診察の道草に

医療問題と健康問題を眺めています

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日米格差

以前より旅行医学の国際的学術雑誌や英語の専門書を読んで感じていましたが、最近翻訳が出版されたアメリカの旅行医学マニュアルを読んで改めて格差を認識しました。日本は広さと深さがまったく劣っているのです。
日本の旅行医学書では海外でかかる感染症の程度で留まっているのが多いのです。対策も予防接種程度です。もちろん旅行医学会(私もそこの専門認定医ですが)では病気がある人の旅行や海外での病気の発生時対処なども扱っていますが、ほんの一握りの医師が取り組んでいるような状態です。これには「旅行医学」がほとんど日本では認知されていないためでもあります。
日本の大学では旅行医学を正式に教えているところはほとんどなく、自己努力で学ぶだけです。そもそもこの分野は公衆衛生学とも深い関係にあり、私自身はアメリカで公衆衛生学を修めたために関連の講義を受けていますが、日本では公衆衛生学大学院がほとんどなく、医学部の隅に追いやられているためにそこまで手が回らない現実もあります。(なにしろアメリカの大学では教員スタッフが200人いるのに対して日本は4人程度ですから)
さらに、医療行政の中にも認知されていません。当院が荻窪で開始した時に、「旅行医学外来」も項目として看板に載せましたが、保健所の担当者から「旅行医学という診療分野は認知されていないので認められない」とクレームがつきました。学会もあるのに。
欧米では旅行医学は熱帯医学を基にして発展してきました。この熱帯医学は植民地政策の推進のために生まれてきた分野です。日本においても南方の委託統治領の管理の必要性から始まりましたが、敗戦でこの流れは途絶えました。その後にこれらは一方では国際保健に、一方では旅行医学へと発展していく訳ですが、日本ではいずれの波にも乗れていないようです。
国際化が叫ばれて久しい中、これでよいのでしょうか。

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