環境問題を読み解くhechikoのブログ

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先日紹介した懐疑論に反論記事が出た。同じ毎日新聞から。


毎日新聞 2005年12月6日 東京朝刊

 ◇問われているのは行動だ−−リスクへの対処が急務

 「カビの生えた古文書のような、古臭い議論だな」。大阪経済部の高田茂弘記者による11月29日付記者の目「人為的温暖化論は真偽不明」を一読しての感想である。地球温暖化対策や京都議定書をめぐる論点がずれているのではないか。問題の焦点は科学の真贋(しんがん)論争ではない、と私は思う。

 高田記者の主張は次の通りだ。人間活動による二酸化炭素(CO2)の排出増が地球温暖化の原因というのは真偽不明で、日本に90年比で6%の温室効果ガス排出削減を義務付けた議定書は非科学的。排出権取引などの京都メカニズムは妥協の産物、議定書の目標自体を疑ったほうがよい−−。

 「真偽不明」は、ある意味で正しい。科学の仮説を立証するには再現性が不可欠だが、この論を実験で再現することは不可能だからだ。ただし同じ論理で「温暖化は人間活動の影響ではない」という説も、真偽不明だ。21世紀末になっても真実の完全証明は不可能だろう。

 世界中の数百人の科学者が参加した「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第3次報告書(01年)は、既存の知見を基に「20世紀に全地球平均で0・6度、温度が上昇した」「最近50年間の温暖化の大半は、人為的だという強い根拠がある」「このまま対策をとらなければ、2100年には地球の平均気温は1・4〜5・8度上昇する」などと指摘した。

 その後もコンピューターの高性能化や観測網の強化などで予測精度は年々、高くなり、人為的温暖化論は優勢になりつつある。京都議定書を頑強に否定する米ブッシュ政権が参加した7月のグレンイーグルズ・サミットでも「人間活動が地球の表面の温暖化に密接に関係し、温室効果ガスの増加の主要な原因になっていることを理解している」とした気候変動に関する成果文書が採択されたほどだ。

 私は、温暖化には人為的影響以外の要因があるという説にも傾聴すべきものがあり、人為論にはいろいろな「矛盾」「不明点」があることを認めた上で、人為論の方がより確からしいと判断している。しかし科学論争自体への個人的な賛否はひとまず脇に置きたい。重要なのは、これまでの研究成果をどう読み取り、私たちの社会がどのように行動すべきかという政策決定の問題だと考えるからだ。

 数百人もの科学者が参加したIPCC報告書が指摘したことは、温暖化対策としてCO2削減を進める政策を選択するのに不十分な根拠だろうか。これは一例だが、高田記者が指摘した懐疑論と同等数以上の人為論が公表されている。温暖化のメカニズム解明の努力を続けつつも、人間活動による温暖化予測が「正解」だった場合のリスクに備えて、行動すべきではないのだろうか。

 水俣病をはじめとする過去の公害問題や、血液製剤汚染による血友病患者のHIV感染など「科学的な結論が出ていない」という理由で多くの人命を失った苦い記憶が私たちにはある。アスベスト(石綿)問題でも繰り返してしまった。仮に温暖化が人間活動の影響で進み、その結果として洪水、干ばつなどの異常気象が頻発するとの予測が現実化したら、最初に命を落とすのは、そうした災害への対処が難しい、貧しく弱い人々だ。科学論争の決着まで行動しないのは、弱者に大きなリスクを負わせる「不正義」である。

 「地球規模の予防原則」に基づいて対処するため、温室効果ガスの濃度安定を究極の目標とした「気候変動枠組み条約」に189カ国・地域が批准し、その目標達成のために温室効果ガス削減量の数値目標などを定めた京都議定書に157カ国・地域が批准したのである。最大の排出国ながら議定書から離脱した米ブッシュ政権に強い批判があるのも、自国のわがままな論理だけ振りかざし、他国が受け入れた責任と痛みから逃れているためだ。

