環境問題を読み解くhechikoのブログ

環境問題を単に「読む」だけでなく、考察を加えて「解き」ます。

全体表示

[ リスト ]


 船底塗料や農薬に含まれる有機スズ(TBT)など3種類の化学物質がサンゴの生育に悪影響を及ぼすことが、東京大海洋研究所・渡辺俊樹助教授と世界自然保護基金(WWF)ジャパンなどの研究で分かった。同基金などは「化学物質のサンゴへの影響に関する研究は少ない。国は長期的な影響も考慮し、モニタリング調査をすべきだ」と指摘している。

 調査したのは、船底塗料などに使われるTBTとジウロン(DCMU)、殺虫剤のジクロルボス(DDVP)。それぞれの物質を含む海水で10日間、サンゴの幼若体(受精後1カ月半以内)を飼育し、影響を調べた。

 その結果、3種類ともサンゴの組織やサンゴと共生する藻類が減少する影響が出た。影響が出た濃度は海水中の残留濃度より高いが、より低濃度でも長期的には影響が出る可能性があるという。

 TBTは海洋生物に悪影響があるとして船底塗料への使用が禁止されているが、DCMUはその代替物質として使われている。【佐藤岳幸】

この記事、いったいなにを言いたかったのだろう?
船底塗料素材がサンゴ生育に悪影響を与えるっていっても、どんな物質であれ濃度によっては悪影響を与える可能性は十分にあるわけで。
たとえば、人間にとって塩化ナトリウムの過剰な摂取は有害だが、だからといって塩化ナトリウムそのものが人間にとって有害なわけではなく、むしろ人間にとって必須の物質とされている。
同様に、ここで挙げられた船底塗料素材が高濃度でサンゴに悪影響が出るからといって、海水中の残留濃度くらいの低い濃度でも必ず悪影響が出るわけではない。影響がまったく出ないかもしれないし、ひょっとしたら好影響が出る可能性だって否定できないのだ。
もちろん、「より低濃度でも長期的には影響が出る可能性がある」ってこと自体は誤りではないが、今回の実験で、海水中の残留濃度で影響が出ていないことを考えると、たとえ悪影響があっても潜在的なリスクはそれほど大きいものではないと想像できる。
このような状況で「モニタリング調査をすべきだ」などと主張しても、いったいどれほどの説得力があるのだろう。この論法がまかり通るなら、どのような物質についても、どのような対象であっても、「○○という化学物質は高濃度で××という生物(あるいは生態系)に悪影響を与えた。低濃度でも影響が出る可能性があるので調査すべきだ」という論法が通用してしまう。
しかし、国の予算は無限ではないので、こういう類の要求すべてに応じることはできるはずもない。そこで、潜在的なリスクが高そうなものから調査を行うわけだ。少なくとも私が見る限り、この問題に関して現時点で予想されるリスクはさほど高くなさそうに見える。
モニタリングをすべきだ、などという主張をするのであれば、それなりの証拠(具体的には、低濃度でも長期的には悪影響を及ぼすことを示唆する証拠)を揃えるべきではないの?でないと、予算取って知名度を上げたいがために危機感を煽っているだけちゃうんかい、と思われても仕方ないんじゃないかしら。

結局、毎日新聞は研究者とWWFの宣伝に利用されただけ、ってことでいいのかな?それともどこかで繋がってるの?

この記事に

閉じる コメント(1)

顔アイコン

まったく、その通りだと思います。hechikoさんと同じ内容が『いのちを守る安全学』日垣隆・著の中の中西準子さんへのインタビューで述べられています。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4102900802/qid=1134658519/sr=1-6/ref=sr_1_10_6/503-0830431-8383129 削除

2005/12/15(木) 午後 11:59 [ おおくぼ ] 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

開く トラックバック(1)


.


みんなの更新記事