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◆モダン×伝統、女流画家・藩玉良風の日用品展
2007年 8月25日(土)


フラン)スに留学した女流画家藩玉良(1895−1977)の絵をモチーフにした小物や装飾品が、首都博物館で開催中の藩玉良画展に出品されている。商品はソファーや浴槽から扇子、湯のみ、ネックレスなど様々で、絵画とは違った角度から彼女の作風を感じることができる。

 これらの記念品は公式販売はしておらず、個人予約の形で契約して製作されているという。



◆−パリで花開いた女流画家−


遊楽街の妓女の出でありながら穢れを知らぬ魂を持ち、運命に奔放する知識人・潘贊化の愛妻となった玉良。彼女は、上海で活動するアヴァンギャルドな人々との交流の中で持てる好奇心を存分に発揮し、ついに天賦の画才をも目覚めさせた。
彼女の描く裸体画は衝撃的なものとして観衆たちの前に現れ、潘贊化をも驚かせる。
だが、男尊主義的な社会にあって頑に美を追い求め、何者にも屈しない彼女の性格はあまりにも受け入れがたく、ついに彼女は潘贊化と破局を迎えた。玉良はフランスに渡り絵画を学ぶが、その日々の中で学友・田守信との感情を温め合う。だがどんなに二人が深まっても、玉良の心にはいつも潘贊化の面影があった。
玉良が中国に帰国すると、西洋と中国が融合した彼女独特の画法はたちまち人々の賞賛を浴び、ついに大学教授として招聘されるに到る。 そこに現れた田守信に、玉良の心は・・・。
祖国を離れ、再度フランスに渡った玉良。彼女は何者にも束縛されない自由な魂のおもむくまま絵画にいそしみ、フランスの地でついにその生命を全うする・・・。



◆『畫魂』が描いた、ヒーローの末路



歓楽街の妓女の身から女流画家に転身した実在の女性、藩玉良の、波乱に満ちた一生。
念願の美術学校に入学したものの、本来の学歴の低さと花街出身であるという履歴がもとで、玉良に対する風当たりは厳しかった。そんななか、作品のモデル探しに苦心する玉良を見かねて、奥米がモデル役を引き受けることに。だが、玉良の製作した絵画は裸婦画だったため、それを知った講師陣は猛反発。展示会場も大きな騒ぎとなり、公序良俗を乱すからという理由で作品は撤去されてしまう。この頃、創作活動に情熱を注ぐ玉良と藩贊化の仲は次第に冷え込み、すれ違うことが多くなっていた。そして、世間や学内での玉良への批判が強まるなか、かねてから良き理解者だった校長は、玉良にフランス留学を勧める…。
スタンリー・クワン(關錦鵬)が2002年に撮った、全30話テレビドラマ『畫魂(画魂)』は、1920年代〜の中国で、妓女だったところを身請けされ、絵の勉強をはじめて女性の裸体画を描きパリで成功した実在の女性画家、藩玉良を主人公としています。
 映像が非常に美しいのですが、藩玉良の絶息で最終話が終わるあたり、なんだか・・凄い。

 さて、藩玉良が女性の裸体画を描いた理由はいろいろ気になるところですが、結果的には、当時としてはショッキングなその事態が注目を集め、藩玉良の画家としての成功につながったという面はあるようです。
 藩玉良の時代は何をかいわんや、現代でさえ鑑賞対象は圧倒的に女性が多く、また、男女問わず描き手側も、消費者マーケットに合わせる意識もあるのでしょうが、描出すべきは美しい女であるという通念に偏りがちに見られます。
 つまり、女性であっても、男性の目線を学び(刷り込まれ)、再生産して作品とし、それにより男性社会に受け入れられ評価されるという構図です。

 コン・リー(鞏俐)主演で1992年に映画化された『画魂 愛、いつまでも』にしろ、今回のテレビドラマ『畫魂』にしろ、ヘテロ女性の藩玉良に「男性的」な面を持たせることで、彼女が女性のヌード画を描いたことの説明をつけようとしているようです。女友だちに「私が男になってあなたを守る」と言ったり、「歌声が男のよう」と形容されたり・・。
 また、絵から受ける印象としては、藩玉良自身が描いた裸体画のなかにはゆったりとした官能が感じられますが、ドラマ『畫魂』で奥米(伊能靜)がモデルとなった絵には、セクシャルな要素は全く表現されていません。

 ドラマ『畫魂』でジェンダー的に見るべきものがあるとすれば、むしろ、藩玉良の夫となった藩贊化の扱いです。
 フー・ジュン(胡軍)演じる藩贊化は最初、地位・権力・財産・近代的教養・マッチョな男の友情、全てを兼ね備えた、理想的な頼れる男として登場します。が、その実彼は、「人間は平等だ」と美しいことを言いながら、無学な妓女だった藩玉良を娼館から救い上げ、字を教え、絵を学ばせ、知恵をつけることで、自分の相対的優位と「男らしさ」を確認するような、浅薄な人間です。自分も隠したいその事実を、それまでつきあっていた軍閥の娘に指摘されて荒れたりします。
 そして後半は仕事に失敗し自信喪失、マッチョな友情も失って、「男らしさ」の全てを突き崩されたかっこう。
 ジェンダーヒエラルキーのトップに君臨し栄華をむさぼるヘテロ男が、ここではボコボコにされているわけです。
 何か、スタンリー・クワン監督の彼らに対する愛憎半ばの何かがうかがえるような・・
 藩玉良よりも描写が鮮明なあたり、スタンリー・クワンの目的が間違ってるよという感じもありますが・・

 ちなみに、『畫魂』ではこのような「情けない」役をしぶしぶ、いや神妙に演じているフー・ジュンですが、ほぼ同時期にオンエアされた武侠ドラマ『天龍八部』では、大侠役を大味に、じゃない豪放に演じてうっぷんを晴らしています。比べるのも一興。

緑茶
2004年1月25日

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