 現在、カナダ・モントリオールで開かれている初の議定書締約国会議(COP/MOP1)は米国と途上国、欧州連合(EU)などの意見が対立し、その行方が極めて不透明な状況に陥っている。日本国内も削減目標の根拠や高いハードルなどをめぐり、議定書への懐疑論、不満がある。

 しかしホスト国として京都で開かれた会議で議定書が採択され、日本がこれを批准した事実は重い。外務省幹部は「批准した以上、議定書を守らなければならない。守らなくてもいいという選択肢は絶対にあり得ない」と語ったが、まったく同感だ。議定書を守るか否かも、もはや科学のレベルの問題ではない。国際社会への約束が守れるか、その姿勢が問われている。

こちらはほぼ納得できる内容だ。さすが専門の記者といったところか。
先日の懐疑論は現在の温暖化論に(間違った)科学的反証を行う、という内容だったが、今回の記事ではその真贋論争を相手にせず、今我々がどのような選択を行うべきか、その道筋を示したものになっている。
そのやり方は、私は正解だと思う。前回提出された懐疑論に真っ向から反論すれば、次の懐疑論が飛んでくる。そうすると、今回の反論記事の記者も認めているように、いずれは反論しがたいものや、現行の理論の不備を突いたものが出てくるだろう。そうなると、読者はどっちもどっちだ、わからないのなら請求に対策を進めるべきではない、という意見も出てくるだろう。うちのブログのように長時間かけてじっくり議論できる場があるのなら、そういう論に対してどう考えるべきかということが書けるのだろうけど(いずれ書きます)、今回のような一発勝負の場では理論的なことはすっ飛ばしてリスクマネジメントの考え方を説明をしないと読者は納得しないだろう。もっとも、単に記者に科学的な反論を行うだけの知識が無かっただけ、という見方も出来なくはないけれど。

そんなわけで今回の記事が主張している、温暖化に対して確実な証拠が存在しない現状で我々がどのような選択をすべきなのか、また既に決定済みの約束事の取り扱いを今回の記事で示したこと、またその内容について私は賛成する。

ただ一点、読む側が注意しなければいけないことがある。それは予防原則という言葉、またその概念の濫用だ。原因がはっきりとわかっていなくても、その因果関係の確実さの度合いによって対策の力のいれ具合を調節すべき、というのは正しい予防原則だが、これが濫用されると、原因がなんだかわからなくてもとにかく予防、となってしまう。原因がわからないから対策をとらなくてもよい、というのが間違っていることが今回の記事で説明されているのと同様に、原因がわからなくてもとにかく予防、というのも間違っている。正解はその中間にある。0でなければ1,1でなければ0というような1ビット思考からは脱却しなければいけない。
なお、このあたりの話は中西準子のホームページで繰り返し説明している。
雑感294-2005.3.1「頭を冷やそう!温暖化問題−不確実性の大きな事象にどう対処するか?−」
雑感305-2005.6.1「5月の新聞記事に現れた『予防原則』」

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今回は見解が分かれましたね(笑)。hechikoさんの見方は確かにアリですし、そのようにとらえる人が多ければそれに越したことはないのですが…。「理系白書ブログ」の12月6日付け「温暖化」のコメントをご覧ください。 削除

2005/12/8(木) 午前 3:58 [ Si ] 返信する

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科学的な論争はまた別の機会に期待するとしましょう。ひとつ強調しておくと、悪いのは「予防原則の濫用」であって、「予防原則」ではありません。

2005/12/8(木) 午前 9:13 [ hec*i*o ] 返信する

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予防原則の濫用については、同感です。今、予防原則の濫用で、ものすごい無駄金が使われている思います。山形浩生の訳した『環境危機をあおってはいけない』は、費用対効果と統計を使って、問題の優先順位を明らかにし、環境問題に対し、お金を有効に使うべきだということが書かれています。また京都議定書は、費用対効果から見ると、効果はほとんどないと結論されています。 削除

