのあたりのシステムを説明してほしいところでした。

キーマンとなるのはホステスの朱美と女性教師の正木という2人の女性キャラで長年北新地で勤めてきたホステスの朱美が男を手玉にとり金塊を自分の物にしようとするのはわからないでもないが彼女が最終的に頼った人物はさておき次から次へと相棒を乗り換える彼女がなぜそこまでその人物を信用したのか、自分の分け前をきっちり貰えると信用しているあたりが府に落ちない。
正木も随所で熊谷の好意に気づいていて彼を利用している感がするのだが違和感を覚えただけの理事長拉致事件に自ら進んで関わろうとする彼女の姿はただの好奇心といってしまうには行き過ぎているような気がして最後にはなにかしらのどんでん返しを期待していたのだがそれまで邪険にしていた熊谷と急に相思相愛となり、しかも控えめな(とはいえ大金であることには変わりないが)要求によってことを収めようとするあたりは納得しづらい。

ここからは本格的な愚痴になるのですが読み終えて感じた一番大きな疑問は根本的な部分、なぜ箕輪は拉致事件という違法性のある行動を取るにあたって自分自身ではなく晴峰学園の関係者小山田を使ったのか、しかも同僚である2人の教師まで巻き込む計画に異を唱えずに外部から見守っている。最終的に箕輪自身が酒井の前に姿を現し、晴峰学園における不正の証拠を突き付けていることから初めから中尾と2人で十分に行える行為だったような気がしてならない。

物語自体は「めでたし、めでたし」といった風を装って終わっているが自分としては酒井の行っていた不正は結局どうなるのか?箕輪たちは報復するのではないか?熊谷と正木のその後は?といった尻切れトンボな印象だけ残り、金塊を手にしたところで実際の持ち主でない彼らはどうやってそれを換金するのか?という大きな疑問まで持ってしまう。
全般を通して騙し、騙される展開を見せてはいるものの最後は駆け足で纏め上げたといった印象で余韻という言うよりも納得のいかない部分が多数ありすぎる気もします。
作中の登場人物たちの会話は関西弁、スピード感のある展開という点では黒川作品らしいと感じるのだが過去の作品と比べて新しいと感じられる部分はなく登場人物たちの騙し合いもワンパターンといったところ、痛快というよりも不自然さを感じる部分が強い作品でした。

※「厄病神」シリーズに見られる桑原と二宮のようなキャラがなく、箕輪や中尾、朱美にしても騙すという行為がどこか中途半端な感じがして物足りない、正木あたりがもう少しあくどいキャラであれば面白かったかもしれません。

マンゾク度:★★☆☆☆

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小さなまちで、男の目を引く「いいからだ」を持て余しつつ大人になった地味な性格のアカリ。色目を使われたり「むんむんちゃん」などのあだ名をつけられたりしない静かな生活を送りたくて、大きなまちに引っ越し、美容関係の仕事を見つけた。しかし、新しくできた屈託のない親友、奇妙な客、奇妙な彼氏との交流が、アカリの心の殻を壊していく-。読む者の心をからめ取る、あやうくて繊細でどこか気になる女のひとの物語。

感想

前作「あれれ?」といった感じでちょっと微妙だった朝倉さんの最新作です。表紙では何故かビキニを着た女性がトナカイが引くソリに乗っているというなんとも言えず不思議なものとなっています。


大工である父、気立ての良い母、なにかにつけ厳しいことを言う祖母そんな家庭に生まれたアカリは12歳の時に母を病で亡くし、母に似たアカリは13歳のときにすでにピンナップガールさながらの「いいからだ」となっていた。
祖母に厳しく育てられたアカリは地味、まじめ、おとなしい、几帳面、奥手なのだが「いいからだ」だけは隠しようがなくそれを持て余すようになる。
20歳になったアカリは父と祖母に頼み込み一人暮らしの許可を得るとともに実家のある小さなまちを出て大きなまちで暮らすようにある。
23歳になったアカリはヘアサロンの受付係として働き、同じ年のエステシャン、さくらという友人を得て平凡な日常を送っていたがある日偶然であった飛沢郁夫との出会いから数奇な人生を送ることとなる。

再び「あれれ?」といった感じのする作品。前半部分では話の先行きが見えずダラダラとした展開で後半部分では妙に痛々しい展開となっている。

なにより落ち着かないのが主人公であるアカリがまったくイメージできない。地味でまじめで目立たなそうな性格なのだが幼い頃から大人顔負けの「いいからだ」でありそれを持て余している。初めは「容姿が優れていてもある程度自己主張の強い性格がなければ生かせないものなのかな」などと思いながら地味なアカリの物語を追いかけていたのだが後半は変わらず地味なのだがどこかで壊れてしまったという印象を受けます。
メインとなるのはアカリの「いいからだ」でありそことアカリの性格に関しては作中何度も触れているものの登場人物をイメージするために必要な「顔」に関する記述がほとんど見られない、唯一アカリの顔に関して触れているのは祖母が「いいからだ」を持つアカリに対して顔つきを注意する場面のみで具体的な目、鼻、口については何も語られていない。

アカリを取り巻く登場人物たちは全員クセが強く、特にアカリと同棲生活を送ることになる飛沢郁夫には何一つ魅力を感じることがなく受けるのは嫌悪感のみ。なぜアカリがこの男に引かれこの男のために自分の人生を投げ打ってまで世話をしようとしたのか、全くその気持ちがわからぬまま読み終えてしまった。

終盤にかけては年とともに「いいからだ」を失い、そして幼い頃にも発症したことのある発作が再発したアカリなのだがこのあたりからはもう自分の理解の範疇は超えてしまいました。この発作の内容も『?』ならばアカリが最後に3つの選択肢から選んだものも『?』といったところ。
最終的に得たアカリの人物像は小さい頃に母を亡くし精神的におかしくなってしまったのだがその部分の発露を自分自身の力で押さえ込んでいたのだが飛沢郁夫の出現によりその状態に狂いが生じ始めたというもの。前作では女性ではないとちょっと作品に共感できないという感想をもったのだが今作では「できればアカリには共感したくない」というのが本音です。

※「田村はまだか」を読んで以来追いかけている朝倉さんだが内容によってはちょっと好みではない作品もあるようなので今後は作品内容を吟味して読もうと思います。

マンゾク度:★☆☆☆☆

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