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001:月
蒼白き月の光に魅せられて 腰にまわした指にちからが
002:輪
知恵の輪を解くことよりも難しい 迷路のような恋の駆け引き
003:さよなら
さよならと云えずうつむく長い影 お日様だけが先に別れを
004:木曜
木曜の朝は早起きあの車両 名前も知らぬ素敵な人が
005:音
騒音も花火の音もみつめあうふたつの影を避けて吹きゆく
006:脱ぐ
あなたには厚き鎧を脱ぎ捨てたこころと身体 抱いて欲しいと
007:ふと
何気なくふと見上げれば流れ星 君に逢いたい終わらぬうちに
008:足りる
メリハリの足りない日々はもう嫌だ 迎えにゆくよ君のふるさと
009:休み
休みには膝の枕で耳掃除 息子と妻が席の取り合い
010:浮く
汗が浮く西日のあたる狭い部屋 それでも此処はふたりのお城
011:イオン
マイナスのイオン舞い降る滝見上げ 愛していると君の耳元
012:突破
若き日の恋は正面突破のみ 君のこころに直球勝負
013:愛
遠回り許してあげるこれも愛 試してごらん君のちからを
014:段ボ−ル
何年も開かぬままの段ボール 懐かしむにはまだ早過ぎて
015:葉
葉の裏をのんびり進むかたつむり 飽きることなくただひたすらに
016:紅
髪を梳き 薄い寝化粧 紅を差し 準備万端 今日は土曜日
017:雲
雲もなく夏の太陽焼ける肌 10キロの道今日は歩いて
018:泣く
泣く時は見られぬように席を立ち ひとりトイレで声を殺して
019:蒟蒻
あつあつの玉蒟蒻にからし塗り しばし休憩あつ〜〜い山寺
020:害
宗教の害悪だけを垂れ流す聖地よ消えろ この大地から
021:窓
窓越しのうるむ瞳が動き出す 二度と逢えない予感をのせて
022:素
今日こそは素面で云うよ愛してる結婚しよう勇気を出して
023:詩
乱世の姦雄詠みし詩ひとつ 天を動かす流れをつくり
024:きらきら
どこじゃどこきらきらきらはどこにおる 殿の仇の吉良はいずこに
025:匿う
敗走を助け匿うひとさえも斬り殺すほど疑心暗鬼は
026:妻
数多いる名探偵も舌を巻く 空恐ろしい妻の嗅覚
027:忘れる
あのひとを忘れるなんて無理でした 諦めろよと言い聞かせても
028:三回
三回の入院手術 甲斐もなく 苦しい思いさせてごめんね
029:森
薄暗く誰も通らぬ森の中 墓標を先に立てておこうか
030:表
誰にでも表の顔と裏の顔 化粧の下の涙を抱いて
031:猫
柔肌の起伏をなぞる猫じゃらし 濡れる吐息に揺れる指先
032:星
軍神の統べる火星に魅せられて赤い絨毯世界に拡げ
033:中ぐらい
太すぎず中ぐらいのが好きなのと 上目遣いに頬張る君を
034:誘惑
誘惑に負けてお泊まり今日もまた いっそこのまま此処を住処に
035:駅
泣かないと思うそばからこみ上げる想いを残し駅は遠くに
036:遺伝
僕たちは何億年も生き抜いた遺伝子達のただの乗り物??
惹かれあう遺伝子達に操られ 新たな命 生み出す我ら
037:とんかつ
なぞなぞの答えはどっち謎のまま 「とんかつくってうまかった」では
038:明日
明日の夜新宿駅に午後7時 都合も聞かず自分勝手に
039:贅肉
おたがいの贅肉摘まみ溜め息と笑いの漏れる七夕の夜
040:走る
走るほどまわりは見えず増す不安 それでも走れ若さにまかせ
041:場
いつの日も場を和ませる笑い声 ひかれてゆくよ君の磁力に
042:クセ
クセのあるお国訛りが恋しくておふくろゆきの列車を予約
043:鍋
大鍋を囲む家族の団欒は時代とともに埃に埋もれ
044:殺す
カネくわえ 尻尾振り振りついてくる忠犬ハチ公殺すにゃ惜しい
045:がらんどう
国立の博物館もがらんどう 文化財より石油を守れ
046:南
南極の地図を描きし古代人 滅びの理由(わけ)は今も昔も
047:沿う
これならば意向に沿うと理念なき法律通し 居直るひとよ
048:死
生死すら分からぬひとの帰り待つ時代を運ぶ軍靴の響き
死を選ぶ追いつめられた人達に贈る言葉はきつい一言
049:嫌い
無理をして嫌いな人と過ごすより ひとりの夜はスキルアップに
050:南瓜
ひとときの夢でいいからあのひとと南瓜の馬車で世界一周
051:敵
ご機嫌な君の笑顔は無敵だね 目尻の皺がまた深くなる
052:冷蔵庫
20年使い続けた冷蔵庫 まだ壊れずにわたしの家に