2005/12/9(金) 午前 11:04 [ おおくぼ ] 返信する

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基本的な考え方には同意します。ただ、温暖化対策が予防原則の濫用に該当するかどうかは保留します。

2005/12/9(金) 午後 6:05 [ hec*i*o ] 返信する

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「予防原則の濫用」ですが、今回、中西準子さんの名前が出てきたので、彼女の著書の例を出すと、ダイオキシンと狂牛病の対策がそうですね。 削除

2005/12/9(金) 午後 9:38 [ おおくぼ ] 返信する

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大阪経済部・高田記者による再反論が出ています。議論のレベルがどんどん落ちていきますねぇ。ある意味、典型的な展開ではありますが。 削除

2005/12/17(土) 午前 2:30 [ Si ] 返信する

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《CO2温暖化説が間違っている》という点については、槌田氏の論文はむしろ枝葉の問題だと思います。

丁度ここのブログがでた2006/06/20以後、8 Jul 2007 (v1)に、これらを総括するかのように、もっと基本的かつ重要な物理的見地から以下の論文(114 pages)が出ています。

「懐疑論」というのもありますが、これらは「温室効果」まで基本的根底から否定するというものではなく、いわば内輪争い・宗派争いの、枝葉末節的な議論なので、温暖化論者もそういう点では都合よかったのではないのでしょうか。

続く・・ 削除

2008/6/17(火) 午後 8:49 [ CoCo ] 返信する

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ところが、下の論文では、そんないい加減な論ではなく、そもそも「二酸化炭素地球温暖化論」の基礎になる「温室効果」〔再放射〕というそのものが間違っている(第一種・第二種永久機関メカニズム)ということから理論物理から詳しく述べられているのです。

「温室効果」(再放射)によるとしている「二酸化炭素地球温暖化論」の存在そのものが、土台から吹き飛んでしまう非常に大きなことでしょう。これまでの不毛ないいかげんな議論に終止符を打つ決定打となるでしょう。 削除

2008/6/17(火) 午後 8:50 [ CoCo ] 返信する

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しかも、今まで議論されてこなかった基本的な部分ゆえ、これに「反論」を加えるのは至難の業かとは思われます。(素粒子論を含むすべての物理法則で一番基本的な熱力学第一・第二法則を否定しない限り無理と思われます。)

因みに、「温暖化問題懐疑論へのコメント」などというものも、それまで意気軒高に声高にされていたようです。しかし、なぜかこれ以後、その2007/6/15版(V,2.31)を最後に動きが完全に止まってしまっているみたいです。さびしい限りですね!。
http://www.cir.tohoku.ac.jp/~asuka/

「二酸化炭素地球温暖化論」というものを固く信じていらっしゃるかたも。「懐疑論」の方もまずこの論文を精読するといいでしょう。

続く・・ 削除

2008/6/17(火) 午後 8:52 [ CoCo ] 返信する

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100ページを超える読みがいのある英文ですが、ご精読の上、違うと思えば直ちに「反論」し、国際的に論争を挑めばいいのです。「二酸化炭素地球温暖化論」の敵は「懐疑論」ではありません、この論点です。論理的にはすでに潰されているのです。まずここから再出発すべきではないでしょうか。(URLからダウンロード可能です。)

《論文名》:
Falsification Of The Atmospheric CO2 Greenhouse Effects Within The Frame Of Physics
Authors: Gerhard Gerlich, Ralf D. Tscheuschner (2007)
(Submitted on 8 Jul 2007 (v1), last revised 11 Sep 2007 (this version, v3))
http://arxiv.org/abs/0707.1161v3 削除

2008/6/17(火) 午後 8:52 [ CoCo ] 返信する

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(解説)以下に簡単に解説がなされています。

http://feliscatus.blog77.fc2.com/blog-entry-61.html 削除

2008/6/17(火) 午後 8:55 [ CoCo ] 返信する

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同上
http://phdsamj.ac.affrc.go.jp/topic/1_1.html 削除

