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本日の読売新聞に教職専門大学院が思惑がはずれて大きく定員割れしているという記事が掲載されていました。法科大学院もそうなのですが、何よりも専門職大学院 Professional School とは何かがしっかりしていないのが原因ではないでしょうか。
そもそも教職の大学院とは何か、そのモデルをアメリカに取って言っているとしたら、教える技術や知識を教えるところではありません。以外に思われるかも知れませんが、それらも教えていますが主ではなく、大事なのは教育現場でリーダーシップを取れる能力、つまり運営経営能力なのです。これは他の専門職大学院でも同じと言えます。ビジネススクールがビジネスをリードして経営する能力を育成するのと同じく、教職では学校を、公衆衛生では保険医療組織機関を運営経営し、ロースクールでは法律を運用する能力を養う、管理能力についての教科も含まれます。表面的な知識技術ではなく、これらの専門職大学院の根底にある精神を知らずに制度を作っていては失敗するだけ(実際に失敗しているが)です。
中世の大学では学生がまずとる学位が学士 Bachelar ですが、それを終えると修士 Master を目指します。この学位を取ると大学で教える「資格」ができるのです。さらに専門的(当初は、神学、法律、医学)な職につくために上級の課程を修めると博士 Doctor の学位を授かり、これらの職につく「資格」ができますが、同時に専門課程で教える「資格」もできるのです。Doctor の語源は「教える」という意味なのです。ですから日本のように博士号も持たない大学教授がいるなどはナンセンスで、アメリカなどでは大学の教職の資格と考えられています。Bachelarの課程はやがて分離され中等教育となっていきます。ですから欧米では高校の教師で修士を持っているのも多いのです。しかし、これらは自分の学んだことを教える時代はそれだけでよかったのですが、教えること自体を学ばないといけなくなってきました。これが大学学部で教職課程が導入されたきっかけです(なお、アメリカでは日本のように明確な「学部」はなく、4年制のundergraduateはすべてが教養学科とも言えます。ただし、専攻による専門性はあります)。もちろん、博士課程でも教育助手 Teaching Assistant, TA などをして教えるノウハウを学ぶことになっています。博士とは教える資格なのですから。
これらの流れとは別に、教科の教育ではなく、学校組織そのものの管理運営も学ぶのが教育修士なのです。ですから、この学位は管理する資格なのです。現在のアメリカではこの学位を持たないと校長に採用されません。MBAがないと会社のCEOなど重役になれないのと同じです。病院の院長もMPH(公衆衛生修士)がないとなれないし、政府機関の管理職も行政学修士がないとなれないのです。これらはすべて管理運営を学んでいるので「資格」として考えられているからです。
日本はまったくこの点が無視されているようです。学位とは「資格」なのです。縦割りの文科省的には受け入れられないことでしょうが。
専門職大学院の制度形成にどれだけ欧米の専門職大学院卒業生が関わっているでしょうか。どれだけ専門職学位を取得した物が教授職についているでしょうか。ほとんど皆無のような気がします。「大学とは学問するところ」などと言って、「資格」としての意義に心を砕かず、自分たちで何とかなると思い上がった大学人だけでは失敗するのは明白です。実際、どれだけ「大先生」の意見に左右されて日本の政策が失敗してきたことでしょう。多くの大学教授は留学しても研究室に研究のため行ったのであって、正式な教育を受けるための留学ではありません。明治維新の先覚者たちとは大いなる違いです。今まさに留学者数の低下も言われている時、これら欧米で専門職大学院卒業者を積極的に採用したならば、留学者も増え、視野が開かれた大学人も増えるはずです。私自身もそうですが、聞くと見るでは大違いで、アメリカの専門職大学院で学んで始めてわかることも多いのです。
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私は民間企業人事部採用担当です。大学院内部の事情は存じませんが、ここ数年で文系M2の就職受験生が急増し、しかもその大半は営業にまったくむかず、正直迷惑感を感じています。法科大学院出身も多い。企業では、その学生が部下になってほしいかどうか?活躍するかどうか?という視点を必ずもって面接官は面接しています。今企業は本当に余裕がありません。企業には就業規則賃金規定というのがあり院卒は初任給から高い賃金テーブルになります。よっぽど欲しい理系の専門家しか院卒はこまるのです。稼ぐ営業職が欲しいのに、御社で法務を担当したいとか、メセナ事業を担当したいとか『君眠たいの??院卒の給料は高くて、企業は採用を自重せざるをえないの知ってるの?』と思います。法科大学院にいったら初志貫徹して法曹界に無事就職して欲しいものです。企業に責任を持ってこられても困りますね。そもそも、私は法科大学院を卒業したのに司法試験に失敗したので御社に入社して法務を担当したい、とか失礼な話です。
2012/9/8(土) 午後 0:12 [ やまだ ]