053:サナトリウム
色白の美男と美女が愛し合う悲恋の舞台 サナトリウムは
054:麦茶
この夏の出番はないと隠れてた麦茶の箱が顔をのぞかせ
055:置く
意を決し抜いた指輪を重ね置く 謎を解いてよお願いだから
056:野
恋人が欲しい欲しいと恋の歌 秋の野山はいのちに満ちて
057:蛇
つまづいた「蛇」の御題を口実に 愛するひとへヘルプのメール
058:たぶん
あのひとの写した場所はたぶん此処 かすかな記憶いま鮮明に
059:夢
夢をみる少女のような面持ちで 胸を弾ませあなたの街を
060:奪う
くちびるを奪うだけでは嫌なんだ こころを奪うことが出来ねば
061:祈る
巻き添えにならないように祈るだけ 無謀運転する輩から
062:渡世
利便性 だけを求める渡世には昔ながらの義理人情は
063:海女
海の幸 枯らさぬように海女さんが素潜りで採る意味を今こそ
064:ド−ナツ
懐かしのドーナツ盤を聴きながら 記憶の海にタイムスリップ
065:光
あたたかな光を浴びて前を向く まがりくねった道であろうと
066:僕
僕はもうたちあがれない 駄目なんだ 今日を最後に君の前から
067:化粧
厚化粧すればするほどグロテスク 藪にひそみし魔物が顔を
068:似る
癖までも知らず知らずに似るんだね ながい年月(としつき)過ごすふたりは
069:コイン
どうするか悩んだ末のコイントス運を頼りに選んだ道を
070:玄関
靴を履き帰り仕度はできたのに 玄関先でふたりもじもじ
071:待つ
政権の交替願い結果待つ よりよい日本残すためにも
072:席
この命燃え尽きるまで離さない 君のとなりの特等席を
073:資
軍資金欲しい欲しいと途中下車 ポチは掘る掘る財布の底を
074:キャラメル
ひとつぶキャラメル舐めて猛ダッシュ 君の家まであともう少し
075:痒い
痒いのと背中を向けてせがむ君 いたずらな手は別の場所へも
076:てかてか
てかてかのポマードつけた施政者の残したキズは今も癒えずに
077:落書き
旅先で相合い傘のバカップル 世界遺産も落書きボード
078:殺
世界一殺人武器を保有して テロに怯えるテロ輸出国
079:眼薬
二階から目薬ほどのもどかしさ のらりくらりとはぐらかされて
080:織る
織り姫の織る織物に護られて また一年を無事に過ごせば
081:ノック
ノックする人も途絶えたあばら屋を離れずひとりここで果てるも
082:ほろぶ
大国のほろぶ姿を目に浮かべ爆弾抱いて あなたのもとへ
083:予言
予言者のメンツをまもる狂信者 ハルマゲドンは神の御意志と
084:円
ぐるぐると円を描いてトンボ捕り いまでも指は幼き日々を
085:銀杏
いたずらに埋めた銀杏芽をだしてすくすく育ち 困ったことに
086:とらんぽりん
とらんぽりん跳ねて転んで宙に舞い 笑いを誘う我は道化師
087:朝
はじめての朝を迎えて耳たぶを真っ赤に染めてうつむく君と
088:象
平和への祈りを込めた象徴を汚す悪戯 嘆き悲しむ
089:開く
遅咲きの花開くまで根気よく待ち続けるとこころに決めて
090:ぶつかる
自我めざめ ぶつかるたびに角がとれ 歪ながらも丸く磨かれ
091:煙
行き過ぎた規制悲しや落ち葉焚き 煙のぼれば通報されて
092:人形
人形は人形らしくご主人の言いつけ守る頭があれば
093:恋
「恋」と云う病 患い躁鬱に 揺れる気持ちをあなた助けて
094:時
あの時のあのひと言に撃ち抜かれ 修復できぬ穴を抱えて
095:満ちる
欠けてゆく月満ちるまでもう少し泣かせておいて 忘れるために
096:石鹸
石鹸を盗む盗人謎だらけ 闇に紛れた鴉が笑う
097:支
政党の支持率変えるマニフェスト 選挙終わればただの紙屑
098:傷
目にみえぬ言葉のトゲに傷つきしこころを癒す言葉は何処に
099:かさかさ
かさかさに乾いた肌にうるおいを取り戻してと言葉のシャワー
100:短歌
移りゆくこころ模様を映し出す三十一文字の短歌に恋を
完走報告
題詠マラソン2003
沿道参加者 月影隼人
普段、歌を詠むときに絶対使わないような「御題」があり
苦戦しておりましたが遂に完走いたしました
後半は怒りに満ちた歌が多くなってしまいました
もっと穏やかな気持ちで歌が詠めれば良かったのですが・・・
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