2008/6/17(火) 午後 8:57 [ CoCo ] 返信する

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訂正します・・

《CO2温暖化説が間違っている》という点については、槌田氏などのよく話題にされる論文などはむしろ枝葉の問題だと思います。

8 Jul 2007 (v1)に、これらを二酸化炭素地球温暖化論やその懐疑論等々の混乱を総括するかのように、もっと基本的かつ重要な物理的見地から以下の論文(114 pages)が出ています。・・ 削除

2008/6/17(火) 午後 9:04 [ CoCo ] 返信する

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http://arxiv.org/abs/0707.1161v3
って、査読論文でなくて、へのへのもへじでも載せられるところね。

2009/4/12(日) 午後 9:21 [ 綾波シンジ ] 返信する

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理論物理学からの反証 反論してみ! IPCCの誰一人、手も足もでないのでは!

もしできたら、ノーベル物理学賞間違いなしですぞ!。 削除

2009/12/14(月) 午後 8:43 [ とおりすがり ] 返信する

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☆「温室効果」は、大気の“質量”効果

地球の平衡点@5500mと地表の温度差33℃、これを「二酸化炭素地球温暖化論」では《温室効果》と呼んでいる。

この33℃は、地球に大気と重力場(気圧)があることによります。

大気があることによって、平衡点≪地球の表面》は上空にずれます。

また大気があることによって、熱の移動媒体が放射以外に伝導と対流(と潜熱)でわけあうことになる。

このうち、地表が低温であることにより、放射の役割は殆ど無いに等しい。

500℃以下では伝導と対流が主体になる。

(地表の熱は伝導を介して大気に伝わる。大気は熱膨張して密度が小さくなって上昇(対流)し、5500mあたりの上空で熱を宇宙に放出して密度が大きくなり降下する。) 削除

2009/12/14(月) 午後 8:44 [ とおりすがり ] 返信する

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続き

「二酸化炭素地球温暖化論」というのは、この重要な「大気」と「重力場」がないことに因る欠陥論といえるでしょう。

この「33℃」というのは、実際は≪大気の質量効果》というべきものです。

「大気」とは大気全体のことです。特定の気体ではない。

その主体は99%窒素、酸素です。

これにアルゴンを加えると単純計算で99,97%です。希ガスであるアルゴン(0,9%)より桁違いに希ガスである「二酸化炭素」など無視できます。

大気全体の質量であって、それは太古から変わらないものです。 削除

2009/12/14(月) 午後 8:46 [ とおりすがり ] 返信する

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続き

二酸化炭素が“溜まる”とか熱が溜まるとか熱力学に反することを賜ることに意味があるとはおもえません。

莫大な資金を散財させられてることに何の意味があるのでしょうか。

重力場は実際あるわけだから、もし本当に「温室効果」というので33℃上昇するなら、地表は平均48℃にならなければならないのです。

これはイラクの最高温度に近い灼熱地獄なのですが、そういうことは無いはずです。

簡単です、33℃は、地球の重力場によるものです。

それは重力による≪大気の質量効果》です。

所謂「温室効果ガス」等いかなる、「モノによっても変わるもの」ではない。

今やられている二酸化炭素削減対策は、科学云々以前に、二酸化炭素デリバティブ!です。

誰も「CO2削減」などしているわけではないが、まったく意味がないことに莫大な税金を浪費しているようです。

国民はそのことに早く気ずくべきでしょう。

いずれ、生活が破壊されて気ずく前に!。 削除

2009/12/14(月) 午後 8:47 [ とおりすがり ] 返信する

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今、IPCCの温暖化データねつ造疑惑 衝撃強く、欧米で大騒ぎ
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20091209-OYT1T00522.htm

・温暖化データねつ造疑惑 衝撃強く、欧米で大騒ぎ
http://www.j-cast.com/2009/12/09055808.html
http://www3.nhk.or.jp/news/k10014286491000.html 削除

2009/12/14(月) 午後 8:49 [ とおりすがり ] 返信する

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