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花非花
白居易
花非花,霧非霧。
夜半來,天明去。
來如春夢幾多時?
去似朝雲無覓處。
花にして 花に 非ず,
霧にして 霧に 非ず。
夜半に 來たりて, 天明に 去る。
來たること 春夢の如く 幾多の 時ぞ?
去るは 朝雲に似にて 覓(もと)むる 處 無し。
●註釈
♪花非花:白居易の恋心を歌ったもの。この作品に基づいて『花非花』という詞牌が生まれた。
♪花非花:花のようであって、花ではない。
♪霧非霧:霧のようであって、霧ではない。
♪夜半來:夜半にやって来て。
♪天明去:空が明るくなったら、去っていく。
♪來如春夢幾多時:
(その人)が来るときは、春の夢のようで(はかなく)、どれほどの時間になろうか。(短いものだ)。
♪去似朝雲無覓處:
去っていくときは、朝雲のようで、覓(もと)める處が無い。 ・朝雲:朝の雲であるが、前出の「霧」や「雨」「雲」「朝雲」は、男女の交情、異性を暗示する言葉。宋玉『高唐賦』によると、楚の襄王と宋玉が雲夢の台に遊び、高唐の観を望んだところ、雲気(雲というよりも濃い水蒸気のガスに近いもの(か))があったので、宋玉は「朝雲」と言った。襄王がそのわけを尋ねると、宋玉は「昔者先王嘗游高唐,怠而晝寢,夢見一婦人…去而辭曰:妾在巫山之陽,高丘之阻,旦爲朝雲,暮爲行雨,朝朝暮暮,陽臺之下。」と答えた。婉約の詩歌でよく使われる。「巫山之夢」。 ・無覓處:もとめていくところがない。もとめようがない。漂いやがて消えてゆくガスのような雲なので、探しようがない。 ・覓:もとめる。
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