平安の猫的ごちゃまぜブログ

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「倭寇」(挨拶)

ソマリア沿岸や、鯨のいる場所で、日本人や日本の船が海賊に襲われているという話がありますが。


前者の話において、「倭寇」という言葉が使われることがあります。


さて、この「倭寇」の言葉を使っている人は、果たして実態を理解しているのでしょうか?


某局の番組(日曜朝)で(先週でしたかね?)、ソマリア海賊への自衛隊派遣の問題を取り上げた際。


コメンテーターの女性が、『日本にも倭寇という海賊がかつていて〜〜』みたいなことを言っていたのですよね(意図は違うところにあったかもしれませんが、言葉の意味的にはこんな感じだったかと)

このコメンテーターは、本当に「倭寇」を理解して言っていたのでしょうか。


日本史を学んできたものとして、気になったので記しておきます。



(以下、なるべく簡単にまとめようとしたため、多少の意味の違いはあるでしょうが……)


「倭」「寇」

「倭」とは、「背が曲がって丈の低い小人」を意味する漢字です。
「中華思想(華夷思想)」における「化外の民」として教化すべき存在として挙げられるうちの、「東夷」にあたる異民族への蔑称の一つ。
すなわち、古代における日本・日本人に対する呼称であり、蔑称の一種でもあります。

(現在俗に使われる「中華思想」においては、蔑称としての「倭」が強化され、現在の中国人・朝鮮人が現在の日本人に対して使用する蔑称となっている傾向もありますが、学術用語としての「中華思想(華夷思想)」とは少し趣きが異なる、という点は考慮に入れておいてください)


「寇」は、「外から攻め込んで荒らす賊」「侵入して荒らす」などの意味をもつ漢字です。
ご存知、鎌倉幕府末期の「元寇」は、「元」の「寇」という意味……というと分かりやすいでしょうか。


すなわち「倭寇」とは、「日本人が侵入して荒らす」……という漢字の意味になります。


多くの人が「倭寇」という言葉を耳にしたり、使う場合は上記の意味になるでしょう。
(おそらく、先述したコメンテーターはこちらの意味で使っていたのだと思われます。また、秀吉の朝鮮出兵(明出兵のための布石)や日中戦争も「倭寇」と言われたりするほか、朝鮮人(韓国人)・中国人が日本人を侮蔑する際に「野蛮人」という意味で使ったりします)


しかし。学術的に「倭寇」は上記の意味に当てはまらない部分も多いのです。


「倭寇」とは、簡単に言いますと。

13〜16世紀に、朝鮮・中国の沿岸を襲った海賊集団に対する、朝鮮・中国側の呼称です。
もともとは私貿易をしていたのですが、しばしば暴力化して、現在で言う「海賊」のようなことをしていました。

この「倭寇」……学術的には、その性格の違いから「前期倭寇」と「後期倭寇」に区別されています。


「前期倭寇」は、南北朝〜室町時代初期の期間。

「前期倭寇」の活動は朝鮮沿岸だけではなく、中国沿岸にも及び、高麗国はその対応に追われました。
この「前期倭寇」を撃退して名声をあげた李成桂が1392年に高麗を倒し朝鮮を建国。

1419年には、対馬の宗氏の当主交代で倭寇の活動が活発化したことを理由として、朝鮮が対馬に侵攻しています(「応永の外寇」)。

こういった朝鮮の征伐や貿易統制、そして室町幕府らの日明勘合貿易で「前期倭寇」の活動は終息に向かいました。


この「前期倭寇」は「倭寇」の漢字の意味どおり、その構成員の大半が日本人でした。

ただし、その終末期には、朝鮮半島の賎民が大半を占めていたことも、朝鮮王朝が残した記録に記されています。


「前期倭寇」は「倭寇」という名前ながらも、その実態は必ずしも日本人ではなく朝鮮人も含まれていた、ということです。



15世紀後半、細川氏―堺商人と大内氏―博多商人の貿易をめぐる争いにより、1523年に寧波で衝突(「寧波の乱」)が起きたことや、応仁の乱で幕府が衰退したことにより、再び「倭寇」の活動が活発化してきます。

それが「後期倭寇」です。
東シナ海や南洋方面で活動し、明は「北慮南倭」と称した二大患のうちの「南倭」として対応に追われました。
この「後期倭寇」の活動は、明の海防政策とともに、豊臣秀吉の「海賊取締令」(1588年)によってほぼ消滅します。


しかし、この「後期倭寇」の構成員は、ほとんどが中国人でした。
王直という人物が「後期倭寇」では有名です。

また、ポルトガル人もこの「後期倭寇」に参加していました。


「後期倭寇」は「倭寇」という名前ながらも、その実態はほとんどが中国人であり、ポルトガル人なども構成員となっていた、ということになります。



つまり。

「前期倭寇」「後期倭寇」でその構成員の性格に差があるのです。

「倭寇」は日本人、朝鮮人、中国人、ポルトガル人などがその構成員として挙げられます。
「前期倭寇」終末期には、日本人「倭寇」は影を潜め、朝鮮人「倭寇」が活動。
「後期倭寇」では中国人「倭寇」がその活動の中心であり、ポルトガル人も参加していました。




コメンテーターの人が「前期倭寇」「後期倭寇」を知っていたのか知らなかったのかは、私には分かりませんし。
何を意図して『昔の日本にも倭寇という海賊が〜』と言ったのかも分かりません。


けれども、一つだけ私が言えることは。

日本嫌いの人々が「倭寇」を安易に使うと。

こういった実態を知らないということを曝け出しているだけではなく。

自らの先祖や、持ち上げたい国・地域の人をも侮辱しているということになるので。

「倭寇」を使う際には、注意して使ってください。

……という、アドバイス的なものです。



ではではー。

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